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85話「必見! 学院側の戦闘力判明!?」

 ヨネ校長は指令席でポチポチ機器をいじっていた。


「ふうむ。ますます敵の狙いが分からんのう」


 休憩しながらヤマミと一緒に巨大なモニターのレーダーを眺めている。赤点である敵の動きは散漫と広がっている。好き勝手に暴れているだけのように見えた。

 危険区域の外側に出ようとする赤点は、囲んでいる青点である他の創作士(クリエイター)によって消されている。

 とある緑点へと不自然に流れているのは陽動か、もしくは目標か?


「うーん。あの黒いヤツは学院が狙いってた気もするぞ」

「確実にここが標的って言ってました!」


 あ、ヤマミってちゃんと覚えてるなぞ……。


「うむ。それはお主らが昨日報告してくれたな。だが、それなら全軍で集中攻撃してくるものだが……」

「そういえば! ってかなんで標的にしてるんだぞ?」

「そこは言ってないわね」


 すると自信満々でマイシが歩み寄る。


「あたしに恨みあるっしょ? さんざん人造人間どもにケンカ売ったし」


 あ、そっか。

 工場一つ潰してるんだもんな。社長のゴン蔵も倒してるし。


「じゃが、先ほど前線で戦ってくれてる間、お主に集中してきたわけではない。(とむらい)い合戦なら、むしろ全軍投入でマイシか学院を攻撃すればよかろう?」

「じゃあ、何が狙いだし!?」

「マイシ。おぬしの報告通り四首領(ヨンドン)ヤミザキの傘下なら、他に狙いがあってもおかしくない。黒い男の警告はブラフやもしれん……」


「そういえば人造人間しか襲ってきてないしね」


 ウニャンがひょっこり一言。


 言われてみれば、ヤミザキの手下であるコンパチ男たちはいない。

 マイシが暴れて初めて人造人間が現れた感じだぞ。そして今は人造人間だけで大阪に侵攻を仕掛けている……。


「入れ替えでここに戻したのも、この為に?」


 ヤマミの言葉に、ヨネ校長は頷く。


 あ、そっか! ここでなら敵の動きも分かるぞ!

 そのまま戦ってたら敵の狙いが分からないままだったな。さすが経験者だなぞ。


「というわけで、敵の動きをこのように把握して戦ってもらっている。今はまだ狙いがハッキリしておらぬが、陽動……あるいはこちらの戦力を探ってる可能性が高い」


 思わず息を飲む。


 戦争って、大局的に見る必要があるんだな。

 考えもせず戦ってたけど、こうして聞いてみると単純な戦いじゃないってのが分かるなぞ。

 いざって時のために戦力を隠しながら戦う必要があるかも……。


「ねぇ、ナッセ……」

「ああ。いざって時のために、手の内を隠すぞ!」

「うん!」


 ヤマミは綻ぶ。

 (ナッセ)が察してくれると安心感が胸中を満たす。どことなく心がポワポワしてくる。



 ハス太たちは機関銃(マシンガン)を道路に並べて、笑みを浮かべている。目の前の煙幕が漂う最中で人影が浮かび上がってきた。


 茶髪ロングの険しい顔をした美しく整った美人顔。青いマントをなびかせ、鈍い銀に反射光が走る鎧を纏う女剣士(セイバー)……。いや巨大な銀色の狼にまたがっている騎手(ライダー)だ。得物は刀身が長い大剣。

 霧の中から現れたかのような幻想的な銀狼と女騎手(ライダー)。凛々しい表情が眩しい。



「私は創作士(クリエイター)騎手(ライダー)(カエデ)クスモ! そして相棒のフェンリルを駆るこの力、存分に見るがいい! では参るッ!」

「ウウウ……!」


 銀狼は前傾に低く構えて唸る。


「撃て────ッ!!!」パパパパパパパ!!


