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91話「孤高の人造人間ジダ公の怒り!!」

 破片が散乱する道路に、上半身だけ残ったカイ斗が白目で口を開けたまま舌出して倒れていた。周囲にはビルの残骸と、未だ立ち込める煙幕。

 場面が切り替わって、ビルの上で悠然と立つコハクが映る。そして画面上部に『WIN』と表示された。

 コハクは自分が映っている事に気付き、ハッとする。


「あ、さっきのは映ってないんですよね……? コホン! ま、まぁ……、こちらは終わりました。他も頑張ってください」キリッ!


 ヨネ校長は見なかった事にして「お疲れだったのう」と(ねぎら)う。側で意味深に満面の笑顔のスミレ。

 控えの生徒や他の創作士(クリエイター)は、コハクが常にキリッとしている理由を知って素知らぬ顔を決め込んでいた。


「他も続くといいが……」


 ヨネ校長はナッセの戦いに目を移す。




「サンライト・フォ──ルッ!!!」


 上空から強襲して太陽の剣(サンライトセイバー)を振り下ろす!

 それに対して、ジダ公は「グッ」と強固にオーラを凝縮させた左右の前腕をかざす。


 ガァンッ!!!


 激突の瞬間、周囲に黒い稲光を散らしながら、破裂するように衝撃波が吹き荒れた。それに伴って大地が震え、ビルもグラグラ揺れた。

 ギィン! 反発して弾かれた二人は離れ、両者ともに滑りながら着地。


 ふうと息をつく。



「……やられたようだな」


 モニターを見上げ、ジダ公は呟く。

 オレとヤマミは静止したまま、様子を窺う。それでもジダ公は感傷することもなく冷淡に見上げたまま。


「お前たちがなぜ学院を襲うか知らんが、オレたちは負けないぞっ!!」


 太陽の剣(サンライトセイバー)で身構えたままのナッセにジダ公はようやく向き合う。そしてフッと笑う。


「コータロってヤツが我々人造人間たちクラッシュセブンのリーダーだ。学院を制圧するのが夕夏(ユウカ)家の命令と聞いたが、その実大阪を乗っ取って自分で造ったゴツい男だけのハーレムを作るのがヤツの真意だ」

「じ、自分で造ったゴツい男のハーレム? 大阪を乗っ取ってぇ??」

「ふざけてるの!?」


 ジダ公は剣を受け止めた前腕を見やる。少々の切り傷から血が垂れていた。


「断っておくが、オレはコータロの願望に興味ない。ただ見ぬ猛者(もさ)()()いたいだけだ……。この一撃、心躍るわ」


 前腕からポタポタ滴り落ちる血。それでもジダ公は不敵に笑んでいる。

 威厳があって、帝王の風格さえ感じさせる。


 こ、こいつ……! 他の人造人間と違うぞッ!



「気を付けてナッセ! まだ『刻印(エンチャント)』の力を使っていない!」

「ああ!」


 遠くで見守るヤマミへ振り向かず、頷いて応える。しかしジダ公は鼻で笑う。

 手の甲に記されている赤い『刻印(エンチャント)』を見せてくる。まだ灯る気配はないが、いつ発動されるか戦々恐々(せんせんきょうきょう)させられる。


「これか? ……安心しろ。そんな他力本願なものには頼らん! 頼るぐらいなら、お前に殺された方がマシだ」

「なっ!?」

「そんなの信じられる!?」


 ウソを言ってるとは思えない……。けど!


「他の人造人間どもは『刻印(エンチャント)』に頼っているが、オレは(おのれ)の力だけで戦いたい思うべき、幾多(いくた)の強敵と戦い、厳しい修行をも乗り越え、ここまで強くなった。故に信じられるものは鍛え上げた(おのれ)の力だけだッ!」


 邪悪なヤツなのに意外と努力家なのかぞ……?

 ってか、自信満々で笑んでやがる! それだけ自分の力に誇りを持っているんだぞ!


「負けそうだからと『刻印(エンチャント)』に頼れば(おのれ)の力を否定するに等しい。それで貴様に勝っても、オレは一生負け犬だ! それだけはオレの誇り(プライド)が許さんッ!!」


 ギン、と威圧漲る視線を見せた。


 なんか漢らしい事言ってくれるなぁ……。敵ながら尊敬しちゃうよ。

 よし! 燃えてくるぞッ!

 武者震いって意味が今なら分かる気がする。オレ、マジで心の(たか)ぶりに震えている!



「笑うか?」

「ああ! 燃えてきたぜッ!!」


 湧き上がる気力……、ん?


