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191話「四首領ヘイン 対 四首領ヤミザキ!!」

 ヤミザキが上下に両手を重ねた間で、螺旋渦巻く漆黒。


「儚く散れ……! 降魔穿嵐旋(こうませんらんせん)ッ!!!」


 バッと両腕を左右に広げると、荒々しく吹き荒ぶ漆黒の竜巻が球状のまま一気に爆ぜた。

 轟音と共に岩盤をえぐり尽くしながら、巻き込んだ七皇刃(ロイヤル・セブンズ)を無残に引き裂き、その衣服と血飛沫を散り散りにしていく。


「ぐああああ!!!」


 七皇刃(ロイヤル・セブンズ)は弾き飛ばされたように四方八方と吹っ飛ばされた。

 一番巨躯の地竜王グレンですら軽々と吹っ飛び、岩山をガンガンガン突き抜け、地面を滑っていく際に草木を薙ぎ散らして「ぐがああ!!」と苦悶を漏らしながら、果てに飛沫を噴き上げ煙幕を高々と巻き上げた。

 不死身なはずのエイスとツィリーフも超高速で吹っ飛びながら、荒地を数度バウンドして転がって引きずられ、大岩に激突して木っ端微塵に破砕。煙幕に包まれる二人はグッタリ横たわったままだ。

 ガヅィン、サタネクス、オータム、スエックも同様に軌道上の全てを突き抜けて煙幕を巻き上げると、無残な姿で横たわった。




「…………ッ!!!」


 フクダリウスもクスモさんもバーニングガイも絶句して言葉が出なかった。それどころか夕夏(ユウカ)家側の王子たちも唖然としていた。

「あ、あんなヤツに勝てるか!! 糞が……!」「あわわわ!!」

 オカマサはガタガタ震え、ドラゴリラは腰を抜かして尻餅をつく。


「まさか……ここまでとは…………!」

「け、計算外……デース!」


 スーパー聖剣『天翼剣』で最高機密要塞を数百もの菱形の盾で円陣を組んでバリアを張っていたが、さすがの威力に数十枚パラパラと崩れ落ちていた。

 司令室にいるヨネ校長も、側のノーヴェンも絶句していた。


「この時の為に万全な七皇刃(ロイヤル・セブンズ)を温存していたと言うのに……、まさか一撃とは!」


 顔面に汗がびっしょりでアメリカジェネラルは息を呑む。

 こ……これが噂に聞いた……四首領(ヨンドン)の実力ッ!?



「っち! あのダクライ(アイツ)以上じゃねェか……!」


 寝かされたまま治療班(ヒーラー)に回復魔法をかけられたまま、アクトは震えながら起き上がろうとする。

「ダメですよ! 抑えて!」「は、はい!」「うん!」

 強引に出ようとするアクトの手足を必死に抑える。

 アクトは「くっそ! どけよォ!」と憤る。しかしリョーコに斧の硬い部分でガツンと頭を殴られ、昏倒。ぽきゅう……!


「全く! 無理して死ぬ気? 大人しく治療されなさーい!」


 一息ついた後、リョーコは苦慮した顔でモニターを見上げる。ヘインとナッセたちは控えていたおかげで無傷のようだ。

 アクトが言ってたようにダクライ以上。

 もしもダクライが奥義で臨んだとしても、ヤミザキは時の静止すら破る。そこに“きっと”“おそらく”“たぶん”が入る隙間はない。

 それだけ絶対的な力を誇る四首領(ヨンドン)が一人、夕夏(ユウカ)家総統ヤミザキなのだ……。



「知ってた?」

 ヤマミの半顔に首を振って返す。目の前の荘厳と見下ろすヤミザキから圧迫感を感じさせずにいられない。


「……一巡前じゃ、そんな技はなかった。

 モリッカの自爆を受けていないから万全、とかそう言うレベルじゃないぞ。まるで別人みてぇに断然強さも能力も違う……。ちくしょう……、話が違うぞ…………」

「へっ! ビビってると、体取られるだけだし。それに……」


 相変わらず挑発的なマイシ。足元は武者震いか、恐怖か、震えていた。

 だが彼女(マイシ)の視線を追うとバサッと真紅のマントをなびかせるヘインがいた。


「余が出る!! ヤツを倒せればよし! 敗れるにしても手の内を全て暴いてやるわい!」


 ドン、と足踏みすると、途端に大地が大きく揺れ瓦礫が浮き、次いで烈風が吹き荒れた。ヤミザキがやったのと同じ足踏みをヘインもやってのけたのだ。

 そんな圧倒的威圧にゾクッと背筋に寒気が走る。


 正直味方で良かったと安堵する。アメリカにいる時に相対していたら恐ろしい相手だっただろう。あのグレン以上に強い事を考えれば身震いすらするぞ……。



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!