 一斉に斉射。容赦なく無数の弾丸が所狭しと覆い尽くす。そして超高速で連射される弾丸による弾幕はまともに浴びれば普通の人間なら蜂の巣どころではない。原型を留めない肉塊にされるぞ。

 だが、銀狼と共にクスモは土煙を残してフッと掻き消えた。ハス太たちは「な!?」と目を丸くする。


 銀狼は弾丸の嵐を潜り抜けるように、俊敏で軽やかに縦横無尽と走り抜けた。同時に大剣も瞬時に通り過ぎていく。

 あっという間に機関銃とハス太たちは上下に分断。断面から血飛沫が噴き出る。

 そしてなおも、疾風と一体化するかのように銀狼は駆け抜けていって、後続の数十人ものハス太たちの上半身を宙に跳ねていく。

 ザッと銀狼は足を止め、クスモは悠然と大剣を振って血を飛ばす。


「おおお! マジでA級騎手(ライダー)クスモさんだ!」

「やっぱ姐さんカッケー!!」

「クスモさーん! 助かりやしたー!!」


 他の創作士(クリエイター)が歓喜。


 彼女は愛称としてクスモさんとよく呼ばれている。凛々しく、美しく、そして強い! 女性も憧れるほどので、男性からも恐れられつつも見惚れてしまう女傑(じょけつ)


「皆の者! 生きろ! この戦争に勝って酒を飲み比べするぞー!!」

「おおおおおおおおおおおお!!!!」


 クスモさんが拳を突き上げて鼓舞すれば、創作士(クリエイター)は士気高揚と声を張り上げる。そして活気で漲って己の力を高めていく。

 これもまた彼女(クスモ)の力の一端である。



「ち、ちくしょう……! アニマンガー学院にはこんな猛者(もさ)がたくさんいるんかいな……」

「銀髪チビや金属ロリにすら歯が立たないってのに……!」

「くそったれ!! なにがなんでも一泡吹かせたるー!!」


 気圧されるハス太たちだが、数なら圧倒的に上だと虚栄を張ろうとする。


「戦争でモノを言うんは数や~~~~!!!」


 ドドドドッと煙幕を散らしながら大勢で攻めてくる。しかし街角から人影がのそっと現れる。


「グフフッ!」


 その人影は三メートル強の筋肉隆々とした大男。そしてメイプルリーフを模した仮面を付ける強面(こわもて)。放射状に逆立つ黒髪。上半身裸で腰にはシャツで縛ったであろう腰巻。筋肉で膨れた脚ではち切れんばかりのズボン。

 右手には異常なまでに両刃に加え先っぽに薙刀のような反った刃が特徴の大きな戦斧。

 その男こそ、狂戦士(バーサーカー)フクダリウス!


「それは戦争において一理はあるッ! だが、その程度の兵力でワシらが倒せると思うかぁ────ッ!!!」


 豪快な斧ひと振りで、ハス太たちは大勢宙を舞って「うわあああああ!!」と薙ぎ散らされていった。


「相変わらず豪傑だな。フクダリウス!」

「ははは。そちらこそ」


 フクダリウスとクスモさんは互いに通り過ぎざまに言葉を交わし、それぞれ行く先の敵勢へ目指す。


「行くぞ!!」「参る!!」


 大地が震え、烈風が吹き荒び、二人の天災が如し快進撃は敵勢を次々と屠っていく。




「おっさん相変わらず強いなぞ……。そしてクスモさんって、あんなに強かったのか!?」

「ええ。いつもは小動物やぬいぐるみが好きで、おしとやかな雰囲気だったね」


 自己紹介でもクスモさんは「ペットカフェやりたい」とマジ顔で言ってた。それに時々、ちっちゃい銀狼がふよふよ浮いているの見かけてたな。


「あの狼って、いつもの小さいのと同じ?」

「うん。(カエデ)家の家系能力ね。フェンリルって幻獣と契約を交わしていて、幼少より付き合っている。何故か契約者と同じように歳をとり、逝く時も一緒という血の契約」

「なんだそれ……」


 犬っていうか、ただの狼じゃないのかぞ?


