第5話 伝時屋と失礼男
ロドじぃの忠告も無視し半ば強制的に入手した『伝時屋』の場所。それは裏通りの最奥にひっそりとあった。
ってか、『伝時屋』って変な名前ね。しかもこれ何屋さん?本屋って雰囲気じゃないしわね。あの娘が好きそうな雰囲気を醸し出しているのは気のせいかしら。
そんなふうに思いながらもリリアはドアをノックした。
コンコン
「すいませ~ん。本を探しているんですが・・・」
リリアがノックして店に入るとフードで顔を隠した一人の人間がいた。リリアより頭一つ分以上背が高い。おそらく男性だろう。さすが裏通り、みるからに怪しそうな人がいる。部屋自体はさほど広くなく、周りの棚や机に本や骨董品、なぜか家庭用品まで兼ね備えていた。フードをかぶっている男は店員に見えないがとりあえず口を開けようとしたその時、
「めずらしいなぁ~こんな店に若い娘さんが来るなんてよぅ。店をお間違えでねぇか?」
突如店の奥から人の声が聞こえた。慌ててその方向をみると30~40代に見える無精ひげを生やした男がいた。
「いいえ。ここは『伝時屋』でしょ?私本を探しているの。表通りの本屋で置いてなくて。ここなら置いてあるかもしれないと言われたからここに来たのよ」
「そりゃぁ奇特なお嬢さんだ!あんたみないなお嬢さんがこんな場所まで一人で来るなんざ。ここに来る途中なにもなかったかい?」
「スリに2回ほどと恐喝に1回あいかけたけど、後は特に何も。だいたいもし仮に刃物とかで脅されても私はびた一文払うつもりはないわ。」
「・・・」
「・・・」
なぜか妙な顔をされた。しかもフードをかぶっている人も何気にこっちを見ている。
なによぅっ顔も見せないくせに。
「んまぁ、何も?なかったんならいいけどよぅ。んで、ほしい本とやらは?」
「ああ、そんだったわ。『目指せエクソシスト!今日からあなたも悪魔払いができる!!』って本を探しているの。ここに置いてあるかしら?」
「・・・お嬢ちゃん(もはやお嬢さんではない)、変っているって言われない?」
「失礼ね。いたって普通で平凡で一般的で善良な女の子よ!!」
『普通』『一般的』 『平凡』ってお嬢ちゃん、なんか頑なに自分は普通の人です。みないたこといってもなんか違うと思うんだ、俺。
ぶっっっ
今だれか笑ったな。私でもないしこの失礼極まりないおじさんでもない。ってことは・・・リリアはフードをかぶっている男に視線を移した。そして男は肩を震わし笑っていた。
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