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75話「変わりすぎ! 変態魔獣ゴン蔵!!」

 獰猛に燃え盛る灼熱のオーラを纏うマイシ。頭上の左右から髪の毛が一部ピンとはねて、オーラで象る一対のツノに収まる。手足を爪を象ったオーラが覆う。尻からは龍の尻尾を象るオーラがしなる。剣には(つば)に龍の頭を象り刀身をチェンソーのように噴き上げる。

 周囲に烈風が渦巻いて吹き荒れ、地面を地響きが伝う。


「む……!」


 ゴン蔵の顔に汗がびっしょり濡れる。

 全身を貫くほどの威圧は凄まじいものがある。目の前に見えるは、か弱い女性ではない。幻影のように浮かびだした紅き巨竜。殺気こもる形相。獰猛そうな牙を見せ「グゥゥ……」と唸る。


「グオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 大柄なゴン蔵をも上回る巨体の竜が吠える。辺りが超振動で震え、吹き荒れる烈風が激しく広範囲を突き抜けた。破片がそれに乗って飛び交う。

 並の人間なら失神する。それだけ彼女を覆う膨大なオーラは竜が如し畏怖を感じさせた。

 彼女の周囲を灼熱の渦が吹き荒れている。それに伴い熱風が旋風となって辺り一面を赤々と照らす。


 あの濃度の深い灼熱のオーラ……。並の創作士(クリエイター)が纏える量と質じゃないな……。

 これが……夕夏(ユウカ)家が行ってきたドラゴン種の『魔獣の種(ビースト・シード)』の覚醒実験……。確かに人外の域よ!


「クッ! これほどのものとはッ……!!」

「かあああッ!」


 マイシは牙を剥いて吠え、地面を爆発させるほどに蹴る。ズゴッ!

 嵐のような突風を引き連れゴン蔵へ飛びかかる。獰猛な竜が迫ってくるような迫力にゴン蔵は見開く。

 最初っから初動でゴン蔵は高々と飛び、彼女の振り下ろされる剣は空を切る。しかし空振りでも向こうの建物が大破されて全壊していく。ガゴゴォッ!


 オーラで象った竜の翼が一対広がる。バサッ!

 瞬時にゴン蔵の上へ飛び上がる。戦慄を帯びるゴン蔵は見開く。速い!


 マイシの振るう炸裂剣(バーストソード)が、ゴン蔵を爆裂させて吹っ飛ばす。そのままビルに激突。更に内部を突き抜けて、ズズズンッと並んでるビルを崩しながら次の道路側に出てしまう。


「ぎ……がっ!」


 ゴン蔵は血を吐く。しかし上空から回り込んだマイシが双眸を輝かせて急降下。振り下ろされた炸裂剣(バーストソード)で、ゴン蔵を地面に叩き落とす。ズゴン、土砂の噴火が噴き上げられる。

 しかしゴン蔵は地面を潜って、離れた位置の地中から抜け出すようにジャンプする。口を開け、その中から明かりが広がる。


「バーストボール・フラッシュ!!!」


 大気を破裂させて、ゴン蔵の口から眩い光球が高速で射出される。しかしマイシは「かあっ!」と剣で弾く。弾かれた光球は軌道を変えて遥か遠くへと弧を描くように急降下。地面に着弾し閃光が溢れる。カッ!

 爆発球がゴゴォッと大きく膨れ上がり、土砂の津波が輪状に巻き上げられ、烈風に乗って火を帯びた破片が飛び散る。


「ば、馬鹿な!? このオレ様の……!!」


 そもそも弾くこと自体無理なのだ。濃密度のオーラの塊の重さを弾こうとするなら、大玉の鉛をバットで打つようなものだ。竜とはいかに人外か、思い知らされる。



 迫って来るマイシに、ゴン蔵は豪腕を振るうが強引に剣でガキンと弾かれ、火花散る。

「何!?」とゴン蔵は見開く。


「かあっ!」

 横薙ぎの強烈な炸裂剣(バーストソード)がゴン蔵を爆風で吹っ飛ばし、マイシは追いかけながら振るう炸裂剣(バーストソード)の乱打で爆裂の連鎖が轟く。

 ドドドドッドッドッドン!!


