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第55話

最初は溺愛する王女をこちらに摂りこむ計画でした。私の妻が教育係の立場を手に入れた我々は好都合と考えた。いや、この計画に参加したのは妻が教育係としての任を受ける事がわかり、声がかかったのかもしれない。しかしマリア様は我々の思考を理解しようとしなかった。次第に教育からも逃げるようになり、我々も次の計画に移ることを考えました。マリア様を誘拐し、その罪を今の王政で不満がある平民へなすりつける。そうすることで今のやり方への過ちを理解してもらう。


そんな恐ろしい計画を語りだす。

以前のマリア様が城下町を散策した際も命を狙っていた。

そして今日も・・・・


「我々は計画が上手く行かない事に焦り始めていました。突然現れた謎の下級貴族の娘、そして今まで婚約者どころか、色恋事に興味を持っていなかったシス・・・・・王子に女の影、この舞踏会。我々は思いました。もしかすれば王子は元々王族であるにも関わらず、位の低い貴族や浅ましい平民を王妃として選ぶのではないかと。そのためにこの舞踏会を用意した。もし平民が王家に入りこんでしまえば、他の平民達も自分たちの立場を理解しなくなるかもしれない。仮に貴族であっても位を考えず王家に嫁ごうとするなど、あってはならない。ここまで続いてきた我々の歴史が変わってしまう。我々の誇りがそれを許せなかった。だから計画を変更しようとしました。

今日ここに現れる王子の相手を亡き者にしようと・・・・」


「あら、王子様本命の方がいたのね。だからこんな舞踏会を?でもそうするとその方が危ないって事よね?」


「そうなりますね。直に保護した方がいいですね」



「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」


私とディオ君は今日の計画の一部を聞き、今にも命を狙われているかもしれない、見ず知らずの女性の身を案じた。しかし・・・・・


「あのさ、全然気づいてないみたいだから言うけど、あんた一応候補に入ってたと思うよ、この人らの仲じゃ」

ジャンが気まずい感じで言う。


「何が?」


「だから王子の本命候補だよ。普通気づかねーか?お前ら」


「「・・・・・・ありえない(ありえないです)」」


「「・・・・・・・・・」」


リリアだけでなくディオも力強く否定する姿にジャンと伯爵はなんとも言えない気持ちになる。


「リリアさんは違う意味で王太子殿下を殺しかねません」


「ディオ君。きのこの事まだ根にもってるわね、実は」


「あの日は一生忘れないでしょう。そもそもリリアさん、王太子殿下との結婚や王妃などに興味が?」


「や、全然。できれば下級貴族か平民でもいいので一緒にいて落ち着く自然な顔、そして食いっぱぐれない程度でいいので安定した仕事についている方が理想です!って、私の方じゃなくて、そもそも王子様が私みたいな平凡な人間を選ぶと思います?普通?」


「リリアさん、平凡の意味知ってます?」


「知ってるわよ、むしろ代表だわ」



「・・・・・話を戻してくれ、時間がない」


「・・・・もう遅い。恐らく既に我々の仲間は王子の本命に接触しているはずだ」


「どういうことだ」


「舞踏会の準備の際、王子は招待状を自ら一つ追加し、人に渡したと情報が入ったんです

「・・・・・え?」


「・・・もしかして俺がリリアさんに渡したやつですかね」


「そうだ。王子が直接動いたこと、そしてその招待状一度作られれ配布されたのとは違うものだと知り、それが最終的にお前の・・・・いえ、貴女の家に届けられた。だが今日我々の仲間が確認した際、貴女は普通の招待状で城に入っている。もう一人の姉も」


「・・・・・えっと・・・・・つまりその、私がディオ君に用意してもらった新しい招待状をもっている人が襲われるって事?」


「はい。私の役目はその本命との繋がりをもっている貴女の始末。いや、正確には王子が手に入らない、嫉妬に狂った浅ましい下級貴族として最終的に罪をなすりつける予定だった」


え、私かなりの凶悪犯じゃん。その冤罪。

ていうか、それって・・・・



「ひぃぃぃいいいいーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!?????なんて事を!!!???こっこ・・・殺される!」


「ちゅーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!???」

あの娘を殺そうだなんて・・・・なんてこと!

そんなのやり殺される!!というか、その原因になった私もやられる!!

ガタガタブルブルガタガタブルブル

リリアとチュウ吉はシルヴィアからの報復・・・・お仕置きを恐れ震えた。



「落ち着いて下さい、リリアさん!妹さんは直に我々が保護するよう動きます」


「招待状もってんのリリア妹なの?え?どういうこと?」


「お前より手慣れた暗殺者を何人も用意していると話していた。もう遅いだろう」


「・・・・・・殺人・・・・呪術・・・・・正当防衛・・・・人殺しの家族・・・罪・・・・牢屋・・・・・農家の未来・・・」


「リリアさん!気を確かに!!まだ妹さんが登城してない可能性もあります!急いで行きましょう!」


心根の優しい少年は優しく力強い言葉をかけてくれる。

しかしリリアの頭はあの娘ではなく自身の身を守るための策を考えていた。


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