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143.




大人しく待つしかないけど、いつ来るかも分からない救助を待っていたら売り飛ばされる可能性が高い。かと言って暴れても魔法を使えないこっちが不利。


「守護獣で応援を呼ぶのは」

「透過できないから無理」

「魔力を圧縮して扉を壊して脱出は」

「音でバレますね」


脱出するにも方法がない。あるにはあるけど、強引すぎるし……。


「何!?」


突然地響きが聞こえたと思えば、床が揺れる。上で何か起きたの? 見たところずっと使ってなかった場所みたいだし、崩れてくる可能性もある。もし崩れてきたら魔法が使えなくて全員下敷きになる。


「……お出ましだね」

「お出ましって、もしかしてこれリリアナ!?」


リリアナがわざわざ来るって、それだけ面倒な相手ってこと? それとも、リリアナが独断で来た? 先生が連れてきた可能性も捨てきれないけど、先生がわざわざ助けに来てくれるか?


「できるだけ下がって。どっちが来るか分からないから」

「でもそれじゃ三人が」

「多少は鍛えてますから、大丈夫ですよ」


そういう問題じゃないでしょ。身分考えたら普通私が前行くべきだよ。殿下とクロフィムは特に下がるべきでしょ。何かあったら、


「あいつらは!」

「移動してないはずだ」


誰か来る。足音的にそこまで人は多くない。鍵も閉まってるから、鍵が開けられたときしかない。

そう思っていると、扉は鍵を開けられることなく、蹴破られた。


「ちょ、バカバカ! 当たったらどうすんのさ」

「鍵がないならこっちが速いだろう。それに、当てるワケないだろ」


姿を見せたのは、私たちの想像してた人たちではなくて、


「王太子殿下!?」

「お兄ちゃん!」


サジュエルと王太子殿下だった。二人は腰に剣を下げていて、何かあったときに戦闘できるようにしている。


「全員無事だね」

「なんで……」

「父さんに呼ばれてこの事を聞かされてね」

「再従妹殿に用があってハゼルトに行ったら巻き込まれた」


じゃあ、今ここにいるのって、二人とリリアナに、ニーチェル公爵?


「話は先。まずは出ないとだね。再従妹殿、見境なく壊してるから」


リリアナ、私たちが他のところにいて潰れたりしたらどうするんだろう。そんなことしないって自信があるのかもしれないけど。

とりあえず、急いでここを出てから考えないと……。


「感動の再会は済んだか?」

「っ、あんた」


他の人たちに指示してた……。この騒動でこっちに来た? 一人で? 魔法が使えないとしても救助が武器を持ってる可能性考えたら来るか?


「悪いけど、こっから外には出せねぇんだわ」


そう言うと、指を鳴らし、突然魔法する。それはもはやお馴染みとも言える転移魔法で、転移先には先生とニーチェル公爵、それに黒ずくめの人が何人かいた。


「お、来たな」

「え?」

「悪いな。二人じゃ心配だったからそいつ使った」


使ったって……。いや、そもそもこの人なんなの。味方だったとして、なんであんなこと。


「潜入捜査してて、もう少しで片付けられるってときにお前らが引っかかったんだよ」

「……だから私たちのこと」

「お前ら、リアにとっての地雷だからあんま関わりたくねぇってのに」


魔法を解いたのか、姿が変わる。それは花祭り以来の人物で。


「ったく、こっちの予定崩しやがって」


気だるげに、面倒そうにそう呟くシャルフさんだった。






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