「ギハァア!!」


 連続で炸裂剣(バーストソード)を喰らい、ゴン蔵は盛大に血を吐く。数度のバウンドを経て、地面を削りつつ滑っていって煙幕が立ち込めた。

 横たわるゴン蔵は震えながら「ぎ……ぎっ!」と呻いて身を起こす。尚も口から血が滴り落ちる。


 マイシはドンッと地面を穿つように着陸。破片が飛び散る。


「これで終わりだし!」

「ハッ! まさか……ここまでオレ様を追い詰めるとはな! ど、どうやら……、真の力を見せる時が来たようだな……!」

「なに?」


 不敵に笑うゴン蔵。その言葉にハッタリは感じられない。マイシは訝しげな表情を見せる。

 ゴン蔵はなんか懐から薬を取り出すと、それを飲み込む。全身を光で覆い傷が癒えていく。さっきまで瀕死だったのがウソだったかのように、ゴン蔵はスッと立ち上がり首を左右に揺らしてポキポキ鳴らす。


「クックック! 数千万もする高価な回復薬を使わせ、瞬間完全回復の副作用で十年分の寿命を縮めさせた代償は、貴様の血肉であがなってもらうぞ……」

「はん! そんなズルしたとしても、あたしに勝てないし!」

「どうかな……? この身体には複数の遺伝子を注入されているのだ! それを見せてやろう……」


 不気味に笑んでいくゴン蔵は、ググ……と拳を握って力んでいく。

 裸足だった足が頑丈な(ひづめ)に変形。尻がモゴモゴうごめいたら、なんともう二つ連続する下半身がボコッと現れる。そしてムキムキの筋肉質で覆われた馬のような下半身に変形した。脚が全部六本。しかも顔面が馬のように突き出て鼻穴が大きく開く。


 その異形にマイシは驚きを見せ、頬に汗が伝う。しかし笑む。


「へっ! 馬になっただけっしょ?」

「……ケンタウロスモード! パワーアップしたのは下半身だけじゃないぞ?

 全体的に筋肉を倍増させたからだ。この通り、腕っ節の筋肉の量も増やした。馬になっただけかどうか実験してやろう!」ブルルッ!


 ドッと地面を爆発させ、音速を切ってゴン蔵はマイシへ迫る。その速度に見開く。マイシの顔を握り、そのまま向こうの建物へ高速で突っ込む。ドガンと蜘蛛の巣のようなヒビを広げ瓦解。なおもガリガリ建物内を突っ切りつつマイシを押し込んでいく。

「ぐああっ!」

 並んでいるビルが次々と崩れ、また次の通路に出るとゴン蔵は太い馬脚でマイシを上空へ蹴っ飛ばす。

 凄い衝撃を胸に受けて呼吸が苦しくなるが、マイシは翼を広げて留まる。はあっはあっと息を切らす。



「飛行は貴様の専売特許ではないぞ……? グリフォンモード!」


 メキメキと身体が変形し、背中に鳥のような大きな翼をバサッと広げる。顔面はクチバシを備える鳥頭。羽ばたく事で地面を爆発させて、風を切るように急上昇。


「かああーっ!!」

 マイシもオーラを昂ぶらせて急下降。互いにオーラを纏ってドゴォォンッと激突。交差するマイシの剣とゴン蔵の拳から爆裂が吹き荒れる。

 それはゴウッと周囲に余波を散らし、それだけで地上のビル群が粉々に瓦解していった。

 この衝突で互いは間合いを離れるように弾かれる。


「くっ! はぁ、はぁ……」

「さっきまでの威勢はどこへ行ったァ~~?」


 ゴン蔵は息の一つも切らず、再びマイシへと迫る。交差する剣と腕。ガガァン!