「燃えてきた……だと?」


 ジダ公は怒りの形相に豹変。すると大地が唸り始める。物凄い殺気と威圧感が膨れ上がってくるのが分かる。

 ゾクゾクするほど畏怖(いふ)が体を(むしば)んでくる。

 何があったか知らないけど、さっきまでとはまるで空気が違う。


「な、なんだっ!?」


 台風のようにジダ公の周囲を烈風が渦巻く。ゴゴゴゴ、大地の振動が激しくなっていく。

 ジダ公の激怒に影響されて周りが震え上がっているんだ。

 黒い稲光がより迸り、周囲に飛び散って破壊を撒き散らしていく。次々と崩れゆくビル。


「くあああああああああああッ!!!」


 吠えるジダ公の全身から暴れまわる黒い電撃がバチバチッと弾けていく。

 更に更に大地が震え上がって、ズゴッと地層がずれて断面を見せてくる。吹き荒ぶ台風のような烈風は所狭しと建物間を吹き抜けていく。


「ああ────────ッ!!!!」


 ドゥオオオオ……ッ!!


 獰猛に黒い稲光を放射状に散らし、巻き起こった烈風が吹き荒れる。それに煽られてビルが次々と傾いて崩れ去っていく。

 流れゆく煙幕にまみれて、腕で顔を庇いながらこらえる。ヤマミは電柱にしがみついて「きゃあああ」と悲鳴を上げる。


 ヒュウウ、収まる頃には周りはビルの瓦礫が散乱していて、ほぼ平らになってしまっていた。見渡しが良くなって、遠景に倒れ掛かっているビル群が囲んでいる形だ。


 ゾクッ! 寒気が背筋を走る。


 バリバリ……、黒い稲光を纏うジダ公から殺気(はら)む威圧がこもれ出ていた。



「バーニング、熱血漢、燃える……、そいつはオレの嫌いな言葉だ! やはりキサマはオカマサと同様、気に入らんッ!

 気が変わった! 全身全霊でキサマを叩き潰してやるッ!!!!」


 地を蹴ると共に黒き稲光を破裂させ、一直線に道路を裂き続けながら迫ってくる。

 咄嗟に横へ飛ぶと、ジダ公の拳が通り過ぎた。遠くのビルの残骸がドガァァンと豪快に破砕。


 気付けば、縦横無尽と黒い稲光が軌跡として飛び回り続けていた。

 そして目にも映らぬほどの音速で、四方八方から完膚なきまで滅多打ちしてくる。


 ズガガッガガッガッガッガガッガッガッガッ!!


「がッ!」「ぐあッ!」「ぐうッ!」(なぶ)られ続け、踊るように宙を舞う。

 なおもジダ公は音速移動だけで周囲を破壊しつくしながら、容赦のない乱撃を繰り返して血飛沫を撒き散らしていく。


「どうした!? 燃えるんじゃなかったかッ?」


 トドメに飛び蹴りで腹を穿ってくる。ドン、背中まで貫くように破裂音を響かせすっ飛ばす。

 そのまま数度ガンガンガン道路を跳ねて、受身を取れずズザザザと滑って、瓦礫の山に突っ込んで破片がドーンと飛び散った。


「ナッセェ──!!」


 ヤマミは悲壮に叫ぶ。肩のウニャンも汗を垂らし「ここまでとはね……」と呟く。



「おおおッ!」


 しかし気合いで吹き荒れた烈風が煙幕を跳ね除け、意地で立ち上がった。

 はぁはぁ、前屈みに息を切らし、至る全身に汚れと傷がついていた。ジダ公は冷静な顔で腕を組んでいる。


 グッ……! 強い! 強すぎるぞ……!!



「フン! オカマサには個人的な恨みがあるんでな」

「またオカマサ!? タネ坊は……、お前に恨みを買われるような事をしてきたのかぞ?」

「当然だ!!」


 拳を握って怒りの形相を見せる。


「特訓の際にヤツは根性論を説いてきた。それならまだいいが、オレの体を壊す勢いで『限界を超えろ』と強制してきた!

