137.
ナイジェルは仕事があるだかで帰ったが他はハゼルトで泊まり。なのはいいが、俺とユラエスは部屋あるのになんで同じとこぶちこまれるんだよ。
「恋ばな」
「男でやるもんじゃないだろ」
「ただの進捗報告会じゃねぇか」
その進捗もほぼないんだけどな。バカップル二組と進捗なしとくっつけないと先に進まないのが一組。
「いい加減婚約申し込んでくれ」
「なんでそうなるんだよ」
「このメンバーで進捗見込めるのがサジュエルくらいだからな」
リリーは恋愛に向いてない。ハゼルトとしては正しいと言えるんだけど、婚約者としてはダメだよな。
「あの、そう思うならなんとかしてくれません?」
「こっちもアタックしてんだよ。それであれなんだ。勘弁してくれ」
男二人に貢がれたりなんだったりされて動じないリリーなんなんだよ。シエルでもアディッサの前だと吐きそうなくらい甘いってのに。
「再従妹殿のあれはある意味才能だからね」
「んな才能いらん」
「お前はいい加減諦めろよ」
こっちは横取りされてる側なんだが? 諦めるの皇子側だろ。まずハゼルトに籍移しとけって話だし。
「リリアナ嬢ってなんで最初からハゼルトいなかったんだ?」
「夫人が少しくらい一緒にいたいって駄々こねたらしい。亡くなったときに連れて帰る予定だったのに皇子と婚約することになって白紙になったけど、元々第二子はハゼルトにって契約だ」
ちゃんと誓約書の一枚くらい書かせろよな。なんだかんだあいつらも夫人に甘い。
「リリアナはかなり政治に巻き込まれてるからな……」
「再従妹殿はそりゃあ……ねぇ」
お前と俺は知ってるが他は知らないことだから黙っとけ。それ言ったらあいつが殺しに来るぞ。
「フォールトとゼクト、仲いいよな」
「気が合うんだろうね。血縁関係だし」
「そうなんですね。………ん?」
「………血縁、なんですか?」
言ってなかったか? ユラエスには言った記憶あるが、他は覚えてないな。
「ゼクトは元々こっちの国にいたんだよ。傍系の私生児で、ハゼルト侯爵が連れてったの」
「孤児って話は?」
「そっちの方が話が速いだろ。私生児だとどこの家のだってなるし、王族の傍系だと連れてこれねぇから」
一応リリーに合わされる前に血液検査してるからどこの家が自分の縁者なのかとかは全部知ってる。
「それに、他種族の血がねぇと神獣種は出ないだろ」
「僕らもなんかいろいろ混ざってるらしいもんね」
「花の女神が共存主義だからな」
ここの建国神は知らないけど、花の女神フローリアがどんな種族でも家族って感覚だってのはシエルから聞いた。なんで他国の神のこと知ってるのか聞きたいが、どうせハゼルト関係か魔塔関係で知ってたり会ってたりするんだろ。