√A 一日目 #1
2022.12.23 12:42折水シン
「『怪人セブン』って、シン君は知ってるかな?」 新聞部と写真部を兼ねる部室。僕とその先輩、神﨑月葉はそこで昼食を採っていた。
「先輩ってそういうの好きだよな。なんだよそれ」
「今話題の都市伝説だよ。殺害予告のメールを送ってくる謎の人物だよ。」
全くこの先輩は… はぁ、と軽く溜め息をついた。結構な美人な彼女から全くと言っていい程に浮いた話を聞かないのはこういった変人気質だからだろうか。
「次の記事はこれを題材にするのはどうかな?」
「先輩…もっと新聞部らしいこと題材にしましょうよ。こんなのウチで出さなくてもどっかしらの雑誌がまとめて売り出しますよ。」
「ていうか、殺害予告つってもそんなの偶然の可能性の方が高いだろ。2000%デタラメだ。」
「全く、ロマンが無いね君は。そんなんじゃ人生面白くないだろう?」
ロマン主義な彼女らしい言葉だ。僕も口ではあんなことを言ったものの、彼女の言うような所謂ロマン主義の生き方が嫌いな訳ではなく、むしろ楽しそうで好きだ。
「別にそれが駄目な訳では無いですけど、先輩もうすぐ受験なんだから勉強…って、先輩は成績いいから関係ないんだったわ」
無駄に完璧な所が余計にこの人を残念さをプラスしている気がするのだが。天は良い意味でも悪い意味でも二物を与えるみたいだ。そのことに頭を抱えた。
「まあ、詳しいことはまた後でメール送るから見ておいてね。シン君」
いつのまにか昼食を食べ終えた彼女は、そう言って部室を出ていった。自由な人だ。まあ彼女に恋愛彼女に持っている同級生からすると、それがいいみたいだが。昼食として持ってきていたコンビニのハンバーガーを食べ終えた僕も、部室を出て鍵を閉めた。
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2022.12.23 19:32折水シン
学校から帰宅し、スマホをいじっていると電話の着メロと同時に画面が応答画面に切り替わった。 電話をかけてきたのは先輩で、内容は今日話していた『怪人セブン』とやらことだろうか。早速電話に出た。
『おお良かったちゃんと電話に出てくれて』
先輩は家の外から電話をかけているのか、奥から人の声や風などの環境音が聞こえてきた。
「まあ気になりますからね。ていうか、もしかして外から電話かけてます?今日雪降ってるし止めた方がいいですよ。」 「ああ、大丈夫大丈夫。私意外と寒さに強くてね。ていうか、セーターとコート着てるし、多分シン君でもそこまで寒くないんじゃないかな。」
それで大丈夫か?、と思ったが本人が言っているしだいじょなのだろう。まあなんにせよ今大事なのは例の『怪人』とやらだ。
「例の『怪人セブン』とやらはどんなやつなんですか?」
「うん。それを今から話そうとしていたところだよ。そのセブンさんとやらが最初に出たのがとある匿名掲示板の書き込みでね。7時頃に殺害予告のメールが突然届いたというものだよ。なんでも、その書き込みをした人はメール届いた直後に書き込んだみたいだが、その後すぐに掲示板から居なくなってしまったんだって。セブンさんに殺されたのかもね。」
「次に情報が出たのがTwitterの投稿。これは今も残ってるから見れるよ。ツイート内容は似たようなものだけど、メールの実際のスクリーンショットが撮られてて、送り主の名前が文字化けしてて読めないんだよね。これも送られた時間は7時になってた。とまぁ、これが1週間と待たずに起こったからじわじわとその手の人に伝わったんだよ。」
…いや、いやいやいやこれは流石に無いでしょ。いくらなんでも出来すぎている。掲示板の書き込みとツイートをした人物が違う人物なんていう証拠はない。仮に違う人物だとしても、掲示板をたまたま見ていた可能性もあるだろうに。とそう思った時に、ふと時計を見て気が付いた。
「先輩…」
「ん?どうしたの?」
「今の時刻、七時なんですけど…」
「え?、嘘でしょ?って…本当じゃん!?」
鳥肌が立つとはこのことだろうか。思わずスマホを落としてしまった。待て、待て、待つんだ。そのセブンとやらは実際には存在しないはずだ。いや、居るわけがない。 僕は落としたスマホを再び手に取った。
と同時にメールが届いた。