 そのおかげで潰された人造人間は少なくない。しかもそいつらをオカマサは根性無しと言い捨てた」

「そ、そんな事が……ッ!!?」

「オカマサは自分の独善的な熱血(バーニング)を相手に押し付けてるだけに過ぎんッ! だからヤツはオレの気持ちも考えも理解などしない!!」


 ゴゴゴゴ、再び殺意の威圧で大地が震え上がる。


「ならばオレは(おのれ)の力のみを信じ、そしてこれからもキサマら猛者(もさ)(しかばね)を踏み潰しながら、ただ唯一最強を誇って一人朽ち果てるのみだ────ッ!!」



 なんだか心に響いてくる……。


 他を寄せ付けぬ裏で、孤独な悲しみの叫びが…………。



「だったら、なおさら負けられないぞッ!! ジダ公、オレと勝負だッ!!」

「ほざけッ!! ここからは一方的な蹂躙劇(じゅうりんげき)だッ!!」


 再び黒い電撃を纏って道路を裂きながら飛沫(しぶき)を巻き上げ、全体重を乗せた渾身の拳で殴りかかってくる!


 ガゴォッ!! 


 寸前で太陽の剣(サンライトセイバー)で拳を受け止め、激突の衝撃で道路が爆発! アスファルトの岩盤と共に土砂が巻き上げられた。

 踏みしめた足を(じく)にギュルッと身を(ひるがえ)すように回転、剣の軌跡が丸く弧を描く。そのまま「おおおーッ!」と勢いと共に渾身の力でジダ公の背中を強烈痛打!!


 ズガゴッ!!!


 ジダ公は白目で「きばぁッ」と盛大に吐血。瓦礫の山へ突っ込み、ズガアァァンと大破。破片を四散させ、煙幕が立ち込めた。


 呆然するヤマミ。


 まさか敵の攻撃力を自分の攻撃力に上乗せして、カウンターをッ……!?

 しかも、攻撃エネルギーを全てナッセに吸収されたために動きが止まったジダ公に炸裂した。これもこの技の特性……?



「名付けてサンライト・アクセルスピン!! どうだッ! ジダ公ッ!!」


 ガッツポーズで拳を握った。

 すると黒い雷柱が高々と噴き上げて、ドオオォォオッと瓦礫は吹っ飛んでいく。



「キサマ! その馴れ馴れしい口を閉じろッ!」


 口元の血を手首で拭いながら悔しそうにジダ公は、ズンと怒気を(はら)む一歩を踏み出した。

 太陽の剣(サンライトセイバー)で構え、油断なく見据える。ジダ公は黒い稲光を迸らせ、道路を爆発させる勢いで地を蹴る。ドッ!

 音速を切って道路を抉りながら突進してくる。


「サンライト・パリィ!!」


 カッと刹那を見極めて太陽の剣(サンライトセイバー)で、ジダ公の攻撃に横薙ぎの一撃を叩き込んで軌道を逸らす。マイシの炸裂剣(バーストソード)を払った時と同じスキルだ。


 ドゴオォォン!!


 後方の瓦礫が豪快に大破。破片が飛び散る。

 ジダ公は「くっ!」と、あちこち音速で飛び回りながら四方から怒涛(どとう)の連続攻撃を繰り出す。


「おおおおおッ!!!!」


 払う!! 払う!! 払う!! 払う!!


 持ち前の根性で、ジダ公の四方八方からの猛攻をことごとく斬り払い続けていく。その度に周囲は衝撃波の噴火でドンドン噴き上げていった。



「……き、来たッ! ナッセの根性比べッ!!」


 ヤマミは手に汗を握る。

あとがき雑談w


 ビールうまーw ツマミうまーw ナッセたちを応援中ーw


クッキー「オカマサってトラウマ製造機っぽいね」

アリエル「トラウマ植え付けるの、私も得意よぉ~w」

クッキー「熱血漢と言えば主人公らしいよね。ど根性で熱く燃えて逆境を跳ね返す。目標のために日々努力を惜しまないっていう」

アリエル「あんたも主人公だった頃は熱血だったわねぇ~w ってかトラウマ植え付けてるの私が一番……」


クッキー「まぁねw 特にライバル相手には必死になってたかなw」

アリエル「ああ、そうそう~w 負けてたけどねぇ~w それより私はトラウマ……」


クッキー「負けっぱなしって感じだったけどねw 悔しいなぁw」

アリエル「あははははw 無様ねぇ~w それより私はトr……」

クッキー「さてさてw 我が弟子とジダ公のライバル的な戦い楽しみますかw」


アリエル「わざとやってなぁい?」(ぷくーとふてくされw)


ヤミロ「誰か大切な人の為ではなく、自分の為だけの熱血って独善的だろぉ?

 それだけで、はた迷惑な熱血漢になっちゃうぜ……」ククク!



作者「あ、別に熱血を否定するつもりはないです。むしろ熱血賛成派です」

(`・ω・´)キリッ!



 次話『死闘始まる!! 果たして決着の行方はッ!?』

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