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196話「殲滅級! 大魔王の洗礼!!」

 渦巻く暗雲の中心部から、侵食するように赤黒が徐々に広がってゆく……。


 その下で(そび)えるは、山よりも圧倒的に巨大な漆黒の人型────。

 頭上に二対の大きなツノが左右に伸びていて、ヤミザキの面影を残す形相に三つ赤く輝く目。後頭部で漆黒の後光がゆっくり回転している。


「ヴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


 開けられた大きな口からギザギザの牙がむきだしに咆哮が大気を震わせ、烈風が吹き荒れると共に大地が唸るように波打った。

 まるで地球ごと震えるかのような恐るべき震撼(しんかん)に、ヘインたち創作士(クリエイター)たちは戦慄を帯びた。


 ついに大魔王ヤミザキが誕生してしまった……。



 両翼を広げて空を飛ぶ星獣に乗っているオレとヤマミは、ピリピリと響いてくる圧倒的な威圧に顔を強張らせる。

「くっ! どんくらいか見てやんぞ……」

 オレは『察知(サーチ)』でソイツを感触して、ゾクッと身震い。


 深淵とドス黒く膨大な魔法力。質が極限にまで濃密で重い。更にMP(マジックプール)が無限に増大し続けてグニャ────────────ッて感じで深く深ぁぁぁく底知れない。


《あれは(はか)れるもんじゃないぞ……》


 気付けばオレの意識は星獣との精神空間に移っていた。

 目の前でブラックホールみたいな異質な漆黒が広がっていた。未だ加速度的に増大し続けている得体の知れない深淵の闇。思わず(あご)の汗を拭う。


「あ、あれが魔王化したヤミザキかぞ!?」

《ああ……。()()()()()()()()()レベルじゃないぞ…………》


 ゴクリと息を呑む。


 あの星獣ですら戦々恐々(せんせんきょうきょう)だ。しかも断言してるし。

 オレも魔王化しちゃったら、あんな風になるんかな…………。やべぇなぞ……。



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!


 緊迫感走る最後の戦い!

 ヤマミと共に、目の前の超巨大な魔王へと向き合う。未だ空を烈風が吹き抜けていて髪の毛がバサバサ揺れ続ける。

 側でヒカリは(はかな)げにヤミザキの成れの果てを眺めている。



 司令室に、ヘインを映すモニターが突然現れる。ヴン!


「早う出陣の号令出さんか!! ナッセたちのおかげで、余も少々回復できた!

