第6話 男の顔、それは女の敵
男は笑っていた。フードで顔が見えなくても丸わかりだ。しかし、男は私の視線に気づき笑うことをやめた。そして、
「失礼しました。つい、あなたの話がおもしろくて」
・・・リリアの思考回路は停止した。男はフードを取り顔を現したのだ。顔が見れるのはいい。が、その顔に問題があった。男の髪は漆黒・眼は深く透き通った緑色の目、なかなかお目にかかれない美しい容姿をしていた。
きれいな眼・・・って、ビックリした!。久しぶりにシンデレラと肩を並べれる顔を見たわ。あれで男なの?そんなことあっていいの?厚かましい奴ね。女の敵よ。だいたいなんでこんなところにこんな人がいるのよ?太陽の下でサンサンと輝いてなさいよ。はっまさか、整形!?どこを直したのかしら?鼻?顎?それと全身??いくらかかったのかしら。
「・・・お嬢ちゃん、なにが言いたいか顔に出てるよ。」
「えっうそ!?本当にしてるの!?」
「・・・してません。自前です。まさか、こんな風に思う人がいるとは思いませんでした。」
男はなにか面白い物でも見るかのように私を見た。
「失礼しました。不躾でしたわね。なかなかお会いできないような素敵な容姿の男性に正直驚いてしまっって。」
リリアは淑女らしく非礼を詫びた。
「なんだぁ~お譲ちゃん。急にまるでレディのようなしゃべり方になったな~」
伝時屋が変な眼で見てくる。
リリアは考えていた。最初はパニクってしまったがあれほどの容姿と物言い、おそらく貴族であることは間違いない。下手に反感を買うわけにはいかない。しかもここは表の町ではない。貴族である人間が好き好んで裏に来るわけがない。相手も私が庶民ではないことに気づいている可能性もある。ここは穏便に済ませ今日は一度トンずらするしかない。兎に角とっとと帰ろう。
「失礼ですね。ところで本はありますか?」
リリアは半ば強制的に話を変えた。
「いや~ここにはない。取り寄せはできるけど1週間以上はかかると思うが。取り寄せで?」
よかった。日にちがかかるのは結構痛いがこの際仕方ない。手に入るだけましだ。
「ええ、お願いします。では私はまた日を改め・・・」
「さっき言ってた本、わたし持ってますよ」
リリアがとっとと話を終わらせ帰ろうとすると、男は言葉を発した。