第53話
「あぁ、そう言えばどうするの、この人達。っていうかジャン、あんた元々敵じゃなかった?」
リリアとジャンのよく分からない友情が芽生え始めたとき、捕縛していた伯爵が眼を覚まそうとしていた。
2人に尋ねる。何時までもこのままという訳にはいかないだろう。もしかしたら私も事情を聞かれる事になるかもしれないし。
「俺、長いもんには巻かれるタイプなんだ。その方が長生きできるだろう?あんなの敵に回すなんて冗談じゃねえ。にしても、ディオ、こいつビンゴだぜ」
寝返ったわけね。まぁ、カイン様を敵にするには勇気がいるわ。
「まだ仲間がいるかもしれません。尋問します」
「もしかして、この前マリア様を襲うよう命令した人と関係あるの?」
私の質問にディオとジャンはお互い眼を合わせたが、ジャンが思い切ったように言葉をついだ。
「・・・・・・ああ。俺を最初に雇っていた側の人間だ。名前や顔は知らなかったが声には聞き憶えがあった。さっき声を聞いてはっきりしたぜ」
「つまりジョンの元の雇い主はこの人を含める貴族主義の人達って事…」
「って事だな。まぁ、よかったじゃん?お前がこいつらの仲間じゃないって事がとりあえずは証明されたって事だろ」
「おいっ!」
ディオが焦ったように言葉を遮ろうとした。
あ、やっぱりまだ疑われてたんだ。だよね。ありがとう、ディオ君。ディオ君が私の事信用してくれてたって改めて実感できた。流石私の親友。女性限定お一人様2つ限り、時短お化粧水の特売セールに女装させようとしてごめんね。
男性限定の時には私頑張るよ。シークレットブーツも履いて完璧に男装して一緒にセール行こうね。
「・・・・・リリアさん、なんか別の事考えてませんか」
おっと、流石ね。
「いっとくけど、お前が何者かって疑問は残ってるからな?」
煩いわね、ジャン。何者も何も、か弱い年頃の女の子以外に何があるのよ。
「すいません、リリアさん。彼らを地下へ拘束して尋問する必要があるので・・・・その、約束が」
「ああ、いいよ。こっちの方が大事だよね。他にも多分いるんだろうし、お仕事優先してちょうだい。あっ・・・・・でも・・・・」
「ねぇ、その尋問私してみていい?」
「「・・・・・・・はぁぁ!?」」
ディオとジャンの声はシンクロした。