第23話 ショータイム
「リリア姉さま、ショーってどんなの?オペラ?踊り?それとも合唱団みたいなやつ?」
「ふふ、見てのお楽しみよ」
「えぇ~、また“ふうせん”もらえるかな?」
マリア様はさっき着ぐるみが宣伝のチラシと一緒に配っていた赤い風船を見ながら言う。よっぽど気に入ったらしい。
「ええ、きっともらえるわよ」
マリア様と他愛のない会話をしているうちにショーの場所についた。小さな舞台のようなものがあり、他にも結構な数の客がいた。
舞台の上にはさっきの着ぐるみがいた。どうやらそろそろ始めるらしくパフォーマンスをしている。あんな物を被っているのに足取りは軽やかだ。
着ぐるみが礼をしたのと同時に大きな音がなった。
パンッ!!
音と同時にピンク色の粉みたいなものが空に舞う。
花火?かしら?それても・・・
リリアの考えは途中で中断された。
「リリアさん、その粉を吸わないで!!」
ディオ君の切羽詰まった声が聞こえる。
ディオ君の方を見ればマリア様を守るように抱え込み、口もとを手で塞いでいた。よく見れば周りの人たちがつぎつぎと倒れていく姿があった。
私も急いで口元を覆う。
「残念。もう一発あるんだ♪」
そう誰かが歌うような声で囁いた。
同時にマリア様の持っている風船がわれた。