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第14話 カモミールの香り

 

1時間ほどでほとんどの打ち合わせは終わった。町の見学コースはほぼ決まっており、私はその道々の店がなんなのかなどをガイドすればいいらしい。それくらいなら私ではなくてもいいのではないかと思ったが、どうやら護衛につく人や普通の貴族では説明が難しいらしい。また、女の子?の視点でガイドしてあげた方がマリア様も喜ぶのではないかというのがカインたちの考えらしい。


 「護衛は騎士団のものがつきますが、実際にマリア様と一緒に行動する兵士はおりません。近くに目立たないよう控えさせておきます。そのためあなたとマリア様は姉妹で買い物という設定で動いて頂きます」


 「王女様のそばに護衛がいなくてよろしいのですか?」

 いくら近くにいてもこころともないのではないか?なんかあった時どうすんじゃ。責任とれんぞ!


「マリア様は護衛が好きではないのですよ。いつも一緒にいられては息も詰まるのでしょう。城でもよく兵士や侍女をまいては一人で行動するような子ですから。ですから念のため貴女に通信機をつけさせて頂いてかまいませんか?何かあった場合にすぐ対応できるように致します」

 おいおい、6歳の子供にまかれるのか。大丈夫かな~。まぁ、近くにいるならすぐに助けてもらえるか。ずっとそばで監視されているよりいいものね。私的にも。


 「わかりました」

 

 「ありがとうございます」

カインがお礼を言うのとほぼ同時にドアがノックされた。カインが返事をするとセバスチャン(仮)がカートの上にティーセットを用意して現れた。


 「そろそろ一度休憩をなさった方がよろしいかと思いまして」

セバスチャン(仮)はそう言い、なれた手つきでコップにお茶を入れていく。


正直助かった。1時間緊張続きでヘトヘトである。


「ありがとうございます」


そう言うとセバスチャン(仮)は口もとのしわが一層深くなり笑顔をみせた。


用意を終えるとすぐセバスチャンは部屋を出て行った。


私はいい香りに負けすぐにお茶を一口含んだ。口の中でやさしい香りが広がって気持ちよかった。思わず口が緩み「おいしい」と言葉が漏れた。なんていうお茶かしら。


 「カモミールティ、ハーブティーの一つですよ」

しまった、口に出てたか。そう思いカインの方に顔を向ける。目線が合うとカインの顔はどこかほっとした様な微笑みを浮かべていた。


「よかった。少しは緊張の糸が緩んだようですね。カモミールの香りはリラックスの効果があるんですよ。」

 


  あっ心配してくれてたのか・・・この人もセバスチャン(仮)さんも。それが分かり、なんだがいようにうれしくって恥ずかしい気分になった。耳が熱い。おそらく顔は真っ赤だろう。


「ご心配おかけ致しまして・・・」

精一杯で言う。


「ぷっっ。いえ。こちらこそ、ほとんど無理やりあなたを巻き込んだのは私なのに。緊張するなという方が無理でした。すいません」

カイン様は一度噴き出して笑い、すぐに私の眼を見ながら謝罪を口にした。


カイン様が謝ることがなぜかおかしくって私はとうとう笑ってしまった。


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