167.
三学期も中盤に差しかかってきた頃。何故か先生から「城に来い」と言われ、行ってみるとティアナたちも呼ばれたらしい。なんのために集めたの? なんか皇帝陛下たちも見えるし。
「それで、わざわざどうしたんだ」
「……え、送ってきたの姪っ子殿でしょ?」
「え、伯父様たちでしょう? 呼ばれたから来たんですが」
リリアナが送ってきたとしても、なんでここなんですか。普通シティアルに来てって言うかハゼルトに行くでしょ。
「わざわざ真名使うなんて珍しいとは思ったけど」
「使わないですよ。ポンポン使うのなんて第一様くらいでしょう……」
「じゃあこれ誰だよ」
真名って、確か祝福だよね。それを使うのってどうなんだろ……。と言うか、確認しないんだ。
「再従妹殿のそれ知ってるのってさあ」
「魔術師様方とリオ、あの方たちくらいですね。十中八九、あの方でしょうけど」
「ったく、相変わらずゲーム性ねぇな」
ふと聞こえた声。何度か聞いたことがある。けど、そんなはずない。こんなイベントはなかった。それに、このタイミングで登場って……。
「そんなのがほしいのならば、素直に呼べばいいではないですか」
「それは楽しくないだろ」
悪魔と言えば、と思える大きな翼を持ち、紅色の瞳に深紅色の髪を持つ大悪魔。
乙女ゲームの最後の攻略対象、七大悪魔ヴァーミリオン。
「わざわざ来たのは何故です? いつもみたく、伝書鳩を飛ばせばいいではないですか」
「全員怪我してて飛ばねぇんだよ」
果たして魔界からここまで飛んでくることが可能な鳩はいるのだろうか。まあ、たぶん本当の鳩じゃなくて、連絡係の悪魔とかなんだろうけどもさ。出入り見られたら終わりじゃない?
「んで、全員いるか?」
「いますよ。誰かさんが私たちの名前勝手に使ったので」
「拗ねんなって……」
リリアナとヴァーミリオンは、仲がいいのか。先生たちも知り合いみたいだけど。
「あの、娘とはどのような関係で……」
「昔ちょくちょく会ってたってだけだ。こっちとしても、把握しておきたいものがいくつかあったからな」
「まず、挨拶くらいしたらどうですか」
ヴァーミリオンがリリアナの頭を撫で、嫌そうにしながらそう言う。私と先輩はゲームで知ってるけど、他の人たちからしたら誰か分からないもんね。
「あぁ、すまんな。魔帝の治めし魔界の民、魔界序列三位、七大悪魔が一人【傲慢のスペルディア】魔界総括責任者代理、ヴァーミリオンだ」
「魔界総括責任者の、代理?」
「本当は魔帝のガキがやるんだが、あいつ死んだから俺がやってんの」
しれっと言うよなあ。魔界もそれでいいのか……? 七大悪魔に任せるのは確かにありだけど、こういうのって普通魔帝とかがやるものでしょ。




