197.
「え……?」
突然のことで呆然とする。ニーチェル公爵がやった? 方法って、リリアナを殺すってこと?
「出てくるぞ」
リリアナの周りに魔力が集まり、形を作っていく。だんだんと大きくなっていき、ついには一匹の龍になった。純白の鱗があり、ところどころに灰色や黒に変色した鱗がある。……この龍、もしかして。
「あれ、リリーちゃん……?」
「意外と成長してるな。さすがにこんだけ年月あれば成長するか」
さっきから何言って……。まずなんでリリアナを!
「リリアナに何をしたんだ」
「暴走と逆行の呪いと魔術をかけただけだ。そのうち治まる」
呪いと、魔術……? ニーチェル公爵は魔術師じゃない。だから、魔術なんて使えないはずじゃ。
「魔術は何も魔術師しか使えないワケじゃない。あくまで魔術師として認められてる奴らが公に使えるってだけだ」
確かに、リリアナも使えてたからそうなのかもしれない。けど、なんでこんなこと。
「いい加減覚醒してもらわないと困るんだよ」
「覚醒って……」
説明になってない。目的は何。覚醒って? リリアナを殺した理由になってないし、納得できない。
「かつて、とある二人の創造主の間にできた子どもがいた。その子どもは絶対的な力を持っていたが、そう長くは生きなかった。原因は簡単。母親の種族に関するものと、呪いだった」
「……なんの話を」
「ハゼルトに何故永遠と言えるほど続く呪いがあるか知ってるか? 何故親は子を愛せないか知ってるか?」
そんなの、誰にも分からないんじゃ……。呪いは確か、言っていた気もするけど。
「子どもは死ぬ間際全てを呪った。自分がかつて愛した者も、土地も、自身すらをも。祝福は子どもの呪いにより歪められ、いつからか血が外に出ることを忌み嫌い、掟を破れば殺す呪いと化した」
本当に、突然何を言い出すんだ。そんな話が今関係あるの?
「ハゼルトの親は子を愛さない。何故なら、子どもは親というものを知らないからだ。親の愛情を知らずに育ち、自分の愛した者たちも土地も死んでいく。最期には自身を呪い、堕ちていった」
……あの神話の本に載っていたものの続き。だとしたらなおさらおかしい。あの本の続きはなかった。なんでニーチェル公爵が知ってるの。
「さて、もしその子どもが再び命を得たとしたら、どうなると思う?」
「……転生ってこと? あり得るの?」
「…………あるから話してるんだろ。つか」
ゼクトはニーチェル公爵を睨み、舌打ちをする。
「よくもまぁ、自分たちの目的のためにやれんな。バレたら次は神殺しどころじゃねぇぞ。クソ天使」




