第1話 シンデレラとその姉
むかし、むかし、後にシンデレラと呼ばれる女の子が生まれました。
女の子はとても可愛らしく、やさしい子で両親と幸せに暮らしていました。ところがある日母親が亡くなってしまったのです。シンデレラは悲しみに暮れ、母を思い泣き崩れる毎日を送っていましたが、そんな娘を哀れに思い父親は新しい妻を迎えたのです。シンデレラは母の死を乗り越え、新しい母親や2人の姉ができたことを喜びましたが幸せな日々は長く続きませんでした。継母たちは父親がいないとシンデレラを虐め始め、流行り病に父親がたおれ亡くなった後はシンデレラをまるで召使のように毎日こき使いはじめました。可哀そうなシンデレラ、こんなにかわいい私が毎日こんな目にあうなんて・・・・・・美しすぎる私がいけないの?美しって罪なのね・・・・ふぅ、などとシンデレラがため息をつきながら考えていると
「ぎょぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!」
と誰かの叫ぶ声が。
すぐに声のする方に向かえば下の義姉、リリアの後ろ姿が現れた。その背中はブルブルと震えている。
「お姉さま、どうなさったの?まるで蛙のような叫び声を出して。はっまさか今度のパーティ用の隠し芸の練習?お上手ですわ。これで殿方もイチコロですわね」
「ちがうわ、ぼけー!!なんでそうなる、さっきの叫び声のどこに男をイチコロにできるところがある!私が叫んでたのはこれよ!」
とリリアが指したのは一冊の本。
「本がどうなさいました?」
「どうなさいました?じゃない!この本にいったいなにをした!」
「今日の朝国立図書館で借りてきた本が、なんで昼にはほとんど原形をとどめいていないの」
「ああ。それはわたしがお姉さまの部屋でジュースを飲みながらごろごろしていたらジュースがこぼれてしまって…あわてて水をかけて漂白剤にもつけたのですがシミが残ってしまいましたわ。」
シンデレラはさらっと事のあらましを告げる。
リリアは怒りを堪えながらも疑問点をぶつけた。
「トマトジュースなのになんで赤以外の色がついているのかしら?」
「それはですね、トマトジュースと漂白剤の匂いが臭かったので他の飲み物も本に染みこませて香りを変えようとしたのですわ、その成果あってなかなか香ることができない香りを醸し出しているでしょう?」
「あほかー!私を殺す気!?冗談抜きで毒ガスかと思ったわ!!」
「まぁ、わたしがお姉さまを殺すだなんで・・・ひどい!あんまりですわ!」
「うるさい、私の大事な本をぼろぼろにしおって。この本どれだけ待ち望んでいたと思ってるの!!何カ月も前から予約してたのに…」
「お姉さま・・・・・・・・過ぎたことはどうしようもありませんわ。そんなことよりもうすぐお義母さまとお姉さまが帰ってきます。早く夕食の用意してくださいませ」
「なんで私がこんなめに・・・・・・・・」
「私がしてもよろしいんですのよ?」
「私を本気で殺す気!?あなたの家事能力はもはやゼロではなくマイナスです。家事をなめるな!そんな人の料理は食べたくない。とりあえず食事を作るからあなたはお母さまたちが帰ってこないか見張ってて!」
「わかりましたわ、ああ、今日はわたくしナポリタンな気分ですわ」
「今日はポトフとピーマンのひき肉づめです」
くっ!我慢、我慢よリリア。今は時間がない。とりあえお母様達が帰ってくるまでに家事を終わらせてシンデレラがしたことにしないと・・・・ああでもあの本どうしよう、やっぱり弁償かしら。まだ読んでもないのに・・・ああ、せめて読んでおくんだった。タイムセールに行かず読めばよかった。でもピーマン安く手に入ったし、カブも人参を安かった。リリアが本日の戦利品に思い出す。
「ピーマンは嫌いですわ・・・」
「今日はピーマンが安あったの!我儘言わない!」
「どけち・・・ですわ」
「っつ!!!!!!」
このアマァーだれのために毎日毎日やっていると思ってる!お前のせいで『目指せエクソシスト!今日からあなたも悪魔払いができる!!』(本の題名)が読めなかったのにーー!!いつか必ず復讐してやる!!家から追い出してやるっ!