表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/201

53話「恐るべきノーヴェンの戦略!!」

 ドガン、ドガン、ドガガン、ドガアァン!


 絶え間なく繰り返される爆撃が森林を荒らし回る。未だ繰り広げられるノーヴェンとナッセの戦い。

 コマエモンは居合いの構えで静止。(すき)(うかが)いながら、静かな呼吸を繰り返して闘気を内に(たか)ぶらせる。


 ノーヴェンは周囲の無数あるメガネを率いて、ビビビビッとビームの弾幕を放つ。それをギンと鋭く見据(みす)え、左右交互に身を(ひるがえ)しながら弾幕を()(くぐ)りつつ前進。そして鋭く煌く光の軌跡を放つ。ノーヴェンは飛び退き、その下を通り過ぎた斬撃が向こうの木々を斬り散らした。

 そして再びビームの弾幕を張っては、()(くぐ)られる攻防が繰り広げられた。


 よし、行ける! 読める! 見切れる!!


 確かな確実性を帯びて、堅実に間合いを詰めていく。だが、それを嘲笑(あざわら)うかのようにノーヴェンの口元はニッと笑んだ。


「今デース!!」


 カッと見開き、ノーヴェンは叫ぶ。

 それを合図に、ミコトは「(トラップ)カード発動DA()!!」と腕を振って、地面からカードを起こした。


巧妙(こうみょう)(わな) ~分断絶壁(ぶんだんぜっぺき)~】自分と相手それぞれの場にモンスターが二体以上存在している場合に発動できる。全てのモンスターは相対(あいたい)しているモンスター同士で戦闘を行わなければならない。それぞれの戦闘で決着をつけない限り、お互いは相対(あいたい)していないモンスターを攻撃対象にできない。


 ゴゴゴゴゴゴ…………!!


 突然の地響きで一同は驚き返る。ガラスのような障壁が地面から生え出し、それぞれ戦闘している者同士で閉じ込めた。

「このっ!!」

 リョーコは力任せに斧で障壁を叩く。ガァン、と周囲を震わせる轟音が鳴るが無傷だ。

 絶句するナッセ達。


 し……しまった! 分断されたぞ!?



「おおおお!! またミコトの(トラップ)カードが炸裂ゥ!! 『無頼漢』チームを相手に発動したあのカード! これでフクダリウスを自分チームの二人で相殺しあわせて有利に持ち込んだアレだァ!!」


