第25話 警戒音
怖い・・・痺れ粉は効いてないはずなのに体が動かない。初めて会った時よりも数段と・・・
あれ、もしかして私が犯人と思われる?着ぐるみ暗殺者倒れてるし・・・一人で立ってるし・・・
リリアが頭の片隅でそんなことを思っている間にカイン様が目の前まで来ていた。カインの手が頬に触れる。そのままゆっくりと頬を撫でた。
ぼさぼさになっている髪を梳く。今日同じようにシンデレラにされた行為なのに、何かが違っていた。
・・・・警報音がなる。離れた方がいい。そう思うのに離れられない。
「・・・・・・怪我はないようですね」
たった数秒だったかもしれない。でもなん10分にでも感じられたその行為はカインの一言により中断される。そう言ったカイン様の眼はいつもの綺麗な深い緑色の眼をしていた。
『 』
カインが何か呪文のようなものを唱えた。同時に着ぐるみ暗殺者が眩い光のリングに包まれる。
「くっ今度はなんだっ!動けない!」
「大人しくしなさい。あなたのお仲間ももう捕まえましたよ。」
ああ、カイン様は魔法が使えるんだ。
大人しくなった着ぐるみ暗殺者を一瞥した後カイン様はディオ君とディオ君に抱かれて眠るマリア様の方に視線を向ける。
「ディオ、大丈夫ですか?」
「・・・・はい。申し訳ありませんでした」
ディオ君は謝罪の言葉を口にする。マリア様を守れなかったとでも言いたいのだろうか。私的にはディオ君は最善を尽くして、自分の身を盾にしてマリア様を守っていたと思う。でも、それを私が口にした所でディオ君は余計に惨めに思うかもしれない。
「あなたが近くにいたから我々も助かりました。シールドを破るのに少々時間がかかりましたからね・・・無事で何よりです。リリア嬢あなたにも心からの感謝を・・・」
「えっいえ、わたしは何もっ!!」
「おいっこら!嘘つくな!!というか、早く中のこれ(タコ)取ってくれっ!」
着ぐるみ暗殺者が余計な突っ込みを入れてくる。
「・・・カイン様、この後この着ぐるみ暗殺者どうなりますか?」
リリアは着ぐるみ暗殺者の言葉を完全無視しカインに話しかける。
「とりあえず黒幕を吐いてもらうまで尋問(拷問)ですかね。その後牢屋かな」
「・・・すぐに連れていきますか?」
「・・・ええ、危険ですからね」
カインはリリアの質問の意味が解らなかった。が、リリアの次の言葉に言葉を失う。
「少し待って頂けませんか?私もマリア様もショーを楽しみにしてたんです。この人が居なくなったらだれがショーをするんですか!?眠ってるけど他にもお客さん居るんですよ。あの人たちだって見たいから来てるのに・・・・・ぼったくりもいいとこです!!」
「まだ、金は取ってねぇだろっ!!状況考えろよ、あんた!」
指名された着ぐるみ暗殺者が吠えるように言う。
「なによっ!あなたこれだけたくさんの人たちが来てくれたのよ。何もせずただ眠って貰いました、じゃダメでしょう!?それにこの人たちが起きた時に寝てしまったことやショーが無くなったことを知れば不審に思うかもしれないでしょ!?あなた責任とれるの!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「確かに一理ありますね。」
カインは納得とでも言うような口ぶりだ。
「じゃぁ、みなさんを起こしてショーをしましょうか。できますよね?」
「えっ!?おかしくない?ねぇ、おかしくない??」
俺本当の旅芸人じゃないよ!
そんな着ぐるみ暗殺者の声は届かなかった。