第38話 勝者と敗者
「ねぇ、シンデレラ」
「はい、なんでしょう?」
「お城の舞踏会行きたくない?」
「いいえ、まったく。米つぶほどにもありません」
「・・・・・・・・」
第1ラウンド勝者シルヴィア
「でも、王子様に会えるまたとない機会だよ?」
「王子とて所詮ただの人ですわ。会って何かメリットでもありますの?」
「・・・・・・・」
第2ラウンド勝者シルヴィア
「国中の人が集まるじゃない?あんたの好きそうな職種・・・・研究者とか魔女とか黒魔術師とか来るかもしれないじゃない?」
「仮に来ていたとして、どう見分ければいいんですの?会場は正装しないと入れませんわよ。それに後半の黒魔術師は来ている時点でしょっ引かれますわ」
「・・・・・・・・」
第3ラウンド勝者シルヴィア
「モルモット欲しいって言ってたじゃない?お城は広いから新しいネズミも手に入るかも」
「まぁ、欲しいしお城にはいるでしょうけど、そう簡単にお城のネズミが捕まえられたら衛生的に問題ですわ。そんな所の食事は頂きたくありません」
「・・・・・・(確かに)」
第4ラウンド勝者シルヴィア
「お城には図書館があるわよ。普通では手に入らないあんたの好きそうな禁書もあるんじゃない?」
「ええ、数少ないお城の魅力の1つですわね。でもあそこの本は1つ1つに呪いが掛っていて解読が難しく、王族の血脈者でないと開くころができないんですの」
「そうなの!?(ていうか、なんでそんな情報知ってるの!?)」
「ええ、残念ですわ。流石に王族の方を洗脳・・・・お願いするのは難しいですもの」
「・・・・・(今、洗脳って言った)」
第5ラウンド勝者シルヴィア
「で、でも、舞踏会を機会に王子様と仲良くなれば見せてもらえるかも!!」
「まぁ、お姉さま。そう簡単に禁書を見せる様ではとても王子とは言えない浅はかな人間ですわ。将来王になる方でしょう。その方が国の頂点に立てばすぐに国は右肩下がりに傾きますわ。女一人の願いに簡単に応じる様な王・・・そんな愚王の下で私生活なんてしたくありませんわ」
「・・・・・・(国の王子に向かって愚王・・・)」
第6ラウンド勝者シルヴィア
「貴女は舞踏会に行かなくてはならない。もし行かなければ大きな災いが貴女を襲うだろう」
「・・・・なんの真似ですの」
「最近町で有名な占い師の言葉よ(嘘)!行かないと大変なことのなるかもしれないわ!」
「まぁ、それは大変ですわ。急いで災いの元を断たなくてはなりませんわね。お城の一部が爆破でもされたら舞踏会は中止になるかしら?今、面白い実験をしていますの。丁度試してみたかったので丁度いいですわ。リリア姉さま、その占い師はどちらにいらっしゃるの?ぜひ今後についてご相談したいわ」
「ごめんなさい。嘘です」
「まぁ、安心しましたわ。新しい実験の成果を試してみたかったのですが、これは別の機会にしましょうか。ああ、でもリリア姉さま、わたくしに今嘘を?ひどいですわ。わたくしに嘘をつくだなんて。大好きなお姉さまに嘘をつかれるなんて・・・この悲しみを癒すことは難しいですわ」
「ごっごめんね?そうだ!『エマ』のチーズケーキ買って来るわ!だから・・・・」
しまった!シンデレラに害がない嘘はつけるけど、契約上(無理やりされた下僕下契約)基本的に嘘はつけないし、ばれると恐ろしいお仕置きがまっている!
「いいえ、リリア姉さま。嘘は嘘ですわ、ねぇ?」
「!っいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
第7ラウンド勝者シルヴィア