 マイシの剣戟とゴン蔵の拳による乱打の応酬、そして幾度かの激突で、上空はあちこち衝突が連鎖し続けていった。


 ズガッガッガッガッガッガガガガッガ!!


「ぐっ!」

 マイシの方が徐々に後退する感じで押されていた。

 強靭なオーラに加えて体格差もあって、それが互いの差となって表れているようだった。ゴン蔵は余裕の笑みでニッと口角を上げる。


「おらおらぁ!! そんなもんかよ!?」


 マイシを豪腕でバキィッと殴り飛ばす。それでもすかさず追撃を防ぐために翼で体勢を整えて、ゴン蔵の拳を剣で受け止める。ガキィッ!

 再び激しい空中戦を繰り広げて、ガガガッと衝撃波の花火で空に連鎖されていく。


 バキキッと、マイシは徐々に打撃を連続で喰らうようになっていく。

 ゴン蔵は肉食恐竜のような極太の脚による回し蹴りでマイシを蹴り飛ばす。勢いよく吹っ飛んでビルにズガンと激突。砂の城のようにガラガラと崩れ落ちていく。


「く……、ちくしょ……!」


 瓦礫から這い出るも、四つん這いで血塗れのマイシは苦しそうに片目を瞑っていた。全身を覆うオーラは勢いを失っている。

 はぁ、はぁ、はぁ、だいぶオーラが削られたようで荒い息は止まらない。


 それを見下ろしてゴン蔵は満足気に笑む。フフッ!

 メキメキ、次第に全身が肉食恐竜ティラノサウルスに巨大化。凶暴そうな牙を並べた大きなアギトが開かれる。未だ翼が羽ばたいているので竜を彷彿(ほうふつ)もさせる。


 いざとなれば複合の部位を備える合成獣(キメラ)みたいにもなれるのかし、とマイシは察した。



「総統ヤミザキ様は、こんな変形能力なんかよりも恐ろしい化身(けしん)化を取得しておられるのだ……! そしてカルマホーンを生やしているものの、モンスター化など恐れてはいない! それどころか、自らモノにして魔王級の力を身に宿したのだッ!!」

「な……なにっ!?」

 マイシは見開く。


「冥土の土産に教えてやろうッ!!

 それこそが、己の潜在意識を化身(けしん)化させる『偶像化(アイドラ)』だ────ッ!」


 ゴン蔵は恐竜の大きな口から巨大な光球を撃ち出す。大気を破裂させ、轟音と共に一筋の尾を引きながらマイシに迫る。

「ぐ……」

 素早くかわす体力はもう残ってなかった。マイシの目に、迫って来る光球が映る。走馬灯か、脳裏にナッセが浮かぶ。


 辺りを明るく照らして、爆発球がッドオオォォォォォンと赤々と膨れ上がった。




 午前の授業中。生徒たちは机に向かって作業に集中している。その中で作業をしていたナッセはふと窓へ振り向く。青空と並ぶ建物が視界に入る。

 隣でヤマミは浮かない顔で俯いていたが、よそ見するナッセの様子に気付いて顔を向ける。


「どうしたの?」

「ん、いや……」


 マイシ今頃どうしているんかな? なんか胸騒ぎするなぞ……。

あとがき雑談w


 静まり返った深夜。

 リョーコはぐうぐう寝入っている。


 コソコソ……!


スミレ「むふふw 今度こそ……w」


 まさに野獣がごとし下心満載の笑顔~w

 しかしリョーコはカッと見開き、ガバッと起き上がって身構えた!

 スミレはムスーッと頬を膨らましてふてくされる。


スミレ「ちぇ……、取り付く島ねぇな……。完全に気配消してたのによ」

リョーコ「ふっふっふw」


(攻略されるとイヤなので言わないけど、接近する時に僅かな感情が昂ぶるから、その一瞬を感知して起きれるようになれたのよねw)


 そんなリョーコに、スミレもすごすごと引き下がるしかなかったw

 でも懲りず、また繰り返しているようだぞw



 次話『少女マイシの事情……!?』

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