第57話
「ところでお姉さま私の心配はいつになったらしてくださるのかしら。私暴君達に襲われたばかりですのよ。まさかお姉さまがこの愉快なショーを企画なさったのかしら?それともその二人?」
「傷一つどころか、髪も服も一切の乱れも見受けしませんが!?」
「リリアさん、落ち着いてください。えーっとすみません。挨拶が遅れて申し訳ありません。自分はリリアさんの友人のディオと申します。お怪我がなくてなによりです?」
「ええ、本当に。王宮の警備は見直されるべきですわね。それとも見直すのは人材かしら」
「ちょっとディオ君に言わなくてもいいでしょう?!私の大事な友人に酷い事いわないでよね!」
先程の夫人のようにディオの外見を否定するような言葉に思わず声を上げる
「勘違いなさらないで。私は彼の外見を非難しているわけではありませんわ。彼と同じ服装の人間が襲いかかってきましたわ。信用には欠けますでしょう」
シルヴィアの一言に初めてジャンに縛りあげられた暴君達の服装に気がついた。
王宮騎士と同じ服装の男がいる。
「リリアさん、彼女の言うとおりです。彼、いえあいつは、所属は違いますが同じ王宮騎士の人間です」
沈痛な顔でディオは同僚を見ていた。お前のような異端者が王女の護衛官など可笑しいと言われた事があった。その時の彼は自分への憎悪はあっても、同じ王家を守る人間として誇りとプライドがあるんだと思っていた。まさか、王族暗殺計画に加わるような人間だったとは。
「でもディオ君は信頼できる友達なんだから酷い言い方しないで。折角ちゃんと紹介しようと思ったのにこの人達のせいで台無しじゃない」
「まぁ、リリア。返り討ちにはしてるけど、怖い目にあってるだがら同じ服装の人間を信用は難しいだろう。ところでアンタ協力してくれないか」
「協力?私に何のメリットがあるんですの」
「ちょっとジャン?何を」
突然ジャンが話に入って来たと思ったら思いもよらない発言にリリアは驚いた。この悪魔に協力を求める?なんの?いえ、それよりも・・・・・
「俺はこいつの友人ではない。が、エリーのよき理解者として失う訳にいかない。アンタさっき魔法を使ったんだろう?王宮内で許可なく魔法を使うのは禁止されている。しかも今日は特にな」
「っ!!」
ジャンの言葉に改めて気づいた。そう王宮内では許可なく魔法の使用を禁止されている。魔法を使える人間も限られているが、その分使用時の影響は強い。王宮で魔法を使っていいのは王宮魔道士として働いている者だけのはず。しかも、王宮内は魔法を使用した場合は王宮内お感知システムが作動するから使ったら直に気づかれる!
しょっしょっしょっぴかれる!!!
そんなっ!玉の輿どころか結局犯罪者の家族!!
「めんど「協力します!いえ、させてください!!」
「致し方ありませんわね。でも何をすればよろしいの。この方達口封じの術が施されてますから、早急に首謀者を割り出したいのでしたら、無理やり術を解くことはできると思いますが・・・・ただ精神破壊が起きますがよろしくて?」
美しい微笑を浮かべ、暴君達に視線を送る姿は、姿だけなら聖母のようだが、後ろには禍々しいオーラに包まれていた。