第10話 男の正体
「つっっ・・・」
男は痛みのため左目を手で覆う。まさか式神を見破られ、消されるなど思いもしなかった。
部屋の中には2人の男がいた。
「おい、大丈夫か!?何があった?」
もう一人の男が焦った様に言う。
「式神が消された」
「はっ!?おい、あのお譲ちゃんやっぱり危険じゃねぇか?」
「いえ、式神を消したのは別の人物です。彼女はまったく気づいていない。まぁ、住んでいる場所が分かたので、後は普通に調べれば素性が分かります」
問題は式神を消した女・・・あの顔なら社交界でも一番華になりそうな顔だが一度も見たことがない。彼女を姉と言っていたが・・
ククク
今日一日彼女を見ただけでいろんな物が見えた。・・・おもしろい。
男はこれからの事を思うと笑ってしまう。
「・・・」
一人で笑っている男を見てもう一人の男は思った。
こっ怖い!気持ち悪っりぃ~もうやだ。こいつヤダ!!お嬢ちゃん逃げろ!なんか狙われてるぞぅ!!
「今日は帰るますよ。もう一つの仕事頼みましたよ」
男は用は済んだとばかりに帰ろうとする。式神を通して彼女を観察していたため動けなかったのである。
一歩間違えればストーカーだ。
「あぁ~王女さまぁを害そうとする奴らの情報だろぅ。俺じゃなくても城でなんとかしろよぅ」
「何かあるとすれば城下町に出た時が一番怪しい。それならここの『裏』の人間を使う可能性が高い。そのために貴方に依頼にしたんですよ。『伝時屋』いや、情報屋の『伝耳屋』が正しいですかね・・・」
『耳』それは情報を表す。『伝耳屋』は本来情報を売り買いするところである。ただ一つ他の情報屋違うことは王家に害となる情報を売らない忠誠心があるということ。
・・・まぁ、ぶっちゃけ王家もこの男も敵に回すと怖いからな~
伝耳屋は心の中でそっと吐いた。
「お嬢ちゃんの情報はいらねぇの?多分すぐ分かるぜぇ?」
「いえ、結構。彼女のことは自分でします」
男は即答した。まるでそれではつまらない・・・と言うように。
「了解。でわ、またのご来店をお待ちしております。カイン=フォート=アルマンディ公爵。いや、
若き宰相閣下どの」
男は微笑み店を後にした。
若くて宰相とか大丈夫かな?と、自分が一番思ってしまいます。
ついでに彼らはまだリリアの名前を聞いてません。言わずに帰ったから・・・