第26話 ショーという名の拷問
「わーすごい!!怖くないのかな!?」
「凄いね!キレイ!!」
「ママ、あのトラさんカッコいいね!!」
子供たちの賛美が飛び交う。
舞台の上では着ぐるみ暗殺者(トラ人形)が芸をしている。
内容はナイフ投げだったり、火のついた輪に飛び込んだりしている。細かい芸ができないと言うので結構命がけの根性がいる芸を選択した。
ちなみになぜか相方は変装したカイン様がしている。ナイフを投げる時なんか凄かった。本当に刺すのではないかとドキドキもんだ。着ぐるみ暗殺者もギリギリのところで避ける。
必死に逃げている感じの演技がかえっておもしろかった。
着ぐるみ暗殺者の仲間は裏方で舞台を盛り上げる魔法を使っている。普通の人はほとんど力がないため魔法が使えない。だから町の人は魔法で作ったシャボン玉や花が空から降ってくるのを楽しそうに見ていた。
「凄い!凄い!!」
マリア様も興奮ぎみに見ている。眠り粉ですぐ眠っていたため何が起こったかマリア様も他の観客も知らない。
それでいいのだろう・・・
ディオ君も立てるぐらいまでに回復し一緒に見ていた。
「・・・・リリアさん」
「ん?」
ディオ君が小さな声で話しかけてくる。
「すいませんでした」
「へ、何が?」
意味が解らず思わずそう言った。
「・・・・・正直あなたのことを信用していませんでした。それなのに、危険な目にあわせて・・・・守るどころか助けてもらって・・・」
・・・・なんというか、この場合どうすればいいんだろう。
「いやっあれはたまたまうまくいっただけだよ?!それにディオ君はマリア様の護衛で、しっかり守ってたよ?それに不審に思ってもしかないと思うよ?だから、・・・・えっとっ・・・・・・・・・・気にしないで?」
17年の人生の中でかつてこのような扱いを受けたことがあっただろうか?・・・・・いや、ない!こんなっこんな風に下手?に出られ、心の底からの謝罪を受けたことなどない!!常にあの自己中心的で自由な人間に囲まれた生活・・・・・・・
謝られることや心配されることに慣れていないリリアはある意味感動していた。しかし、そのような体験がないためどう返していいかわからず、まともな返事を返せない。
ここはひとつ・・・・・
「んじゃぁ、ディオ君に一つお願いがあるんだ。お願い聞いてくれたら今日のことはチャラね。いい?」
「?わたしができることであれば・・・」
真剣な眼差しで見つめるディオ君に私はお願いを言った。