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86話「最高潮! 各ボス戦開始……!?」

 大阪駅をなにがなんでも破壊せんとハス太たちがドドーッと襲い来るも、黒マフラー女が従える漆黒の小人による黒炎がそれらを退けていた。

 この敵勢が陽動になっているのは黒マフラーの女も分かっていた。

 踊って周回する漆黒の小人たちに囲まれながら、静かに目を瞑る。


 目を閉じた視界に、道路を走るナッセの背中が映る。マフラーが舞い、光の剣が軌跡を描き、ハス太たちが吹っ飛ぶ。

 その懐かしい姿に愛おしい気持ちが湧いてくる。


「ナッセ…………」


 黒マフラーのヤマミはボソッと呟く。沈んだような顔だが、口元は微かに笑んでいる。

 開戦前の深夜で、今世のヤマミに自分の一部を潜り込ませる事で、視界を共有できるようになっていた。それで時々状況を把握していた。

 そして、もうすぐ強敵が迫ってくる時期だとも察していた。


 私自身が出向けば早いけど、それはナッセたちの頑張りを否定するにも等しい。故にできるのは信じて見守るのみ。


「がんばって」


 応援を呟き、口元に微笑みが広がる。




 ゴゥゥゥ……ン!


 低く唸り、大阪上空を漂う母艦。するとその上部から触手のような何かが何本かゆらゆら揺れている。

 するとその触手が瞬時に伸びて、四方八方と弧を描いて地上へとそれぞれ降り注いだ。

 なんとそれは白くて巨大なうどんの麺だ。あちこちを穿ち、建物を薙ぎ倒し、破片を飛び散らせ、煙幕を巻き起こす。


 母艦上部でマー坊は厳つい顔で腕を組んで、背後のうどんがゆらゆら揺らめく。


 それを見てカイ斗は察した。

 あのうどんを自由自在に操る能力は『血脈の覚醒者(ブラッド・アウェイク)』ではないが、それに限りなく近い。しかも自身もうどんなため、肉体も自由自在に変形できる。

 これほど恐ろしい能力は類を見ない。だが、食用に出すならせめてスープと具を入れて欲しい。


 正に『蛋白(たんぱく)饂飩(うどん) マー坊』カイ……。


「む?」


 大阪に降ろした太いうどん橋を足場に、なんとコマエモンが前傾姿勢で駆け上ってくるではないか。

 真剣な顔で母艦上部のクラッシュセブンを睨み据え、腰の刀に手をかけて鞘から微かに刃の反射光が漏れる。


「おれは、コイツをやるどん!」


 無表情のまま、手に宿る刻印(エンチャント)を赤く灯らせる。短かった足がニョニョニョとタコ足のように無数に生え出してシュタタタと高速で動かして走り出す。煙幕を巻きながらコマエモンへと目指す。互いの鋭い視線が合う。


 コマエモンの引き抜かれた刀が軌跡を煌めかす。と、同時にマー坊の引き抜いた長ネギが軌跡を煌めかす。


 ガキィン!!


 なんとコマエモンの刀と、マー坊の長ネギが交差! すると前後のうどん橋がズババッと細切れに斬り散らされた。そしてコマエモンとマー坊のいるうどん橋だけが落下を始める。


「拙者は(サムライ)金沢(カナザワ)コマエモン……。貴殿は?」

「おれは饂飩男(うどんマン)出井(デイ)マー(ぼう)どん!」

「ほう!」


 落下しながら、うどん橋の上で彼らは得物を振るってギッギギンと斬り合い始めた。




 コータロもノリで他のクラッシュセブンと共に母艦上部に集合していたとは言え、前線に出る事を内心ためらっていた。頬を汗が伝う。


 初っ端からナッセに復讐せやと思うんは山々やが、データを見る限り勝ち目あらへんぜ……。

 本来なやら、この長期化する戦争で弱った所をいたぶりたかったんやがな。しかし交代を繰り返したらしく、ヤツは万全な状態のままやんぞ。

 ど、どうしろやがぜ……。


「お前は足手まといだ。そこら辺で雑魚(ザコ)と遊んでいろ」


 なんとジダ公に蹴り落とされて、母艦から上空へ放り出される。予想外に見開くコータロ。


「テンメェェェエ!! ジダ公! 覚えてやがぜッ!!」


 恨み節と吠え、手の赤い刻印(エンチャント)が灯る。なんと尻から火を吹いて飛行モードに移行。そして全身から砲身が放射状に生え、光弾を撒き散らしてドカンドカン都市を爆撃していく。