 今度こそ最終決戦!! みなのもの総員出撃じゃあ!!」


 アメリカジェネラルは焦りつつも「う、うむ! 第二陣、第三陣、出撃準備出来ているか!?」と放送。


「「「「できてるぞおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」」」


 控え室でヒーローとヴィランと創作士(クリエイター)たち連合軍が待ちきれんばかりに気合いを漲らせた。その大音響で要塞ごと震える勢いだ。


「おおし!! 待機させられて焦らされてきた分、暴れてやるぜッ!!」

「今回はグレン以上にヤベェがな……!!」

「私は怪我した人を集めて治療するわ! それまで耐えて見せて!!」


「では、満を持して総員出撃だァッ!!」


 アメリカジェネラルの号令で、バーニングガイ、ダークシャドーたちは(いち)早く駆け出し、トルネードヴィーナスも竜巻を身に包んで飛んでいった。

 連合軍は士気(しき)高揚(こうよう)と「おおおおおおッ!!」と要塞から大勢で飛び出していく。



 ビュオオオオと煙幕が吹き抜けていく最中、フクダリウスとダグナは並んで半顔で見合う。


「ダグナ殿の危惧(きぐ)した通りになったな……」

「うむ。だがしかし巻き込んで済まない」

「気にするな。それよりも()()を止めねば、間違いなく人類は滅ぶ」


 (くも)った顔のフクダリウスに、ダグナはコクリと頷く。


 寝込んだヤミザキが復活した時に発現した第二の『偶像化(アイドラ)』を出した時から、不穏な予感がしていた。

 単にパワーアップしたとは思えないほど、怖気(おぞけ)走る禍々(まがまが)しいものだった……。

 それは魔王化の予兆だったと、今にして当てはまった。今のヤミザキは、『偶像化(アイドラ)』に取り込まれかけたブラクロ以上に堕ちてしまっている。


「コクア殿! ブラクロ殿! カゲロ殿! 戦えるなら、共に!!」


 ダグナは通信モニターで王子たちに連絡。


 コクアも復活した聖剣を握って、ブラクロも『偶像化(アイドラ)』を出して、カゲロもライクを背負って闇竜王へと身を変えて「ああ! いつでも!」と笑みながら頷く。

 ダクライは「よっこいしょ」と満身創痍の老体であるにも関わらず腰を上げ、ギラリと鋭い眼光を漏らす。手に持つ聖剣も「最後までお供します」と刀身に光を帯びた。


「わ、我々はどうするモー!?」


 夕夏家五戦隊が恐る恐るダグナに問いかける。ダグナは「ふむ」と考え込む。


「……五戦隊は我らの中で一番頑丈だ!!

 故に負傷者を守りつつ、治療班(ヒーラー)と連携して運搬の手伝いを!! 出来るか?」


 信頼していると心が打ち震え、五戦隊は果敢に「ハッ!」と力強く敬礼。

 すぐさまスーパーロボット型『偶像化(アイドラ)』をズンと顕現(けんげん)させ、迅速に飛び立った。ダグナは「頼んだぞ!」と快く笑む。


 フクダリウスはそれを見届けて「ほう!」と感心した。



 治療班(ヒーラー)の回復魔法で立ち直ったヘインも七皇刃(ロイヤル・セブンズ)も身構えた。もちろんリョーコもアクトも立ち上がって臨戦体勢だ。

 囲んでいる治療班(ヒーラー)に「どけし!」とマイシは立ち上がる。

「ま、まだ回復が……!」

「もう充分だし! それよりこのままいると危険っしょ!!」

 震える大地、そして天を衝くような漆黒の大魔王を見上げて、青ざめた治療班(ヒーラー)はそそくさと去っていった。

 去っていった彼らを見届け、そして丸腰の手を見下ろす。


「ち! さっき粉々になったなし……」


 すると「受け取れ!!」とフクダリウスの声が耳に届き、次いで二本の刀がクルクルと飛んできてマイシは両手で受け止めた。

 なんとオカマサが所持していた禁忌(きんき)シリーズである二本の長刀。赤い刀身の『村正(ムラマサ)』、青い刀身の『正宗(マサムネ)』だ。


 オカマサは「お、おい! フクダリウスッ!?」と戸惑っていた。

 構わずフクダリウスは「オカマサからの贈り物だ! 存分に使え!!」と吠えた。オカマサは愕然と鼻水を垂らし、ほどなくガックリ項垂(うなだ)れる。

 ドラゴリラは「まぁまぁ」と背中をさすって慰めた。


「恩に着るし!!」


 マイシは二刀を握り締め、笑む。

 大地震わせる膨大なフォースを噴き上げて、うしろ髪が両翼を象って最強形態に変身し、ウロコ状のスパークが迸った。

 握る二つの刀もそれに呼応するように輝き出していく。


 オカマサは震えながら「そ、それでも……勝てるのなら頼む……!」と必死な目で(がん)()けする。



 アクトは「があああああッ!!」と髪を逆立て、全身の筋肉が膨れ上がり、筋肉筋に沿って赤く煌き、眼を(くま)取りで覆った。

 腕や胸の中央にひび割れた(あざ)が出現し、同時に噴火のような激しい赤い蒸気の激流が吹き荒れていく。

 全身をビリビリと突き抜ける衝撃にアクトは憤怒の表情。


「三度の万覇羅弐(マハーラドゥイッテ)だあああッ!!!」ドン!


 大地を震わせるアクトに、リョーコはジト目で「全く! 止めたって聞かないわよね……」と諦念(あきらめ)のため息。気を取り直して斧を手に構えた。

 シナリは(ぜん)を組んで再び仙人力を得て、モリッカも自らに巨大な落雷を落とし青い稲光を纏い、コハクは陽快(ようかい)として「こっちも行くなのー!」と槍をブンブン振って、気力バリバリの臨戦態勢だ。


「良いか!! アレに接近戦は危険じゃ!! 遠距離攻撃で叩けいッ!!」


 戦場にいるそれぞれにヘインを映すミニモニターが現れ、誰もが頷く。

 言われなくても近づくのすらおっかないくらい大魔王の重々しい威圧が痛い。ピリピリ全身を貫く感じは未だ続いている。普通の人間ならば卒倒してしまうんじゃないかってくらいだ。


 そして飛行している星獣の頭の上で、オレはヤマミと共に気を引き締めてヤミザキを見据えた。



 創作士(クリエイター)&ヒーロー&ヴィラン&夕夏(ユウカ)家王子の混合連合軍!


