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第35話 御返し

 

 ガシャン!



「・・・・・・・・」




「・・・・・・・・」




「・・・・お姉さま」




「・・・・わかってる、お願いだから言わないで」




「取敢えず片付けないと怪我してしまいますわ」


「・・・そうね。箒を持って来てちょうだい」


私の言葉にシンデレラは背を向けすぐに箒を取りに向かう。

やってしまった。私としたことがこんな失敗を犯すなんて・・・ああ、折角の今日のメインディッシュ、白身魚のムニエルちゃんが床と熱い接吻を・・・・

この皿も結構気入ってたのに。綺麗に割れちゃったな。買い物も忘れて帰ってきちゃったし






なんでこんなことに・・・・






時は少し遡り



「ごめんね、送ってもらっちゃって。お城さえ出られれば1人で帰れるから」

マリア様との楽しいお茶会が終わり、私は家に帰る為に来た時同様ディオ君と城の中を歩いていた。


「そう言うわけにはいきません。家までお送りします。町に出れば辻馬車もありますし」


「いやいや、いいって。買い物も残ってるし、それに今はまだ仕事中でしょ?」


「しかし・・・」



「では、私が送って行きましょう。丁度時間も空いていますし」


私たちの会話に突然第三者の声が入りこむ。

声の方向に顔を向けた。声の主は


「カイン様!? 」


「なぜ、ここに!?」


私たちは驚き、その驚きをそのまま言葉にする。

なんで居るの!?いや、ここで働いているんだから居てもおかしくないけどさ。


「丁度仕事がひと段落ついたところだったんですよ。マルク隊長から貴女が今日ここに来る予定だと聞いていたので休憩がてら御挨拶に行こうとしていたところだったんですが・・・もう帰られるのですね。折角ですし私がお送りしますよ。ディオ、君もそれでいいですか?」


why?何故!?

くそっ不意打ち過ぎないか?心の準備ってものがあるのよ、こっちには!!

いやでも責任感が強く真面目っ子なディオ君のことだ、きっと断ってくれるはずだ。

お願い。君に届け、この想い!!





「・・・・はい。では、お願いします」


よよいっ!?デっディオ君!?そこは断ってよ。何言ってるの、ねぇ?この人と2人きりなんて耐えれないよ?この人はね、人の心の平穏を乱す危険人物なんだよ!?騎士なんだからそんな危険な人と乙女を2人きりにするなんて問題でしょう?いくら私が手も出されないような女でもここは察してよ!!



「あ、リリアさん、例の物、出来次第お届けしますね」

では、失礼します。


そう言うと私たちに一礼し、彼は無情にも去って行った。





しばらくは他愛のない話をした。カイン様は上司が仕事をしないので困っているらしい。お役所仕事も大変そうだ。

なんとか普通に会話ができている。

が、





「ところでさっき言っていた例の物とは?」


ぎくっ!!

やっぱり突っ込まれるか。


「いや・・・・その・・・大したことではないんです、はい」

なんとなく言いにくく言葉に詰まってしまう。


「・・・・そうですか」


スゥーとカイン様周囲から冷気が流れた気がした。

心なしか寒い。なんで?


「あっあの・・・・・・これ!!」


耐えきれなくなり私は手に持っていた袋をカイン様に差し出す。


「なんですか?」

カイン様も解らないという表情でこちらを見る。


「あっこの前は本と・・・・ネックレスありがとうございました!でっ、貰ってるばかりでは悪いのでこれっ!」


「開けていいですか?」


無言で頷く。


カイン様が袋の中に入っている箱を開ける。


「これは・・・」


中に入っていたのはティーカップ。

私がこの前マリア様たちと一緒に作ったやつだ。


「あ、そのホント、全然いいものでなくて申し訳ないんですけど・・・・お礼どうすればいいかわからなくて・・・お仕事基本デスクワークって言ってたからティーカップなら使えるし渡してもあんま邪魔にならないかなぁって思って・・・・絵柄も男の人が持っててもおかしくない感じだとは思うんですけど・・・・・・・ああっやっぱり駄目です!こんな素人が作った、しかもティーカップなんて!!また、今度お礼します。すいません、返して・・・」


「お断りします」



へ?


「もう頂きました。返しません、絶対に」

ありがとうございます。大切に使わせて頂きますと笑顔でそう答える。


「いや・・・でも・・・・」

私たちの顔の表情は今まさに相対しているだろう。笑顔vs困窮だ

愛想笑いには見えない。まるで本当にうれしいと思ってくれているようだ。そんなにティーカップが欲しかったのだろうか・・・はっもしや丁度割ってしまって買いに行くのが面倒だったとか?いやいやまさか



カイン様は困惑しきっている私と眼を合わせる。

そして



「駄目ですよ。もう私のものです」



そう言い、妖艶に微笑んだ。








「あ、あのもう1人で帰れます!ええ、ホント!!ごっ、御機嫌よう!!?」





私は堪え切れなくなりそう一言いい




逃げた。










なんだろう、この2人。

書いてる自分が一番逃げたい気持ちにされてしまう。

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