 更に透明のガラスで覆われた頭上が真っ二つに割れて、脳みそも割ると、中から砲身がニューッと伸びた。光子が集まり、轟音と共に膨大な奔流が発射されて明々と都市を照らしながら軌道上の建物を次々と粉微塵に消し飛ばす。果てにドォォォンと向こうで爆発球が広がった。


 カイ斗は察した。

 全身に仕込まれた銃火器と赤い刻印(エンチャント)奴隷集約サーヴァント・アグリゲーター』の力により、半永久的に連射し続ける事が可能な恐るべき人間兵器。恐らく厄介度を見れば彼が一番であろう……。


 正に『無限(むげん)兵器(へいき) コータロ』カイ……。

 放っておけば大阪は焼け野原になるだろうカイ。だが、我らが王国の誕生の(いしずえ)なれば光栄だろうカイ。



 不意に刀が飛んできてコータロへ勢いよく激突! ガン!

 ブーメランのように戻ってきた刀を手に、ビルの上で褐色の男が不敵に笑んでいた。


「へっ! させんじゃねェぜ!! どうしてもと言うんなら俺ァ相手になるぜ!!」


 なんとアクトだった!

 コータロは尻からの火を下に向けてガニ股でふわふわ浮く。そしてアクトをキッと睨む。ジャコッと肩、胸板、腹から機関銃が何本も生え出す。


「誰だ? 失せろやぜ!」


 ガガガガガガガガガガガガガ、火花を散らして高速で小粒の光弾を乱射。


 周囲のビルが蜂の巣にされて瓦解。アクトの足元が傾く。

 なおも弾幕が徐々にアクトへ迫る。しかし当人はそれを前にしても「へっ!」と笑みをこぼす。手に持つ刀を下方に引いて構える。


紅蓮衝(ぐれんしょう)ッ!!」


 斜めに切り上げるように振るうと、紅色に染まった三日月状の刃が弾幕を切り裂きながらコータロへ直撃。ズドォォン、と紅蓮の爆発が空に轟く。




 うどん橋をウォータースライダーのように滑り落ちる大男の二人。我瑠羅(ガルラ)バイオと我瑠羅(ガルラ)レンスは「きゃ~~~~」とはしゃいでいた。

 そしてズズン、と巨体で道路を踏みしめて降りてきた。

 二人並ぶと鏡合わせのようにそっくりな姿だ。三メートル強の体躯。むさ苦しい厳つい顔。筋肉隆々とした肉体にボディコンがはち切れんばかりになっている。そして手には赤く灯る刻印(エンチャント)


「ここは通さないからッ!」


 立ちはだかって対峙するは斧女子リョーコとエレナ。

 対比するとリョーコは胸が大きいスラッとしたオカッパの美少女。そしてエレナはピンクのベリショートにポニーテールの組み合わせ、更に中学生くらいの小柄なスレンダーのロリ少女。共に普通の人間。


 明らかに体格の差が出すぎてて、学院側が圧倒的に不利に見えた。


「そんなナヨナヨ軟弱なメスガキ二人で私たちの相手を?」アハハハ!

「冗談はおよし! さっさと幼稚園へいってバブバブしな!」ファハハハ!