 VS


 大魔王ヤミザキ!!


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドド……!!



 まずは隊列を組んだミニシュパ、戦車、対戦車砲がボカンボカン連続砲撃される。更に要塞からはミサイルが火を吹いて高速でビュンビュン飛ぶ。

 創作士(クリエイター)たちもそれぞれ遠距離攻撃で弾幕を張る。


 ドガッドガッドガガガッドガッドガガッドガガガン!!!


 太く巨大な漆黒の胴体に、明々と大爆発が連鎖して轟音を鳴り響かせた!

 しかし大魔王ヤミザキは堪える様子はなく、低く唸り上げてから……。


「ヴオオオオオオオオオオオ!!!」


 大魔王ヤミザキが獰猛に吠え、太い両腕で左右に払う。

 それだけで衝撃波の輪が瞬時に広がり、全てを薙ぎ散らしていく。獰猛に巻き起こる大嵐で、岩盤が捲れ上げ、煙幕と破片を飛ばし、(わず)か残った山脈を崩し、木々を根こそぎ剥ぎ取り、大海に波紋状の大津波を広げ、地球ごと震えた! ゴゴゴッ!!


「うわああああああああああ!!!!」


 多くの軍人や創作士(クリエイター)が命を散らしていく。ミニシュパたちもボボボボンと一斉にかき消されていく。なおも暴風と地震は荒れ狂い続けた。

 銀河の剣(ギャラクシィセイバー)を盾に、飛行している星獣が傾きながらも必死に堪える。

「くくッ!!」


 ズズズズズズズ……!! 余震が収まっていく。



「みんなッ!? 大丈夫かッ!?」


 荒れた大地を這う煙幕が流れてゆく最中、見渡せば大勢いた人が減っていた。

 せっかく回復したのに、とリョーコは血の筋を流しながらヨロッと立ち上がる。

 シナリもモリッカもコハクも瓦礫の中から抜け出す。

 耐え抜いたものの、王子たちも苦い顔。ハァハァッ……!


 被害が甚大(じんだい)でも、大魔王にとっては洗礼の一撃に過ぎない。



「くっ! 星獣より厄介だわ……!」「ああ!」


 これまで何度も星獣によって終末を迎えてきた以上に、大魔王の猛威は想像以上だった。

 星獣の言っていた通り『闘ってなんとかなる』レベルじゃないぞ……。


「ナッセェ!!」

「ああ! だが、やるしかないぞ!」「ええ!」


 やらねば人類ごと地球は終わる!

 オレもヤマミも…………この並行世界(パラレルワールド)で最後! もう『次』はない!


 超巨大な銀河の剣(ギャラクシィセイバー)で構え、後方でヤマミは両手を天にかざし周囲から(しずく)をかき集めていた。

 既にヤマミも『賢者の秘法(アルス・マグナ)』を会得していた事に驚く暇もない。が、こうしてエネルギーを集め続けてオレに供給し続けている。

 つまり半永久的に銀河の剣(ギャラクシィセイバー)を振るい続ける事が可能だ!


「おおし!! 全開でぶっぱなすぞォ────ッ!!!」「うんッ!!」



 星獣と共にナッセとヤマミは大魔王ヤミザキへ飛来する!

あとがき雑談w


アリエル「半年ぃ~!」


 クッキーとヤミロは目を丸くする。アマテラスは茶をすする。


クッキー「何が?」

アリエル「大魔王が地球を枯らすまでの時間よぉ~」


 無限に増大し続ける魔王は絶大な力で人類を全滅させた後、約半年かけて地球からエネルギーを際限なく吸い尽くしていく。その後、片っ端から近くの星をどんどん食い尽くして無限に成長し続けていく。

 幾万年以上もの長い時間をかけて、延々と宇宙で繰り返されていくらしい……。


クッキー「せ、正確な時間は測ってなかったけど、確かに魔王化したトコの惑星は粉微塵になっていったわね……」((((´ºωº`))))ブルッ!



 次話『もう、なんとかならない……! 底知れぬ絶望!!』

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