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第18話 王女

 

 予定より早く『ルノアール』についた。まぁ、大丈夫だろうと店に入る。

店に入るとセバスチャン(仮)はおらず、黒髪でここらでは珍しい褐色の肌をしている無表情の少年がいた。歳はリリアより少し下に見える。恰好は今時の町の若者ファッションだが腰には剣を携えていてミスマッチ感が漂う。


「リリア=フォンス様ですね」  

少年のなんの感情を表さない無機質な声が響いた。


「ええ、そうです」

私が肯定の返答をすると「ご案内します」と一言だけ発し歩き出した。私も後に続く。

そのまま前と同じ部屋の前に付き男が部屋をノックした。


「ディオです。リリア=フォンス様がお着きになりました」

男がまた無機質な音色で言う。ディオといのか、少年。

中から入るよう許可が下りディオがドアを開けた。

部屋の中にはカインと数人の男がいた。おそらく全員騎士だろう。

おのおの町の商人のような格好や農作業の格好、怪しい占い師のような格好・・・・なぜか踊り子の衣装を着ている人もいる。見た目筋肉マッチョの男がその格好をするとキモイを通り越してある意味公害ではないだろうか。

一瞬部屋を間違えたかなぁ~と思いリリアはドアを閉めた。




「リリア嬢、部屋は間違っていませんよ」

そう言いドアが開かてる。ドアを開けたのはカイン様のようだ。

ほっとしてカイン様の顔を見る。


「やっぱり踊り子はダメか~せっかく特注したのによ~」

声の方に向くと田舎から出てきた小市民です!みたいな格好をしたさっきのマッチョがいた。なんとももう着替えたのか。いや、着替えてくれていて助かった。2度と見たくない。


「当り前ですわ、マルク!本当にその格好で護衛するつもりだったのなら隊長の任を降りてもらうどころかクビにしますわ!!」

可愛らしく幼い声が聞こえた。その声と同時に部屋にいた男たちが膝をついた。同時に椅子に座っている金髪・青眼の美少女が現れた。どうやら巨体の男たちに囲まれて見えていなかったようだ。


「うげぇ、それは勘弁。今月厳しいんだわ、姫さん」

マッチョは冗談だって~と美少女に訴える。

でも、俺が目立った方が姫さんもあんま目立たないかなぁと思ったんだけどなぁ~


マッチョはブツブツと言い訳していたがだれ一人耳を貸すものはいなかった。さっき隊長って言われていたけどあれが隊長でいいのかしら。


「あなたが今日私を案内してくれる人ね」

美少女がマッチョへの怒りを収めて私に向き直る。正面から見る美少女は凛としていて

実年齢よりも大人びていた。


「お初にお目にかかります、マリア様。リリア=フォンスと申します。王女様の前で正装での拝見ができず不躾ではありますか、本日は貴重なお役目、心して務めさせて頂きます」

私は膝を折り、頭をフル活動させて習った礼儀作法を活用した。緊張して手に汗をかいているのがわかる。


「頭を上げなさい。今日はよろしくお願いするわ」

その言葉を聞き、下げていた頭を上げる。王女の顔を見ると先ほどと同じように凛とした姿で座っていた。だけど違和感があった。

王女のしゃべり方、態度、姿勢どれも完璧だとは思う。王族としての威厳も見られた。しかし王女はまだ6歳の子供のはずだ。喋り方はいいとしても彼女は子供らしい雰囲気を一つももっていない。まるでそうであるべきかのようにスキがなかった。


「マリア様、私が今日仕事をさせて頂くにあたって一つお聞きしておきたいことがあります。」

 私は思わず言葉を発してしまった。言ってから、しまったと思ったがもう後には引けない。


「なんでしょう?」

マリア様は答える。


「はい。マリア様は町の何をお知りになりたいのでしょうか?」



私がそう言うと部屋の中に緊張感が一気に張りつめた。





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