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127.




なんでこの人たち街中で言い合いしてるんだか。


「いつもだね~」

「……なんでもいいけど、僕と聖女がく気まずいから君といたくないんだけど」

「ナイジェルは今さらだろ」


二人とも立場的に悪魔のアディッサさんといるのはまずいですもんね。アディッサさんは気にしてなさそうだけど。


「私これでも強いからね~。魔術師レベルの神官たちじゃないと倒されることないから」

「そんな奴いないだろ」

「いるよ」


いるの? それはもう教皇とかになるんじゃないの。この世界の宗教に教皇がいるかは知らないけども。


「第二魔術師が神殿の序列二位のはずだ」

「それって大丈夫なの? 魔塔って神殿と仲悪いって聞いたけど」

「第二魔術師は神殿育ちなんだよ。幼い頃にばあさんが仕事で行ったときに会って魔法の才能見出だしたんだとか」


フェミルさんが……。あれ、でもフェミルさんって第四魔術師ですよね。フェミルさんより階級上なのか。


「基本変わらないぞ」

「え、変更ないの?」

「ありはするが、決闘申し込むのがダルい」


決闘なんて制度あるのね。……それ、決着着く前に土地壊れません? 大丈夫なの?


「禁止になった理由の一つだな」

「禁止になったんだ……」

「一番の原因は今の第一魔術師殺せるのがいねぇからだけどな」

「理由が生々しすぎませんか?」


人類最強たちが何してるんですか。殺し合いしないでください。決闘って殺し合いのことかよ。なんでだよ。あんたら世界が選んだ人たちだよね。


「決闘の過程で死ぬから仕方ない。殺すと人員補充しねぇとだから面倒だし」

「ゼロさんとかって」

「あれは論外」


即答……。ゼロさんは規格外なんだ。クロムさんとゼロさんだとどっちの方が強いんだろ。さすがにクロムさんなのかな。


「実力で言えば第一魔術師の圧勝。現実的には戦うことなくゼロの勝ち」

「なんだそれは…」

「第一魔術師がゼロにクソ甘い。リアにもだけど」


……それを聞くと、クロムさんが幼女趣味に聞こえてしまう。あの二人、身長低いから余計に……。


「第一魔術師はね~、昔仕えてた子が忘れられないんだよ」

「仕えてた?」

「知り合いから聞いた話だけど、その子のことが大切だったんだって~」


じゃあ、その人を重ねてるってこと?


「実際、すごい似てるもん。あの子が帰ってきたって、私も思う」

「アディッサさんも知ってる方なんですか?」

「……知ってるよ。あの人がわざわざ親に頭下げてまで一緒にいたかった人のこと、忘れられないよ」


その人は、もしかしたら人間ではないのかもしれない。クロムさんはかなり長生きしているみたいだし、他種族との関わりもあるのだろう。そのときに出会って、そばにいたのかな。


「その人たちは、今一緒にいないんですか?」

「………いるよ。けど、あの子は記憶がないから、気づいてない」


それは、悲しいな。大切な人に、大切にしているってことや大好きって気持ちが伝わらないのはツラい。この世界は特に、種族とか階級とか、複雑な関係であればあるほど、想いを伝えるのも難しいはずだ。


「……ほらほら、面倒だからその辛気クセェのやめろ。シエル、姪。お前らもいつまでやってんの」

「第四様も仕事してください!」

「んでこっちに飛び火すんだよ」


ある意味いつも通りというか、変わらないな。


「………今度こそ、あなたに幸福が訪れますように」


誰かが呟いたような気がしたけれど、上手く聞き取れず、誰も何か言ったような雰囲気ではない。気のせいだったのかな。






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