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オール内藤

作者: 一色 良薬

「ホスピタリティ……騎士(ナイト)?」

「簡単に申し上げますとお客様の深夜のご要望に寄り添う、警護サービスとなっております」

「警護」

「端的に言えばボディーガードでございますね」

「ボディーガード」

 にこにこと説明するスーツの男を前に、覚えたての言葉を復唱する子供のように相槌をうつ。

 ホストクラブやコンセプトカフェにハマるカオリから話を聞いていたせいか、陳腐な名前に「また変なものにお金を溶かして……」なんて思っていた。

「会社での飲み会で帰宅が遅くなった際の送迎。ストーカー対策の夜道の警護。または深夜の些細な買い出しの同行などを行っております。派遣する騎士は全員護身術に長けておりますのでご安心を」

 しかし名前とは裏腹にクリーンでしっかりした事業のようだ。これでまたカオリに貢がせるだけ貢がして、ボロ雑巾のように捨てる仕打ちをするようなら──。

「我が社は依頼者様のご要望を第一優先に考えておりますので」

 私の考えを見透かすように、自らたちを騎士と名乗る優男は笑みを浮かべてお辞儀をした。依頼するつもりもなく、ただ探偵の真似ごとで足を運んだことが居たたまれなくなるほどだ。

「せっかくプラン説明して下さったんですけど、今日はこのまま失礼します」

「おやそうですか。よければ騎士リストを見ていかれてはいかがでしょうか。利用のご検討いただけた際に電話で指名していただければすぐに現場に向かいますので」

 重厚な黒革カバーのリストを手渡され、断る申し訳なさからおずおずと開くと

「内藤……内島……内等……内唐?」

 全員名前がナイトウだ。私のページをめくる速さに、優男の笑いが漏れた。

「少しシャレを含ませております」

「はぁ」

 これじゃあ電話口で指名しても容姿まで指定しなければ分からないじゃないか。

 不服なのが表情から出ていたのか、また優男が笑った。

「ご指名希望であれば是非私の名をお伝え下さい。私、代表の桂馬が対応させていただきます」

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