 ウオオオオ!!! 二転三転する戦闘に観客は興奮に沸く。


「うむ! 確実に『スター新撰組』を始末にかかってますね!」

「やっぱミコトがいると断然強いですー!!」

「各個撃破と狙いを定められた三局の戦闘。まずはアクトと『無頼漢』。リョーコと『夕夏(ユウカ)家第二陣』。そしてナッセと『インテリスリー』です!」

「うああ!! やっぱナッセちゃん達、()みましたねー!!」


 そうナッセ達は単体で相手チームを相手にするという苦しい戦闘を強いられたのだ。



卑怯(ひきょう)だと(ののし)ってもらって構いまセーン!」


 呆気に取られるオレを前に、ノーヴェンは両脇にミコトとコマエモンを共に不敵な笑みを浮かべる。

 ミコトの背後に三匹の巨大な竜が「グオオオオ!!」と吠える。

 孤立無援(こりつむえん)と悟り、オレは「くっ!」と苦い顔をする。


「これが……狙いだったのかぞ?」

「エエ……。その通りデース! 君達は確かに強い。決して(あなど)りまセン。だから最初っから君達を一人ずつ分断して各個撃破するつもりだったのデス」


 でもなんだか不思議と嬉しさが胸を占める。


「ノーヴェンさんって、すっげー頭イイな。これで同じ生徒だなんて、ガチで頼もしいぞ!」


 ノーヴェンはきょとんとする。むしろ笑顔で賛辞(さんじ)された事に驚いていた。

 どのチームも罠にはまった時、絶望に沈むか、卑怯者と(ののし)るのが多かった。誰一人、そんな風に()めてくれる事などなかった。


「……状況読めてますカー? 今はユーの敵デース」

「うん。これどうしようもねぇぞ。オレ一人で戦わなければならないんだろ? マジでヤバイぞ」

 太陽の剣(サンライトセイバー)を肩に乗せ、背後の壁に親指で指す。

 台詞(セリフ)と表情が合ってない事にノーヴェンは怪訝(けげん)そうに眉を跳ねる。



「ヤマミさんとイチャイチャしてるから、余裕(よゆう)なのデスカ?」

「え?」

 素っ頓狂に目を丸くした。


 勝手にふるふる怒りに震え上がっていくノーヴェン。コマエモンは汗をかく。


「い、イチャイチャぁ? 何の話? なんでヤマミが話に出るんだぞっ?」

「シャラップ!! 呼び捨ても(はなは)だしい! 君は(うるわ)しいヤマミさんを誘ったのでショウ!?」

「ええ? 逆だぞ、逆! だ、洞窟(ダンジョン)探検に誘われたんだぞ! エレナちゃん迷子になってたから、一緒に野宿しながらやっと探し出せたんだぞ!」


 バガァン!! ノーヴェンのメガネが破裂!!


「な、なんぞ?」ビクッ!


 なんかメガネ破裂したぞ? 何が起きた??

 そんな唐突なリアクションにビクッと怯む。ゴゴゴゴ、怒りを漲らせるノーヴェン。歯軋(はぎし)りする。


「一緒に野宿……?」


「しょうがないぞ! 日帰りできるような状況じゃなかったし」

「一緒に寝たのデスカ?」

「え? いや……、夜通(よどお)しで看病されたのはあるけど……?」


 バガガァン! 再びメガネが破裂!!

 何故か再生したらしいメガネが再度破裂ってのも、なんかおかしいけどぞ。



「お、おい! ノーヴェン殿……」

 ガシッとコマエモンはノーヴェンの肩を(つか)む。

(うらや)ましいデス…………!」

 ふるふる怒りに震えるノーヴェン。何故かメガネは再生している。


 ノーヴェンの脳裏に、きゃっきゃっウフフ的にナッセに「あ~ん」と食事させているヤマミの絵図が想像されていた。

「あ~ん、してたのデスカ?」

「お、オレは気絶してたから……」


 それを聞いて、寝込んでいるナッセにヤマミが唇を重ね合ってスープを流す図が浮かぶ。

 ババリィィン! 耐え難い想像で全身のメガネを破裂。


「貴様ァ!! 純潔(じゅんけつ)なヤマミさんとキスしやがってェェェェ!!!!!」


 怒りのままに殴りかかろうとするのを、コマエモンが必死に羽交(はが)()めして止める。


「ま、待て!! ナッセ殿の思うツボでござるっ!!」

「離すデース!! こいつ一発殴らせろデェェェース!!!」

 ぶんぶん拳を振るう。


「…………えぇ」


 ジト目で引く。なんか知らんけど、ヤマミと親しい関係かなぞ?



 ミコトは空気を読まず、ギンと闘志漲る眼光を煌めかす。

「オレは手札から【魂合(こんごう)融合体(ゆうごったい)】を発動だZE()!!」バン!


魂合(こんごう)融合体(ゆうごったい)】自分フィールドから融合素材モンスターをソウルにして、エクストラデッキから融合モンスターを融合召喚する。この効果でソウルを入れられた融合モンスターは以下の効果を持つ。●このカードが破壊される代わりにソウルを一枚墓地に送る。ソウルが全部なくなった場合、このカードを破壊する。


 なんと、三体の白龍が渦に飲み込まれ、三つの頭を備えた巨大な白龍が荘厳(そうごん)と現れた。バン!


【トリプルホーン・アルティメットドラゴン】レベル15

 光属性・ドラゴン族・攻撃力100000000/守備力100000000(カードゲーム用)

 このカードは一度のバトルフェイズ中に三回攻撃できる。


 ドドドドドドドドド!!!!


