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102.




「……さて、そろそろお暇させてもらう。突然すまなかったな」


ある程度話も落ち着いたため、魔塔に戻るらしい。まだ疑問は多少あるけれど、忙しそうだもんな。


「今度来るときはおじい様にも会ってくださいね」

「あいつはもう私がいなくとも問題ないだろう。……まぁ、気が向けばだな」

「じゃあね。今度はゆっくりできるときに来るよ。ゼロも行くよ」

「………使役者」


ゼロさんの呼び方、分かりにくいけどたぶん私だよね? 前にも使役者って言ってたし。


「友の言葉を忘れるな」

「え?」

「行くぞ」


友の言葉って、誰の言葉ですか。誰かに重要そうなことを言われた覚えはないけど、なんなんだろうか。


「相変わらず、何が視えてるんだか……。やっぱ眼だよなぁ。研究してぇ……」

「眼って取ったら再生しますかね」


なんかすごい怖いこと話してるんですけど!? どうやったら研究から眼を取るって話に持ってくことになるの。


「………やめろよ」

「さすがにしません」

「再従妹殿はやりそうだから怖いんだよ」

「再従兄様でやってあげましょうか?」

「お前らはなんですぐに煽るんだよ」


この二人、仲いいのか本当に分からない。仲良くないワケではなさそうだけど、なんだかなぁ。


「………いつもこんな感じなのか?」

「基本はそうですよ」

「なんつーか、生き生きしてるな」


公爵たちから見た普段のリリアナたちは違うのかな。そこまで変わる印象はないけど。


「リリアナ嬢がここまで話すのははじめて見た」

「リリアナちゃんはかなりお喋りだよ?」

「そのイメージもないですけど……」

「昔は人形みたいって印象強かったもんね」


ゲームで人形姫とか言われてたしなぁ。表情がピクリとも動かない感情のないシティアルの人形姫。実際は多少分かりにくいときもあるけれどこんなに表情豊かなのに。


「……私が喋る前に目の前で喧嘩を繰り広げるのはお父様たちではないですか」

「さっさと親権渡さねぇからだよ」

「貴様らに渡す必要も道理もない」


……そう言えば、シティアル公爵と先生ってバチバチだったな。シティアル公爵からすれば可愛い娘だし、先生からしたら次期ハゼルト当主でもある姪。二人とも考え方もやり方も違うだろうし、こうなるよね。


「最終的にはリリアナ嬢が決めたんだろ?」

「そうなってますけど、そのとき既に婚約してたので選択肢ないですよ。ハゼルトの者との婚姻はハゼルトに来る決まりですし……」


選択肢はなかったってそういうことね。殿下をさすがにハゼルトに行かせるのは無理だし、やるとしたら婚約破棄。手続きとか面倒だもんなぁ。


「よく魔術師たちが引き下がったね」

「あぁ、それに関しては子どもが何人か産まれたらハゼルトに数人行かせるのと、殿下が後継に治世を任せたときにハゼルトに行くことになってるからですよ」


………それ、いろいろと大丈夫か? 主に後継者争いとか。


「ハゼルトはどの代も政治に干渉するのを嫌うから反乱とかも起きねぇよ。どっちかっつーと、政治に干渉させようとして大事にしねぇか心配だが」


ここにいるがっつり政治に干渉してそうなリリアナはなんなんですか……。あと、そんなことで大事にしないで。貴族の義務でしょうが。






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