108.
「……何度も言うが、来るのならば屋敷に転移しろ」
話していると建物の方から声がしてきて、そこには女性騎士。銀色のきれいな髪を緩く下で結んでいる。
「さて、何名かはじめましてか。私はカラリエ。マリティアが面倒をかけたな」
「カラリエはマリティアの姉で、サジュエルの一個上」
「マリティア嬢は同い年だっけか?」
この世界、ゲームの都合なんだろうけど子どもたちの年齢が近いよね。仕方ないんだろうけど、違和感はある。普通にこの世界の出産率が高いのもあるんだろうけどさ。
「それにしても、今回はその姿で来たのですね。いつものように、人形のお姿だと思っていましたが」
「今回は皆さまの世話役として来ておりますので」
「……てっきりリリアナがわがままでも言ったのかと」
「なんでそうなるんですか」
ユイさんの本体ってどんな感じなんだろうか。ちょっと見てみたい。
「とりあえず、移動しない?」
「勝手に移動していればよかっただろう。お前たちの庭なんだから」
「再従妹殿~」
「ガンマ、再従兄様以外部屋に転移で」
「こらこら」
そんなことするはずもなく、ちゃんと全員飛んだ。今さらながら、こんなに高等魔法ポンポン使っていいのかな。
「マスター、今日はもう魔法使うの控えてくださいね」
「分かってますよ。心配性ですね」
「すぐ無茶するからだろ」
「あなたの姉たちに言ってやりなさいよ」
「カシア以外まともなのいると思ってない」
あ、そこ姉弟なんだ。あんまり似てない……。
「あ、シャルフとカシアは同じ造られた存在だよ」
「……もっと早く言ってくださいよ」
なるほどね。そう言う……。そりゃあ似てないよ。この人たちに似てる人がいると思えないし。
「ガンマさんは?」
「私の人形です」
あの、護衛の構成が人じゃないんですけど。そこら辺ニーチェル公爵分かっててカシアさん選んだの?
「すぐ動けなくなる忠誠心の欠片もない人間より、ちゃあんと命令通りに動く私らの方が有能だからね~」
「ローズ卿が命令通りに動いてるとこを見たことないんですが」
「そりゃ、私らが命令遵守すべきはゼロとリアであって団長じゃないし」
「郷に入っては郷に従え」
騎士団に入ったのは自分の意思だし、そこは従いましょうよ。あと、普通に迷惑かけるのをやめましょう。常識です。
「シエルの推薦だから大丈夫だが、そうじゃなきゃ除隊まっしぐらだからな」
「それに関しては伯父様が強引すぎるというか」
「あそこはいい加減、ニーチェル公爵以外にも手綱握らないとだろう」
先生を制御は難関すぎるけど、本当にそうしないとまずいよなぁ。頑張ってもらうしかない。