二十四
アリーシャが死んだとき、誰がリアとアルを引き取るかで一悶着があった。
結果的には俺が引き取ることに決まったのだが、その時の条件として俺は一切の力の使用を禁止された。理由は改めて確認するまでもなく悪魔が危険だからだ。
普通にその約束は破っている。だって悪魔だし。悪魔と口約束とかとても正気とは思えない。まぁ、この国の王はアリーシャの一番弟子だったからたぶんわざとだと思うけど。
エリオラの言うような名前も知られていない悪魔として処理してくれたのもそいつだ。実際、クロなんて悪魔が何かをやったということはないのであながち嘘でもないが、色々とやってくれている。
だからこそ、ここで余計なボロを出すわけにはいかない。
「……ほんの二時間前の話です。私はワイバーン討伐の命を受けました。それは決して珍しいことではありません。しかし、そのワイバーンはありとあらゆる点で通常のワイバーンとは違っていました」
「……へぇ、そうなことが」
反応を探るように何があったのかつらつらと語り出すエリオラ。目が怖い。話に集中できない。いや、見た状況そのまんまなんだから改めて話を聞く必要もないんだけどさ。
とにかく、余計な事だけは言わないようにしないと。
「考え得る全てが不発に終わり、魔力も尽きてしまい身動きすら取れない状況にさすがの私も死を悟りました。ですが、そこに現れたのです。冒険者ノワールが」
「そんなことがあったのなら、休んだ方がいいのでは?」
純粋にそう思う。見た感じそこまで酷い傷はないけど、だからといってこんなところで仕事に励んでいられるほど元気かというとそれは怪しい所だろう。
少なくとも死にかけたあとにするようなことじゃない。
「ノワールの話は度々耳にしていました。正体不明の実力派。警戒すべき人物であると」
俺の心配は無視された。
「……そうだったんですか」
しかしなるほど。だからノワールの事を知っていたのか。
というか色んな所から警戒されてるのな俺。
「話に聞いていた以上の実力でした」
「……」
「ワイバーンはノワール一人に手も足も出ていませんでした」
「……」
ワイバーンじゃなくて青龍。
だけど、擬態を解いた頃にはエリオラは気を失っていたはず。
ということはそれ以前に俺が疑われるような何かがあった?
「ワイバーンはノワールに向けて極大のブレスを放ちました。きっと私では聖天魔法を用いても防ぎきれないほどの代物です。それをノワールは一体どのように防いだと思いますか?」
「……さぁ?」
極大のブレス。
心当たりがあるとすれば青龍が擬態を解いてから放ったブレスだろうけど、あの時エリオラは気を失っていたはずだ。
ブラフか?
「彼は【虚無ノ黒】、つまり暗黒魔法を使ってそのブレスを防いだのです」




