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小品

ニュースが無い日

作者: 星野☆明美

どうしよう。

報道スタジオは騒然としていた。

報道することが、ない。

こんなことってあるのか?

「本番五分まえー」

「どうしますか?」

「てきとーにやっちゃって」

「んな無茶苦茶な」

「5秒前、4、3、……」

「こんばんは、報道毎日です」

「えーと、今日はおおむね晴れた天気でした。ね、山際さん?」

「ええ、はい。ところによってはにわか雨もあったようですが、だいたいにおいて晴れでした」

「……」

「……」

「今日は何を食べましたか?」

「即席の味噌汁とご飯、お昼はおかかのおにぎり」

「私はオレンジジュースとサンドイッチ、お昼はダイエットのため、抜きました」

「健康に悪そうですねー」

「人のことは言えないんじゃないですか?」

「……」

「……」

「音楽でも流しましょう」

「そうですね」

無難なBGM。

所在無げなキャスターたち。

時間だけが過ぎてゆく。

「……そろそろお別れの時間になりました」

「今日は珍しく報道することがありませんでした。奇跡です」

「あ!一つだけ」

「?」

「今日は平和な1日でした」

キャスターたちはニッコリ笑って画面から消えた。

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