 未だ唸るように震撼する大地。次々と破片が上昇していく最中、荘厳とヤミザキとヘインが睨み合う。

 威風堂々と対峙し、一触即発の空気でピリピリ緊迫感が伝わってくる。


「さぁて!! 邪魔も入らぬ一騎打ちと行くかぁ!!」


 ヘインが左右に腕を広げると、背後からドパーンと無数のデフォルメっぽい小人ヘインが一斉に現れ、左右に続々と並んでいって大軍隊が展開されていった。

「シュパ」「シュパパ」「シュパー」「シュパシュパ」「シュパー!」

 その数、数万もの膨大な兵力がヤミザキの前に現れたのだ。

 オレはもちろんヤマミもマイシも呆気に取られた。多分見ている誰もが驚き返っているだろう。


「へははははははっ!! 殲滅戦ゆうたが、望み通り貴様を跡形もなく屠ってやるわ!!」


 ジャキジャキッと小人へインことミニシュパ隊は一斉にライフルを構えた。ヤミザキは物言わず、鋭い眼光で射抜くのみ。

 構わず「撃ェッ!!!」とヘインが吠えると、けたたましく発砲音が鳴り響き、物凄い弾幕がヤミザキをも呑み込みドガガガガガガガガガガガガガガガガガッと容赦なく火花を散らして穿ち続けていく。

 思わずオレもヤマミも両手で耳を塞ぐ。


降魔穿嵐旋(こうませんらんせん)ッ!!!」


 またもや漆黒の竜巻球がパァンと膨れ、弾幕をことごとく弾き返していく。が、以前ほど広がりきれなかった。

 それをキッと見極めた。

 攻撃力次第で威力を削ぐ事はできる……!?


「まだまだ波状攻撃続けいっ!!」「シュパッ!!」


 ミニシュパ勢は第一のライフルを投げ捨て、今度はバズーカのような太いライフルで構え、一斉射撃!

 大地を揺るがすほど激しい発砲音でドカンドカンドカンドカンドカン鳴り響いた。超高速の砲弾が弾幕としてヤミザキを覆い尽くす。

 さすがのヤミザキも見開いたまま、眩い閃光で表情を覆う。


 バガゴゴゴゴゴゴゴオォォォォオンッ!!


 火山噴火のような大規模の爆煙が噴き上げられ、天高く巻き上げられていく。

 しかし、その爆煙をも薙ぎ払いヤミザキの『偶像化(アイドラ)夕夏明王(ユウカみょうおう)が黒く染まった文殊利剣を一周するように横薙ぎ一閃。

 一瞬にして輪状の斬撃が拡大化していって遥か地平線の山脈を一斉に上下に分かつ。


 巻き込まれたミニシュパが数百体ぐらい空を舞い、バババババンと爆死していった。

 ヘインも身を屈んで「ぐあ……!」と苦悶に血を吹く。


「いい機会だ!! アメリカの四首領(ヨンドン)もここで潰えるがいいッ!!」


 神々しく巨躯をズンと『偶像化(アイドラ)』を聳えさせるヤミザキ。憤怒の形相ではあるが、先ほどの波状攻撃で口から血を流していた。多少手傷を負ったようだ。

 夕夏明王(ユウカみょうおう)が文殊利剣で構え、ヤミザキは両手の間に漆黒の渦を生み出す。


 ビリビリ、と激しく威圧が衝撃波のように大気を伝わり、体を突き抜けていく。


 ヘインも負けじと巨大なミニシュパが数百とのそっと壁のように並んでいく。そして巨大な主砲級のライフルで構えていく。

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 ヤミザキとヘインは鬼気迫る形相で咆吼し、互いに強力な攻撃を加えんと挙動を起こす。


 その瞬間、時空超越の輪がドォーンと広がり、停止した世界へ到達────!

 それに見開き、ダクライ同様の奥義と察した! ザワッ!


「今度は視えたぞッ!」

「でも二人とも!?」

「な、なんてヤツだしッ!」

 ヤマミもマイシも汗を垂らし、オレと一緒に絶句する。


夕夏明王(ユウカみょうおう)降魔滅殺旋(こうまめっさつせん)ッ!!!」


 夕夏明王(ユウカみょうおう)が剣を一薙ぎすると共に、漆黒の刃で螺旋渦巻いて爆ぜた!

