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193.




さっさと出てこいと誘えばどこからか現れる黒ずくめの方々。ようやくお出ましですね。どれだけ苦労したことか。


「我々のことを知っていましたか」

「散々迷惑を被りましたからね。呪術使用及び殺人、人身売買、薬物密輸、禁忌魔法の使用。以上のことから、第一魔術師の命によりあなた方を拘束。後に魔塔へ送還します」


これまでユートたちに集めさせた証拠であなた方を捕まえる理由は十分。簡単にいくとは思っていませんが、さっさと捕まってくださいね。


「我々の考えはやはり理解していただけないのですか」


理解できるはずがないでしょう。そもそもであなた方は破綻しているのですよ。

千樹教。始まりはハゼルトの神が死の森に植えた一つの樹木。本来の木々はそう長くは生きられない。それこそ長くとも千年ほどでしょう。しかし、死の森に植えられた樹木は今まで一度たりとも枯れたことはなく、今も生命の劣りを感じさせません。

それを見た者たちが当時親交があったハゼルトに目を付け、勝手に祀りあげているというなんとも迷惑なもの。


「勝手に旗頭にされたところで、我々は権力など興味はありません。それに、そうならないための魔塔です」


魔塔とは絶対的武力装置。どこかが力により支配しようとすることにより均衡が崩れることを防ぐためのもの。あなた方の望むものは訪れない。


「お喋りは終わりでいいですかね。これ以上時間を使うワケにはいきませんので」


そう言えば一斉にこちらに魔法を放ってきます。本当にめちゃくちゃな方々ですね。避けるのは簡単ですが、フレミア侯爵令嬢たちが邪魔。魔法で防ごうと思いましたが、いらなさそうですね。


「もういいよねぇ。やっぱりじっとしてるのは性に合わないや」

「スカートなのにどうしたらそんだけ動けるんだか」


さすがは騎士団一の速度ですね。一瞬で来て防御魔法を使うんですから。ゼクトはゼクトで、しれっと魔法で来てますね。


「なんで剣ないのに飛び出すかなぁ。おかげで私まで出ないとじゃん」

「出てくる気だったくせによく言うよ」


問題児騎士が三人。実力はハゼルトのお墨付き。負けることはまずないですね。この後ろのお荷物たちが何もしなければですが。


「迷わずやりなさい。魔塔は既にアレを世界の脅威と見なしています」


周りも避けて場所はできてますから、この広さならば好きに動けるでしょう?


「当てんなよ」

「こっちのセリフ」

「このやり方も懐かしいね」


こんなときまで言い合うのやめてください。遊び半分で勝てる相手でもなさそうですから。こちらの戦力があちらに分かるはずもない。けれどむやみに攻撃してくるワケでもない。それでも、何かを確実に仕掛けにきます。


「……嫌な予感するんだけどさ」

「当たりですね。どうやったらあれだけの規模になるのか」


彼らが持っていたブローチ。それを壊すと同時に、自身の胸に刃を立てる。鮮血が飛び散り、ブローチを汚します。そしてそこから溢れるのは、彼らの魔力と怨念。

……よくもまぁ、ここまで溜め込んだものです。いくら人数で無理やりだとしても、ここまでの大きさは初めて見ます。


「自分たちすら生け贄にする。なんともまあ、信仰深いものだね」






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