第11話 変りない非平凡な朝
チュゥチュゥ
朝か、リリアはそう思ったが昨日のことで疲れていたのかなかなか目を開けれない。小鳥かしら。非常食になるかしら。でもスズメはあまり食べるとこなさそうなのよね。やっぱスープの出汁かな、でも、スズメを餌にもう少し大物を狙うって手もあるわね。
・・・・ん!?チュゥチュゥ?チュンチュンではなく??不思議に思い瞼を開けたその先には
「ぎゃぁぁあぁぁぁあぁーーーーーーー!!」
ね、ネズミ!!ネズミがいる。私のベッドの上に!もう半分意識は飛んでしまっている。
「まぁ、お姉さま。今日は何ですの?」
シンデレラがまたか、とでも言いたげに部屋に入ってきた。
「チュッチョウってベッべッベット・・・ね、ネズミが・・・」
もうなにが言いたいか分からない。
「チューベッド?ネズミ・・・・ああ、こんなところにいたのね。モルモットちゃん!」
シンデレラはネズミに向かって言った。確かにネズミに向かってだ。
「モルモットちゃん!?あんたのペットなの!?」
ネズミがペットなの?
「いいえ。モルモットですわ。ちなみにこの子は2号。1号はおとなしくかごに入ってくれてますのに、昨日実験しようとしたら急に逃げてしまって・・・でも見つかってよかったですわ」
・・モルモット・実験・・・・聞きたくもないいやな言葉だ。なんだかネズミが少し可哀そうになってきた。そう思いネズミに目線を下げると
ネズミは部屋の隅に逃げていた。心なしか目が潤んでいる気がする。
『助けぇて!たつゅけて!きょわいでちゅよぅ!!』
・・・・ネズミの声が聞こえた気がした。んん、幻聴か?最近内職で夜更かししてたからかな。
「あら、実験は成功したようですわね!」
「実験?」
「ええ、今お姉さまにも声が聞こえたでしょう?ネズミちゃんの。」
『声が聞こえゅの?だったら、あのにんげんからたしゅけてくださいでチュウ!』
また、声が聞こえた。ネズミは必至に訴えてくる。できれば受け入れたくない。現実を受け入れるしかないのか・・・せめて小鳥と小リスとか万人受けできそうな生き物であればよかったのに。
「まぁ、かわいがってあげたのに可愛くない子ですわね!」
ああ、たまには平凡に生きたい。普通に起きたいし、普通の会話がしたい。
リリアは思う。しかし思ったところで現実は非平凡。
リリアのいつもの一日が始まる。