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112.




「はしゃぎすぎない。時間になったら集合。いいな?」


親かよと思うくらい何度も言われる。何かあったら嫌なのは分かるけど、みんな子どもじゃないんだからさ。


「……それじゃあ解散。渡したやつは絶対手放すなよ。リリー」

「毎回私を移動係として見るのやめてくれませんかね」


そう言って、ノーモーションで魔法発動するのをやめてよ。それぞれペアで街中に飛ばされたようで、周りを見るとサジュエル以外がいない。


「……どうしましょうね」

「これを手放すなと言われたものの」


渡されたのは腕飾りで、スズランのブローチがついているもの。聖華を持ってない人に配るモノらしいけど、なんで失くしたらダメなんだろうか。いや、借り物なのは分かってるんだけどさ。


「せっかくだし、回ろうか」


あっちにはお祭りなんてないから、楽しまないと。



 * * * *



フォールトたちの国の祭りである花祭り。ティアナの面倒を見て終わるかと思ってたが、いつから計画を立てていたのか、クラリッサ嬢とアストロにアイリス嬢とペアにされた。


正直なところ、かなり嬉しい。母上にはあんなことを言ったが確かに私は今まで好いた人はいなかったし、諦めてもいた。

初恋が年下、それも妹と同い年であり友人というのは兄としてどうなのだろうか。


「これすごい」

「飴細工か」


さすがは花の国と言うべきか、様々な花の飴細工があり、その中にはアイリスの花の飴細工があった。


「どうぞ」

「いいんですか?」


買って渡せばとても喜び、ユラエスやエルヴィスの気持ちが分かった気がする。これは甘やかしたくなる。ティアナからは「お母さんに乗っかって婚約申し込めばよかったのに」と言われ、アストロからはヘタレとすら言われる始末。ティアナに関しては正論だ。母上がわざわざ押してくれていたから乗ればよかったのはある。あるが、アストロにヘタレと言われるのはなんなんだ。あいつはあいつで婚約者決めてないだろ。


「嬢ちゃんたち、花姫様の友だちかい?」

「えぇ。知っているのですか?」


リリアナ嬢はこの国でも有名なのか。飴細工屋の店主はこの国で知らない人間はいないと断言する。


「自然に愛されたハゼルトの姫君って産まれたときからこっちじゃ噂されてたさ。はじめてこの国に訪れたときには枯れちまった花を元通りに咲き誇らせたって話だ」


枯れた花を元通りに……。そんなことまでできるのか。人形が生きているように動くのだから可能ではあるんだろうが、不思議なものだな。


「リリアナ……花姫様のことで何か他に噂とかありますか?」

「そうさなぁ……。王太子殿下と仲がよくて植物についての話もよくしてたから婚約するんじゃって話があったよ。まぁ、ハゼルト侯爵家のご令嬢だからないけどな」


ここの人たちは、リリアナ嬢をシティアルの人間としてではなく、ハゼルトの人間として見ているのか。単にこちらとの交流があるのがハゼルトだからか、何か別の理由があるのか…。


……ダメだな。クセで考え始めると止まらなくなる。今はせっかくアストロたちが作ってくれたアイリス嬢との時間を楽しもう。






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