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かつて最凶と恐れられた悪魔の話  作者: 日暮キルハ


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四十七

「……私が聞かされている話と全然違う。アリーシャ様は病気で亡くなったって」


「神に殺されたなんて話、言っても普通は信じられないだろ。病気で死んだってことにした方が何かと都合も良かった」


 俺はアリーシャに召喚されたただの悪魔。その体でエリオラへの話は済ませた。元最強の悪魔だのなんだのという肩書きは話を進めるうえで邪魔にしかなり得ないから。

 それを聞いてのエリオラの最初の反応がこれ。

 世間一般的にはアリーシャは病気で死んだことになっている。国王がそういうことで片付けた。

 最強の魔導士が殺されたなんて不安が広がるのは避けるべき事態だっただろうし、病気で片付けた方が色々な方面に都合がよかった。

 最強の魔導士でも病気には勝てなかったということで民衆にも受け入れられる。


「……そのあとはどうしたの?」


「大変だったぞ。なにしろこれまで死体の山を築くようなことしかしてこなかった訳だからな。一通りの家事が身につくまでは酷いものだった。酷すぎてそれを理由に弟子の国王が『一時的に預かろうか?』なんて言い出す始末だったからな。一時的が永久になりそうだったから断ったけど」


 そういう意味じゃ俺も結局二人に普通の教育をしてやれたとは言えないか。

 あの時、国王に預けていればそれこそ普通とは正反対に位置するような待遇を受けて二人は溺愛され育っただろう。だから、それを断ったこと自体に後悔は微塵もない。だが、だからといって人並みかどうかですら怪しいような生活を一時的とはいえ送らせたことも問題だ。


「悪魔が家事……」


「それの違和感は今更だろ」


 おかしなものを見る様な目で見ているがそんなの今更の話だ。

 俺を悪魔という種族で捉えた場合、それは当たり前の反応なのだろうけれど、これまで散々関わっておいてそんなことで違和感を持たれても今更なんだとしか思えない。


「ちなみに最近はケーキ作りにこりだした」


「そんなこと聞いてない」


 なぜ、嫌そうな顔をするのか。リアとか大喜びだったぞ。

 そういやアルも複雑な顔してたっけな。

 俺の家事スキルが上達するのは喜ばしいことだろうに。意味が分からん。


「そこを曲がれ」


「了解」


 転移魔法で若干のショートカットを図って指示通りに曲がる。

 どうにもまだ目的地には着きそうもない。

 結構な距離を移動したような気がするけれどまだだろうか。

 契約を結んでいるからエリオラが適当なことをするとは思っていないが、それでもやっぱり落ち着かない。


「……それで? 聞きたいことはもうないな?」


 談笑なんて微笑ましいものでもないが、黙っていると余計なことを考えてしまいそうになる。

 だったら、エリオラの尋問じみた質問に付き合っている方がいくらかましだった。

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