第21話 タコとマヨネーズ
私たちは職人さんに窯焼きを頼んだ後町の市場に乗り出した。この町の市場は多くの新鮮な食材を置いている。市場は多くの人で賑わっていた。
「リ、リリア姉さま、あれ何!?怪物!?」
「あれはタコという海に住んでいる生き物よ。軟体生物と言って骨がなく、足が8本あるの。大きなものは3m・・・そうね、私の倍くらいの大きさのもいるわ。敵が近付くと口から黒い液『墨』というものを吐いて目くらましをするの。昔は食べたりしなかったらしいけど、今では市場で手に入るわね」
「・・・食べれるの?」
マリア様は顔が真っ青だ。でも眼はタコにくぎ付け状態である。ディオ君も「食べれるの、これ?」といった感じでタコを見ている。
「そうね~あっ、タコを使った『たこ焼き』と言う料理があるわ。とっても美味しいのよ。後で買いましょうか?」
「えっ・・・うん」
「・・・食べるんですか」
美味しいのに・・・
マリア様ははじめて見るものに驚き続けている。他にも搾りたてミルク(農家の人が牛と一緒に来てその場でミルクを搾って売る)をやってみたり、干し肉の存在に驚いたりしていた。
「はい、これがたこ焼きです!」
私たちはしばらくして市場を抜け、町の広場の方に向かった。ここらには屋台などもある。
私はそこで3人分のたこ焼きを買って2人に渡す。
「・・・これがたこ焼き?」
「・・・やつ(タコ)はどこに?」
2人は小さなソースのかかった団子を見て言う。
「ふふっ、まずは食べて見て。熱いから気をつけてね」
私は2人の反応が面白くて、笑いながらたこ焼きを口に入れた。
んん~おひしい~
私が食べたのを見て2人もたこ焼きを口に入れた。
・・・
・・・
「美味しいっ!!」
「・・・・うまいですね」
2人ともそう一言言うとまた食べだした。気に入ったらしい。
「私マヨネーズあんまり好きじゃなかったけど、たこ焼きと一緒に食べると美味しいのね」
マリア様が新発見!とでも言うように言う。
「マヨネーズはすごいのよ。食べ過ぎると体に良くないけどカロリーが高くて栄養価もいいの。遭難した時や災害にあったときでも飢えをしのぐのに効果的ね!
ディオ君、仕事で遠方に行くことがあったら持っていくといいよ。安いし。あ、でも不衛生な場所に置くとすぐ細菌が繁殖しちゃうよ、気をつけて!」
「・・・遠慮しときます」
だんだんとディオ君の私を見る目が変人でも見るかのようになってきている気がする。
気のせいだよね、きっと。
チョコレートの方がよかったかな、あれは保存がきくし、非常食にはもってこいだ。