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under 500 Ⅱ

キミの真相をたべたい

キミを好きになったのは、一年前の春だった。


大人しそうなキミのことを、目で追っていた。


今までに出会ったことのない、控えめすぎる人だった。


言葉数が少なく、喋り始めても、10文字続くことはなかった。


お昼はいつも、アルミホイルに包まれた、拳半分ほどの小さなおにぎりだけを食べていた。


自分から声を発することなく、いつも僕から話し掛けていた。


キミは、うつくしい、という言葉がピッタリの女性だった。



でも、久し振りにひとりで街に出たときに見かけたキミは、ボクといるときとは、比べ物にならないくらい、笑っていた。


30文字を越える言葉を早口で放ち、口一杯にケーキを頬張っていた。


交通量の多い道路沿いにある、カフェテラスで堂々と。


キミの真相を知ってしまった。


キミの本当の姿を見てしまった。



ボクはキミの真相をたべたい。


キミの真相をたべて、真相をカラダに馴染ませたい。


馴染ませて、キミが何も隠すことのない、気を使わない世界を作り出したい。


ボクは、ポケットの湿気たタバコとライターに手を掛けた。

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