 同時に巨大ミニシュパが一斉に主砲をドゴゴゴゴゴゴッと轟音を鳴らして幾重もの極太レーザーが射線を描いて、双方の攻撃が激突!!

 眩い閃光が全てを覆う! カッ!


「やべぇッ!! デコレーションフィールド! 攻撃無効化ッ!!」


 慌てて掌をかざした。その横でヤマミとマイシが堪える。

 ヨネ校長も切羽詰まったまま「天翼剣最大出力ッ!!」と剣をかざし、数千ほど一気に複製させた菱型光の盾を張る。それは止まったままのリョーコやフクダリウスなど戦場にいる者全てにも及ぶ。



 ドゴガアアァァァァァァァァァァァアン!!!


 核爆発にも等しい明々とした極大な爆発球が膨れ、周囲の大地が数十キロほど捲れ上がって衝撃波の津波が波紋状に広がって数百キロ彼方まで破片を押し流していく。超高熱を孕む怒涛の烈風が山脈の瓦礫を粉々に崩し、草木を毟り飛ばし、遠くの海が荒々しく津波が互い食い合うかのように暴れ回っていく。

 なおも閃光は広がり、稲光が迸って、全てが震撼した。ゴゴッ!


 なおも大地は余震で激しく震えている。ゴゴゴゴゴ……!


「こ、これが……四首領(ヨンドン)同士の……??」

「あたしたちと次元が違うし……!」

「果たして…………」


 激しく流れてゆく煙幕が収まっていく最中、灼熱の爆心地を眺めながらヤマミは息を呑む。

 途端にゾクッと悍ましく凍りつくような威圧にオレもヤマミもマイシも見開いた。冷や汗がびっしょり全身を濡れる。



「ヴォヴォヴォヴォォォ……!」


 深淵の黒で染め、牛のような巨大な二本の曲がった角が左右に伸びている悪魔の形相。筋肉もより隆々としていて、四本の腕がそれぞれ蠢くような漆黒の大剣を掲げていた。

 悪魔を思わせる歪な両翼大きく広げられていてミシミシと軋み音を鳴らす。


「ヴオオオオ……!」


 怖気走る悪魔の口から、紫の吐息がこもれ出る。

 ヤミザキを内包する悪魔の姿をした『偶像化(アイドラ)』が灼熱から抜け出し、以前余裕と巨躯をこちらに見せつけてきた。


 なに……これ……!? 前と……姿が違…………!?


 オレもヤマミもマイシも口を開けて驚愕する────!!

 凍りつくような威圧感、そして漆黒のフォースが爆発的に溢れる。禍々しく黒く巨大な『偶像化(アイドラ)』。以前とは別物の悪魔的な力。

 これは……まるで魔王級…………!? ゾクッ!


「さすがだ……、この私も……今のは危なかったぞ!

 ヘイン! 貴様は本当に無敵と誇ってもいいほどに強かった!!」


 ハァハァッと苦しそうに息を切らしながらヤミザキは笑みながら姿を現していく。血塗れで顔面にも血の筋を垂れ流していた。

 オレは慌てて見渡すと、ちょっと後方でミニシュパが三体「シュパシュパ」慌てていた。その近くでヘインが血塗れで横たわっていた。気絶しているのか分からないが、ミニシュパがいる事を見ると生きているようだ。


「ヴォオオオオオオオオッ!!!」


 ビリビリと嵐のような漆黒の烈風が吹き荒れ、オレたちは腕で顔を庇う。

 魔王級の『偶像化(アイドラ)』のドス黒く、広大な海のような底知れない量のフォースに戦慄する……。絶大で途方もない力の差を更に広げられた。


「観念して我が『器』になるのだな!!」

あとがき雑談w


クッキー&アリエル「うおおおおおおお!!! 四首領(ヨンドン)同士の激突ぅ!」


 酔いも手伝って、顔を真っ赤に興奮しながらモニターに食い入る。


ヤミロ「真の猛者の戦いってか……」

クッキー「ああー、あの強敵ハウロ思い出すわ! マジ強かったー!」

アリエル「あらぁ懐かしいわぁ。その名ぁ~」


 ビールをがぶ飲みしながら、昔話で盛り上がっていく。


ヤミロ「ってか威力値100万軽く越えてるぜ……。インフレやべぇな」(汗)



 次話『真打ち登場!! ナッセたちの戦いぞ!』

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