表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かつて最凶と恐れられた悪魔の話  作者: 日暮キルハ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/56

十四

「騎士が出向くとなれば、私の出る幕はなさそうですね」


 というか出向いてしまえばそっちの方が問題になる。

 騎士様方がワイバーンを狩ろうとしているのにそこに横やりを入れるような真似をすれば良い顔はされない。良い顔どころか敵意をぶつけられたっておかしくない。俺個人の問題で収まるのならともかく冒険者全体の問題になんて発展したものなら目も当てられない。


 そんな馬鹿げたことできるわけない。


「そ、そこを何とかできないだろうか」

「……そもそも、どうして言い訳もできないような距離に来るまでワイバーンを放っておいたのですか?」


 欲をかき過ぎたと言ってしまえばそれだけのことなのかもしれない。だが、この貴族様は目先の欲に惑わされて先が見えなくなるような愚か者ではなかったはずだ。

 きちんと他の誰にも発見できないような、探そうと思わなければ見つからないような、人が近くにいない場所にいるような、そういうワイバーンを見つけ出して最善の注意を払って冒険者に依頼をしていたはずだ。


 俺一人に依頼したことも大概おかしな話だが、他の誰かが見つけて国に報告してしまうような距離にまで近づいたワイバーンを放っておいたことはそれ以上におかしい。


「たしかに距離はあるはずだったんだ」


「……」


「依頼を出した日から逆算しても、こんなに早くここまで来ることができるはずはないはずだった」


「……」


「信じて貰えないかもしれないが、あのワイバーンは何かがおかしいのではないだろうかと思う」


「いえ、依頼主の発言はできる限り尊重することにしていますので。貴方がそういうのならきっとそうなのでしょう」


 褒められたことではないが、この貴族様はよくワイバーンを見つけては冒険者に狩らせて素材を手に入れている。そんな貴族様がワイバーンの来る速度を見誤るというのはたしかにおかしな話だった。

 冒険者としての矜持云々を除いても、貴族様の話は信用するに値する。


「……」


 さて、ならどうすればいいか。

 一番簡単なのは何も聞かなかったことにしてこのまま引き返すことだろう。ワイバーンが普通と違うにしても違わないにしても帰ってしまえば俺には関係のないことだ。貴族様は責任を問われるかもしれないが、やはり俺にとっては関係のないこと。

 ただ、それを貴族様は許してくれないだろう。


「……」


 言葉には出さないまでも「帰らないよね? 見捨てないよね?」みたいな目で見てるし、たぶん見なかったふりをして帰るなんてのは無理な話だ。

 ノワールは都合が悪くなったら依頼主を見捨てる冷酷な冒険者だ。なんて噂が広まっても困るからな。

 それにノワールは一度受けた依頼は必ずこなす。かなり思っていた依頼とは違うけど、このままにしておくわけにはいかない……だろう。


 あぁ、くそっ。絶対報酬増やしてもらうからな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