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第48話 王子

カインとは違う人を従えるのに慣れた音色。

それを放ったのは金色の髪が神々しいほど輝く美青年だった。

ん?誰かに似ている?誰だっけ・・・・・・




ああ、そうそう!王子様だよ。この国の!何回か見たことある時は遠目だったけど、金髪が無駄に眩しかった王子様だよ。やっぱり遠くで見るより美形度増すなぁ。王子ってだけでお金も名誉もなんでも入ってくるのに美形である必要ってあるのかな。マリア様みたいにお姫様が可愛いとか綺麗ならおとぎ話で語られるくらいだし、癒しになるし花になるけど・・・・・・王子が美形なことに対しての需要ってどこ?嫌味なだけじゃない?


「グラーフ伯爵夫人、一貴族としての貴重な意見有り難く耳に入れさせて頂く。しかし貴女の考えではマリアの教育によくないようだ。本日をもって解任とする。長きの奉仕感謝する。ついては先程の発言を踏まえた礼を後日させて頂こう。それまで城への出入りの禁止を申しつける」

ああ、そうか。無駄に美形じゃないや。綺麗な顔の方が怒った時とか無表情の顔とか怖いものね。需要あったわ。

既に一度理性の糸が切れ、その後すぐに来るなんて予想もしていなかったカインが現れたリリアは冷静な思考回路に戻れず国の王子に対し若干失礼な事を考えていた。


「出ていけ」

黄金王子(笑)が威圧感たっぷりにそう一言話すと、既に顔色を失ったグラーフ伯爵夫人は逃げる様に部屋を出て行った。



「お兄さま!」

マリアの幼く高い声がリリアを現実に引き戻す。

・・・・ん?『お兄さま』?今マリア様お兄さまって言った?ってことはこの人今日主役のあの王子様!?


「あぁ、マリア!すまなかった!最近マリアが授業を嫌がるようになっていたのを知りながら今日までその元凶を排除できず!お兄さまを許しておくれ、可愛い私のマリア。お前には辛い思いばかり・・・・だが今日が滞りなく終わればもうお前にそんな思いはさせないよ。お兄さまが一緒にいてあげよう。勉強だってお兄さまがみてあげるからもう教育係なんていらないね」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、これは王子様じゃなくてただの顔がいいシスコンだ。



「もう!お兄さま。そうじゃないでしょ!マリアのお友達にちゃんと挨拶してよ!」

19歳の青年が6歳の幼女に叱られる姿を目のあたりにする。なんだろう。最近見えはいけないものをよく見てしまっている気がするな。これは忘却か完全に見なかった事にする方が自分の為だな。

リリアは切実にそう思った。


「そうだった、そうだった。ごめんよ、マリア」

妹に叱られているのにデレデレ顔の黄金王子(笑)。うん、アウト。この人未だに婚約者候補もいないのってこれ(極度のシスコン)が原因じゃぁ・・・・・・



「申し遅れた。知っているとは思うがマリアの兄のアルフォードだ。妹が世話になっている。最近塞ぎこみがちだったマリアが元気になったのは貴女のおかげだと聞いている。

感謝してもしきれない、礼を言うぞ。ありがとう」

私に目線を合わせながら黄金王子(笑)は言葉を綴った。


え?今私極度のシスコン黄金王子(笑)基、一国の王子にお礼を言われた?さっきの教育係さんに言った『覚えとけよ。このやろう。きっちり礼をさせてもらうからな」的なお礼ではない感謝のお礼を言われた?え?嘘よね?どうしよう?こういう場合どうするの?よきに計らえ?苦しゅうない?面を上げよ?って上から目線!違うでしょう、自分!!



「えっあ、あの・・・・・そんな!マリア様とは私が勝手に仲良くしてもらってるって言うか・・・・・・ひぃっ!!!やっやめて下さい!びっ美形にお礼言われるとなんか後が怖いんで!!なんか嫌な事が起きそう!!」



「「「「・・・・・・・・・・・・・」」」」

奇特な人だと感じている顔、面と向って言われた言葉に驚愕する顔、素直に『仲良し』に反応し笑顔になる顔、意味深に微笑む顔。見事にその場にいた4人はリリアの言葉に別々の反応を示した。誰も何も喋れなかったが・・・・


悲しいかな。普段のシンデレラの邪悪な笑みやカインの悪質な微笑を見た後では美形に美形かつお偉いさん(笑)に心から?の礼を言われた所で受け入れられるはずがなかった。というか軽くパニックに陥った。

が、後にリリアはこの時自分の危険回避能力は誤作動なく発動していた事を後ほど知ることになる。


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