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第31話 後遺症か呪いか

あの日から丸3日がたった。次の日に目を覚ました時はあの娘が作った食事の後遺症から来る妄想とさえ思ってしまった。

けど本と・・・・・・ネックレスの存在が現実であったことを物語ってくれた。

あの日から私はのんびりと毎日を過ごしている。

蒼い空、輝く太陽、心地よいそよ風、木陰の下で大好きな本を読む最高のひと時・・・・・ああ、なんて幸せなのかしら。時が止まってくれたらいいのに・・・・・なんか大事なことを忘れている気がするけどまぁ、いいか~あ~~気持ちいい




「・・・・さま、お姉さま、起きて下さい」


・・・・ん~だれよ、私の至福の時を邪魔する奴は。


「・・・お姉さま、早く起きないとお義母様たちが帰って来ますわよ?いいんですの?」


・・・・ん?お母様?


「・・・・うわっ!うそっ寝てた!?」


「はい。とっても気持ちよさそうに」


うわ~余りに気持ち良くてそのまま木陰の下で寝ていたのか~

太陽が大分傾いて来ている。相当寝てたわね・・・・


「ありがとう、急いで食事の支度するわね」

リリアはシンデレラにお礼を言い、身体を起こした。

今日の夕飯はなににしようかしら・・・・


「お手伝いしましょうか?」

シンデレラが珍しく自分から手伝おうとしている。が、しかし・・・


「・・・・気持ちだけもらっとくわ」

そう言い、リリアは料理のため台所に足を運んだ。

3日前の夕食を食べ再認識した。こいつは台所に立つ人間ではない。料理することがもはや犯罪だ。あの料理を食べて丸2日舌は完全に逝かれ、思考能力が著しく低下した。卵焼くのに10年かかったがその卵焼きもやっと人間が食せるレベルに達したばかり・・・後10年たったとしてもこれ以上の改善を認めるとは思わない。我が身、そして他の人のためにもあ奴めが食事を作るなどということをしなくてよい環境にならなくては・・・・

そのためにも早く嫁ぎ先を決めて・・・・





バタンッ!!




「リリア!シンデレラ!!いないの!?」


・・・どうやらマリーお姉さま達の御帰還のようね。まぁ、食事の用意も出来ているし、でも、今日はえらい興奮気味だな。



「お姉さま?私はここに居ます。どうかなさったんですか?」

マリーお姉さまはかなり興奮した感じで話しかける。


「もうっ!どうしたじゃないのよ。その様子じゃ知らないみたいね。ねぇ、今日の郵便物はどこ!?」


「マリーお義姉さま、おかえりなさいませ。郵便物でしたら居間のテーブルの上に置いてありますわ」


シンデレラがそう言うとマリーお姉さまはすぐに居間の方に早足で向かう。

なんだと言うのだ、郵便物が。・・・・・郵便物?











『我が国の第一王子であり、マリア様の兄上でもあられますアルフォード様は今年19歳になられるのですがまだ伴侶となるお方が決まっていらっしゃいません。そのため伴侶となる方を見つけるべく、国中の年頃の女性を対象にした舞踏会が開催されるのです。近いうちにすべての町にこの情報が流れ、リリアさんの家にも舞踏会の招待状が届くと思います』









あああああああああああああっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!




しまったっ!招待状か!!せっかく教えてもらってたのに!!くそっあの料理の後遺症かそれとも呪いか!?こんな大事のこと忘れるなんて!!

やばいっお姉さまより先に・・・・



「きゃぁぁぁっ!!本当に招待状よ!アルフォード王子にお会いできるのね!!」


「マリー大声を出すものではないわ。それにこれはこの国の年頃の娘には全員届くものでしょう。喜ぶのはまだ早いわ」

いつのまにかお母様も居間に来ていた。マリーお姉さまの手にはすでに銀色縁取りの白い招待状らしきものが握られていた。



「でも、お母様!アルフォード王子はなかなか社交界にいらっしゃらない方でしょう?それがお妃探しの舞踏会だなんて・・・・ああ、私を選んでくれるかしら・・・」


マリーお姉さまは招待状を胸に抱き頬を染めている。


「マリー、国中といっても王妃にふさわしい娘はあなたしかいないわ。これほどの気品と美貌があるのですから」


「そうねっ!そうに決まってるわ。私ほど王妃に相応しい人間など他にはいないわ。アルフォード王子も私に会えば一目でそう気づくに決まってる!!ああ、でも舞踏会までにもっと美しくならなくては!!」



「まぁ、さすが私の娘ね。ドレスも新しく新調して最新の流行のものにしなくはダメね。宝石も、靴も新しく用意しなくては・・・・」


「お母様、エステの回数も増やさなければいけませんわ!私の美しさをより引き出さなくては!!」


「まぁ、そうね。やることがたくさんあるわ!!舞踏会はいつなの?」


「ええっと・・・・2週間後ね!いやですわ。もう余り時間が・・・」



お母様とマリーお姉さまは私たちの存在など忘れ2人で盛り上がっていた。なぜ、あそこまで自信があるのか・・・・というか最悪だ。赤字だ、大赤字だ!!新しいドレスに宝石、エステに・・・・他にも美容のためにあの人たちは家のお金を湯水のように使うんだ・・・

・・・・・・もう削れるとこはないのに!


「まぁ、お母様、これご覧になって!リリアのはまぁはいいとして、シンデレラにも招待状が届いていますわ!!」


「まぁ、なんてこと」


お姉さまの手には自分宛以外の招待状が手にしてあった。そこには『リリア=フォンス』、『シルヴィア=フォンス』と書かれている。



・・・・なんてことって。国中の年頃の娘全員に配られるんだって!届いて当り前じゃないか。住民登録してるでしょうがっっ!!

しかし、これはまずい。お姉さたちより先にあの娘宛ての招待状を隠しておかなければいかなかった。シンデレラ宛ての招待状を見たらあの人たち・・・・



「ふんっ!あんな小汚い娘には必要ないわ!!」

マリーお姉さまはそう言い、招待状を自分の手でビリビリと破り最後には火のついた暖炉の中に放り投げた。


















  あぁ・・・・・・・終わった。
















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