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第29話 報酬


あの後すぐ上機嫌になったマリア様たちはそのまま城に帰った。


 


ただ一人を残して




「ありがとうございました、リリア嬢。あんなに楽しそうなマリア様を見たのは久しぶりです」

カイン様が私の方に向き直りそう放つ。



「いえ、私も楽しい時間を過ごせました。一時でもあんな可愛らしい妹ができたんですもの」

今日のことを思い出して思わず笑みがこぼれた。


「それはよかった。本当はわたしも同席して一緒に町の見物をしたかったんですか・・・・・・・・また次の機会にしましょう」



「え?」

カイン様が最後の方になにを言ったか聞きとれず思わず聞き返した。


「いえ、あ、忘れるところでした。例の報酬の品です。どうぞ」

カイン様が長方形の箱を私に渡す。割と大きく両手でその箱を手に取った。


「え?あ、私も忘れてました!」


「ふふ、中身があっているか確認して下さい」


そう言われて箱の蓋を開ける。中には間違いなく『目指せエクソシスト!今日からあなたも悪魔払いができる!!』と書かれた本が入っていた。





「ありがとうございます!・・・あれ?」

私は手に本をとりカイン様にお礼を言った。が、本をとった箱にまだ何か入っているのに気づいた。これもまた小さな長方形の箱でこちらは綺麗にラッピングしてある。


「・・・カイン様、これは?」


私は手に取りカイン様に聞いた。間違えて入ったものかな?


「開けてみてください」

カイン様は笑顔でそう一言放つ。不思議に思いながらも言われた通り箱を開けた。





「・・・・・・・・・・・・きれい」


思わずそう一言もらした。中には小さな雫の形をした蒼い色石がついたネックレスが入っていた。


「わたし個人から今日のお礼をこめた物です。受け取って下さい」


「・・・・・え?カイン様から?」

嘘、なんで?こんな高そうなもの。いったい・・・




「だっ駄目です!こんな高そうなもの!!」

全力の声で言い放った。


「気にいって頂けませんでしたか・・・・」

カイン様はがしょんぼりとした顔になる。


な、なんでそんな顔するのよ!気にいる、気に入らないの問題じゃないのよ!!



「いやっ!そうじゃなくて・・・・あの、すごい綺麗で・・・」



「気にいって頂けました?」

真顔で聞かれる。


「ええ、すごく・・・」

個人的にはすごく好きだよ。ああいうの。普段はあんまりしないけど素直にあれはいいな。着けてみたいな~て思うよ。でも、今はそんなこといいたいんじゃなくて・・・・





「・・・・よかった」

カイン様はほっとしたように微笑んだ。なんでそんな顔するの!?


そのままカイン様は私の近付き、私の持っているネックレスを手に取った。そしてそのまま・・・・・



「・・・・よくにあいます」




カイン様はネックレスを持ったまま、私の首元に触れ、気付いた時には私の首にはさっきまで持っていたネックレスがついていた。その時見たカイン様の顔は今までにない、とろける様な笑顔だった。

私がもし飴やチョコレートなら間違いなくあの笑顔で原形を留めることができないほど溶けていだろう。それくらい凶悪・・・・・・美しい微笑だった。











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