「幻獣だからね。私も分からない」

「そっかー」

「でも、言葉が通じなくとも気持ちで通じ合う。故に意志のすれ違いもなく一心同体で戦えるのは強いわ」




 しかし敵の兵力が想像以上に多すぎて戦争は長引いたぞ。交代しながら退けていったけど、やはり入れ替えは重要だと思い知った。

 あのまま戦い続けようとしてたら、キツかったかもぞ。


 しかも一泊する時、シャワールームと寝室が学院内部に充実されてるとは思ってなかったぞ。

 後、創作士(クリエイター)センターから応援でやってきた兵站(ロジスティクス)調理師(コック)整備士(メカニック)創作士(クリエイター)も心強い支援になった。物資の運送、栄養満点な料理に、要塞モードの学院のメンテナンスと補給&修復。

 その気になれば一ヶ月くらいは継続して戦える環境になるらしい……。


 前線で戦う創作士(クリエイター)と違って、地道に見える活動ではあるが一つでも怠れば死活問題になる。

 表に出ぬものの、その支援は百人力。戦うだけが創作士(クリエイター)ではない。


 本当に色々な創作士(クリエイター)がいるんだなぁ。心強いぞ。



 ────大規模侵略三日目。午前一〇時三〇分。ナッセら第一陣出陣!


「よし! 行くかぞォッ!」


 後方に無数の大剣の『衛星(サテライト)』を生み出し、オレ自身が敵軍へと突っ込む際に同時射出。そしてヤマミも走りながら火系魔法の『衛星(サテライト)』を置き並べつつ、時間差で続々打ち上げて敵を追尾していく。


 ドドドドン!! 街中で爆発球が連鎖。


 数の上で圧倒的に不利だったのが、日に日に学院側へ有利が傾いてきていた。




 沈黙する浮遊母艦。そこで会議室でクラッシュセブンは揃っていた。カイ斗がモニターの前に立っている。


「多大な犠牲を払ったが、敵の戦力が大体判明したカイ。それをモニターに映すカイ」ピッ!


 マイシ(剣士(セイバー)) 25000

 モリッカ(魔道士(マジシャン)) 23000

 アクト((サムライ)) 22500

 フクダリウス(狂戦士(バーサーカー)) 20000

 クスモさん(騎手(ライダー)) 18800

 リョーコ(戦士(ファイター)) 15000

 エレナちゃん(格闘僧(モンク)) 14500

 コハク(槍士(ランサー)) 10700

 ノーヴェン(弓兵(アーチャー)) 8200

 ナッセ(剣士(セイバー)) 16000

 ヤマミ(魔道士(マジシャン)) 14000

 コマエモン((サムライ)) 7600

 ミコト(召喚士(サモナー)) 7480


「おお……!」


 どよめくクラッシュセブンの面々。


「しかし、これは威力値の平均値。まだ力を抑えていたりすると、この限りではないカイ。

 ちなみに全力での博水(ヒロスイ)オカマサ殿は二九五〇。馬淵(マブ)ドラゴリラ殿は四一〇〇カイ」

「フン! 下位種クミーンごとき一刀両断できぬから、もっと低いと思ってたぞ」


 皮肉って笑むジダ公。それを不機嫌に睨むコータロ。


「オカマサ殿とドラゴリラ殿は強さより、依頼や任務をいかに遂行していくかを重点に置いているためカイ」


「ほっほっほ。もうお遊びはいいでしょう。そろそろ本当の地獄を見せてやりましょうか」


 ケン治は冷酷な笑みで拳をポキポキ鳴らす。カイ斗も頷く。ジダ公はナッセが映るモニターを眺めている。マー坊は厳つい顔でうどんを啜る。バイオとレンスは「いやん」「うふん」ブリブリしている。

 カイ斗はバサッとマントをなびかせ、腕を横に伸ばす。


「よし! 我らクラッシュセブン、出陣ッ!!!」

「おい! 何勝手しきってんやがぜ!」

あとがき雑談w


アリエル「敵側の算出された威力値は大分低めよぉ~w」

クッキー「そそw ナッセには毎日修行つけてたから57000だよw」

アリエル「マイシも二段階変身してたし最大だと80000ねぇ~w」


 虚空から水晶がビキンと現れ、中からヤミロが抜け出る。ズズズッ!


ヤミロ「ビールとつまみ買ってきたぜ……」


クッキー&アリエル「飲むぞ────────w」カンパーイw

ヤミロ「いつものの事だなぁ……。しゃあねぇ……付き合うか」



 次話『ついにボス戦開始!? 強敵ぞろいに苦戦必至?』

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