125.
そろそろ時間なため、言われた場所に向かうと、もうみんな揃っていた。
「お、全員来た」
「みんな速いね」
というか、前夜祭ってまだやるよね。なんでこんな時間に集められたの?
「全員で回るからに決まってんだろ」
「そろそろシエルさんたちも来るしね」
先生、結局来るんだ。
「毎年来てる。来てて諸々全部リアに押し付けてるんだよ」
そりゃリリアナも怒るよ。面倒なことだけ押しつけてるはさすがにねぇ。
「スズランに楯突くのはほとんどいないけど、いないワケではないからね」
「そのスズランと言うのは、リリアナ嬢のことだと言ってましたが、何故」
「リアはハゼルトの子でこの国の王族とも血縁でしょ。美しい花には毒がある、を体現してるのがリア。だからこの国ではスズランって呼ばれてるんだよ。『もしも王族を害そうものならば、スズランの姫により処される』って噂だよ」
リリアナの影響力がそこまでなのか……。処されるっていうのは誇張しすぎな気もするけど。それをしそうなのは先生たちの方だし。
「……話してたら、見っけたな」
「いたねぇ」
「え、どこどこ」
「屋台に並んでますよ」
よく目を凝らして見てみると、人混みの中分かりやすく魔術師の服を着た先生がいた。分かりやすいし、あの人クレープ屋に並んでる…。クレープ食べるんだ。
「伯父上!」
「……あ?」
クレープを何故かは不明だけど三つ買ってる先生…。一つはメルトさん用だとして、あともう一つは?
「今年も使われてますね」
「仕方ねぇだろ。こういうときしかあいつらは一緒にいれねぇし」
メルトさんは誰かといるのか。……恋人さんとか?
「一つ持ちましょうか?」
「頼むわ。持ちづらい」
「お二人はどちらに?」
「木陰で休憩してる。アディッサが疲れたんだと」
アディッサ……。男性なのか女性なのか分からないな。どっちにもいそうな名前だけど、一緒にいれないってことは、女性か? 恋人だったらの話だけど。
少し歩くと木々が植わっていていろんな人が休憩しているスペースがあって、
「あれじゃね?」
「分かりやすいですね」
奥の方で休憩してる魔術師の服を着た人と女性がいた。近づいていくと、二人も気づいたようで手を振ってくれる。
「お前ら、二人で一つ食えよ」
「食べさせるが面白いじゃない」
「だそうですよ、伯父様」
「……るっせ」
………ん??
影で見にくかったけど、姿が先生そっくりだし、何故か万能したのはこっち。え、じゃあこっちは?
「そっちはメルトな」
「は!?」
「祭りじゃ姿もどしてんだよ。口調とか含めて」
ま、紛らわしい…。てか、リリアナとユラエスどうやって見分けてるの。
「服の模様」
「ちょっとだけ違うんですよね」
まったく分からないし、魔術師って人によって違うのがまず初耳だよ……。