194.
フレミア侯爵令嬢たちがリリアナを呼び出して断罪失敗。そこまでは分かるけど、何これ……。
突然現れた黒ずくめの集団。その人たちが突然自害したかと思えば、身体を飲み込んでどす黒い不定形の姿に変貌した。
「……呪いだね」
「それじゃあ……」
「呪いへの対抗策がないと勝ち目はない」
いくら呪い返しがあるからって無理がある。それに、対呪いなんてしたことないはずだ。危険すぎる。
「ゼクトたちなら大丈夫だよ。耐性がある」
「でも対抗策ないと」
「リリィが何も考えずにやると思う?」
何か策があるってこと? あの様子だと、呪いが出てくることは想定していないと思うけど。
「強いものが生き抜く。それが自然の理だ。そして、リリィには神が与えたものがある。とっておきのね」
とっておきのって……。まさか、ハゼルトの呪いで対抗するつもりなの? あれはハゼルトにあるだけで使えるようなものなの?
「使い方次第の諸刃の剣」
「危ないじゃん!」
「あれはリリィに従順だから大丈夫だと思う。それよりも……」
リオくんが何か言おうとすると轟音が響いて、見てみると呪いに電気が走っていた。……さっきの轟音。まさか雷とか言わないよね。この室内で。
よく見れば、オリヴィエさんの剣は電気を帯びていて、かなり魔力が集中してる。剣に電気を付与して雷再現したってこと? むちゃくちゃにも程がある。
「オリヴィエは剣に魔法付与して戦うからね。魔法剣士の中でも、かなり珍しい部類だよ。大抵は魔法を剣に付与なんてしないし」
魔法剣士って聞くと私としてはオリヴィエさんみたいなのを想像するんだけど、違うのか。たぶん、魔法を使いながらも剣で攻撃するのがこっちは主流なんだろう。魔法を付与するのはかなり繊細な魔力コントロールが必要なはずだし。
「オリヴィエのすごいところは、一回で複数の効果を付けられることなんだよね」
「え、じゃあ」
「あれは雷の効果と解呪の効果があるね」
呪いからすると、雷当てられた上にそこから猛毒をぶち込まれた感じなんだろうな。オリヴィエさんがそういうことを考えてまで行動せるってのが意外だけど……。あの人脳筋タイプじゃないのか。
「ギア上げられる?」
「だから共闘嫌なんだよ……」
「オリヴィエの独走サポートとか割に合わない」
「二人も突っ込めばいいじゃん」
「じゃあ雷しまえよ!」
ゼクトの意見はもっともだけど、他の人もいるから落ち着いて……。リリアナはずっと後ろでフレミア侯爵令嬢たちを守ってるけど、何かしようとしてるな。何するつもりなんだか。
「……え、何これ」
「来たね」
地面が揺れて、何かとてつもない、気持ち悪いものが近づいてくる感覚がする。来たって、まさかハゼルトの呪いが来てるってこと? リリアナといるんじゃないの? いや、それよりもこの悪寒……。前に呪いとも対峙したし、今もいるけど、そんなの可愛く見えるくらいには嫌な予感がする。