「こ、攻撃力が一億(いちおく)!? かつては話題沸騰した最強の融合モンスターだァ!!」


 実況の解説で観客は「わあああああああっ!!」と大音響で盛り上がった。




 荒ぶる旋風が森林を揺らす最中、ナッセは何故か落ち着いた様子で前髪をバサバサ揺らす。


「行くZE()!! アルティメットドラゴンで攻げ──」

流星進撃(メテオラン)────」

 瞬時に疾走し、三つ首の巨大な白龍へと間合いを縮め、背後に宇宙を展開。天の川が横切る星々煌く夜空から、十つの流星が流れ出す。


「十連星!!」


 轟音を鳴り響かせ、渾身の十連撃が白龍を滅多(めった)打ち。すると白龍から、砕け散った一枚目のソウルが抜け出た。

「無駄だZE()!! ソウルがまだ二つ──」


「二十連星!!!」


 更に連撃を追加。強烈な打撃音が大気を震わせた。()()る白龍から、砕けた二枚目のソウルが出る。ミコトは見開き、汗を垂らして絶句。


「三十連星ッ!!!!」


 更に更に激しい連撃を追加。白龍を完膚(かんぷ)なきまで打ちのめす。最後のソウルを弾き出し、白龍を()端微塵(ぱみじん)に爆破四散。

「ぐあ……」

 その反動で()()るミコト。このまま畳み掛けるッ!


「四十連星ッッ!!!!!」


 大地を揺るがすほどの、流星群のような一瞬連撃がミコトを容赦なく叩きのめす。

「ウワ~!」

 何故か表示されていた四〇点のライフはガンガン砕け散ってゼロに!

 (あえ)なくミコト棺桶化! ドン!



(すき)()り!! 雷電流(らいでんりゅう)居合術いあいじゅつ飛閃(ひせん)!」


 大技を出し切った後を狙い、カッと見開いてコマエモンは抜刀。弧を描く刀から音速を超えた電撃の斬撃が広範囲に広がる。疲労しながらも反射的に飛び上がるが、右足に当たって血飛沫が舞う。

「ぐあ……!」

 地面に転がり、背後の森林は奥行(むこう)まで一斉に斬り散らされた。ザザザザザザンッ!!



「これで二対一デスカ……」

「それは……どうかな!」

 しかし息を切らしながらも、よろよろと身を起こす。


「済まぬ……」


 ノーヴェンは振り返れば、コマエモンの胸に光の剣が突き刺さっていた。

 居合い斬りされると同時に、回避しながら反撃をしていたのだ。まさかの早業にノーヴェンは絶句。

 ドン! コマエモンは光の爆発に包まれ、棺桶化。



「これでタイマンぞ……!」


 血塗れで痛む足を(こら)え、笑みを浮かべて立ち上がる。しかし見開いた。

 目の前に、ノーヴェンとミコトとコマエモンが万全な状態で揃っていて、巨大な三つ首の白龍が健在だった。ドォーン!


「ば、バカな……?? 何が起きたんだぞ…………?」



「……これを発動しましタ!」

 ノーヴェンは不敵に笑みつつ、カードを見せびらかしする。


逆行(リターン)時計盤(タイムディスク)】この対抗(カウンター)カードはデュエル中、一度しか発動できない。バトルフェイズ終了時に発動できる。このターンの戦闘で破壊された自分のモンスターを全て、破壊される前の状態に戻す。


「君はやはり恐ろしい男デース! 故に保険をかけていたのデス」

「そんな……!」


 初めっから、そういう筋書きだったのかぞ……?

 こっちは限界ギリギリまで流星進撃(メテオラン)を撃ち尽くし、足を痛めての満身創痍(まんしんそうい)。逆にノーヴェン達は余力充分の万全な状態。まさに絶体絶命ぞ……!


 もはや愕然(がくぜん)するしかない。



「これがミーの完璧な戦略デース! これでヤマミとのイチャラブした恨み晴らせマース!」


 ……ヤマミの事は挑発する為の芝居じゃなかったのかぞ? つーか、なんでそんな根に持ってんだよ?

あとがき雑談w


表ミコト「うーむ。デッキ構築に悩むなぁ」


【苦渋の洗濯】魔法カード

 お互いのプレイヤーは自分の着衣を含め、全ての着衣を洗濯機に入れて洗濯する。その後、干して乾かす。


【虫がいなくなるスプレー】魔法カード

 半径二十キロまで昆虫を破壊し、あの世に送る。それは再生できない。


【ハッピーの羽箒】魔法カード

 自分の部屋の埃を全て除外する。


【オッパイのメガネ】永続魔法カード

 このカードが存在する限り、相手はオッパイ以外を見る事ができない。


【ブラックホール】魔法カード

 発動したら最後。


表ミコト「ん? 発動したらどうナ────るゥ─────n─────だァ──────────────────────────────────────────────────────────────…………」



 次話『分断された戦いの行方は!?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