表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かつて最凶と恐れられた悪魔の話  作者: 日暮キルハ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/56

五十一

「……言い残すことはあるか?」


「酷いな。事情を聞いてくれたりはしないのかい?」


「二人を引き取る時に言ったはずだ。俺に無断で二人にちょっかいをかけたら地獄の果てまででも追いかけて殺すって」


「……あぁこの殺気、久しぶりだね。昔のクロを思い出すよ」


 余裕綽々。そんな雰囲気でグレイは笑みを浮かべて俺の殺意を受け流す。

 その手には、ぐったりと力なくグレイに抱えられているリアが居た。


「心配か? 大丈夫さ、命関わるような怪我は一つもしてないよ。今はね」


「……」


「私としても、君と真正面から闘うのは避けたい。強くなったつもりではいるけれど、本気になった君に勝てる保証はないからね」


「Sランク冒険者にまでなっておいて実力差も測れないのか?」


 とは言ったものの、本気で思っているわけではない。

 何かがあるのだろう。グレイに俺の前で立たせるだけの何かが。

 油断はできない。


「私が最強になる為の研究」


 ただでさえ人質を取られた状況。何が起きても後手に回らないようにグレイの一挙手一投足に注意を払っているとそんな言葉が聞こえた。


「……感心しないな。人の物に勝手に触ってはいけないだろう?」


「……×月×日、師匠が死んでしまった。神に殺されたらしい。師匠は間違いなく誰よりも強い人だった。きっと、神が相手でも一方的にやられたりはしなかったはずだ。でも、死んでしまった。殺されてしまった。私の目標は師匠よりも強くなることだったのに。だから、師匠よりも強くなって神って奴を殺すことにする。そうしたら私は師匠よりも強くなったと言えるから」


 エリオラが手に取ったそれを見て、わずかにグレイが顔をしかめた。エリオラにもそれは見えていたらしくゆっくりと聞き取りやすい速度で手に持ったそれを音読し始める。


「□月□日、師匠を殺した神の強さが分からない。そもそも会い方も分からない。分からないことだらけだが、とりあえず当面の目標は決まった。クロに勝てるようになろう。彼は師匠を除けば私の知る最も強い人だから」


 それは研究資料というよりは日記のようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