 ズダン!! いきなりバイオの口にエレナの怒りのかかと落としが炸裂! そのまま道路にズドン、と叩きつけて歯を何本か散らした。

 レンスの方も腹をリョーコの斧でズゴンッと強烈に打ち込まれ、ぶっ飛ばされる。そのままズガァンッと後方の建物に突っ込み、破片が散って煙幕が立ち込める。


「あたしが超絶カワイイからって、(ねた)んでんじゃないわよっ!」

「軟弱女じゃ、斧女子は務まらないからねっ!」


 戦意こもる表情に引き締めたエレナとリョーコ。

 うつ伏せになったバイオは怒りの顔を起こし、煙幕からレンスは憤怒の表情で現れる。その二人はズンズンと高圧的に迫ってきた。




「ほっほっほ! オリジナルのゴン蔵がお世話になりましたね。マイシさん」


 マイシの前に、ケン治が大胆不敵に笑みながら優雅な振る舞いで降り立つ。

 しかしマイシは不敵に笑んで、刀の切っ先を向ける。


「へっ! また粗大ゴミかし……。せっかくだから同じように焼却処分してやるっしょ!」

「ほほほ……」


 相変わらず微笑むケン治。しかしこめかみはピクピクと血管が浮かんでいた。


「いいでしょう……。この私、ケン治様の恐ろしさを思い知らせてやるぞ!」


 バッと腕を交差させてから腰へ引いて、手の甲の赤い刻印(エンチャント)が灯る。すると膨大なオーラがケン治から噴き上げた。

 グゴゴゴゴ、噴火のように凄まじい流動が立ち上っていった。

 ケン治を中心に激しく大地を揺るがす。道路に亀裂が走り、破片が舞い上がっていく。周囲のビルがグラグラ揺れる。


「く……!」


 マイシの顔に汗が浮かぶ。ビリビリ響いてくる威圧感は、あのゴン蔵以上だった。

 だが逆に笑みを浮かべた彼女に、ケン治は不審そうに顔を(しか)めた。


「その程度(てーど)ならぜんぜ勝てるっし! あたしだって(チョー)パワーアップしてるし!」

「ほっほっほ! 減らず口の次は戯言(ざれごと)ですか……!」




 梅田の大きな道路の交差点。道路と繋ぐ高架橋と、横切るような電鉄の高架橋。そこでオレはヤマミと一緒にハス太たちを退けていた。

 ヤマミの肩にはウニャンが同行していた。


 すると、黒い雷がズガアアアンッと落雷。思わず背筋がゾクッとした。

 眼前には漆黒の男が悠然と立っていた。全身から黒い稲光がパリパリ迸っている。恐ろしい程の殺気は忘れられようがない。

 ヤマミと冷や汗ながらもグッと身構える。

 周囲のハス太たちもその剣幕に、後しざりして遠巻きに様子見しているようだ。


「また会ったな……! ナッセ! 今度はもう逃さんぞ?」

「『刻印(エンチャント)』全開ッ!!」


 拳の『刻印(エンチャント)』を灯らせ、大きな星を『太陽』の印に切り替え、それを囲む円に三つ星揃えて全開モードだ。

 形成された太陽の剣(サンライトセイバー)を手に「おおおおッ!!」と昂ぶる気合いを叫ぶと、周囲にブオオオッと余波が吹き荒ぶ。

 その威圧にジダ公は不敵に笑む。


 余裕で五〇〇〇〇を超えているな! やはり、あの時は隠していたか!!


「そうこなくては!」


 ジダ公はゆっくり前傾姿勢に構えていく。




「ヤマミごめん……。ここはオレだけで戦うぞ」


 ヤマミは驚き戸惑うが、心情を察して「うん! 負けないで!」と笑みながら身を引く。それに応えるように笑んで頷く。

 そして太陽の剣(サンライトセイバー)を両手で握り、ジダ公へ毅然(きぜん)と向き直る。


「行くぞッ!!」「……来い!!」




 ビルの上で長い髪の毛を揺らす凛々しいコハクは、同じくビルの上に降り立つカイ斗を前にしていた。


「で、君の相手は僕が?」キリッ!


 カイ斗はマントで全身を覆ったまま、腰辺りから二本の剣をスラリと引き抜く。

あとがき雑談w


クッキー「うにうに盛り上がってきましたーw」

アリエル「あらあら~各ボス戦って感じねぇ~w」


 すでにビール飲みまくって酔いまくって、わいわいw



ウニャン「うにゃ~んw」(酔ってフラフラ~w)

ヨネ校長「なぜ酔っ払ってるんじゃ??」(困惑)



 次話『マー坊の悲しき過去とは……? うどん改造!』

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