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186話「一瞬の戦慄! ダクライの閃光!」

 青光で稲光を迸らせるモリッカ。ギザギザに伸びる青髪の毛が雄々しく揺れる。

 額にも肩にも腕にも血管が浮かび上がるかのように筋肉もりもり。


「はああああああああッ!!!」


 両手を交互に突き出し、電撃迸る青光の光弾を数百発も一気に連射。


「ほう!」


 喜々とダクライはその弾幕を浴び、大地ごと飛沫を吹き上げるほどに電撃が爆ぜ続けていく。

 容赦のない落雷の嵐のような蹂躙で広大な大地が粉々に吹き飛んでいく。


 次にシナリは長い白い髭と髪を揺らしながら、片手を天に向かってかざすと、周囲から台風のように螺旋状の烈風がかき集められて、数十個の輪を象っていく。

 それぞれ超高速で回転し続ける旋風の円盤が唸りを上げていた。


 オレも誰もが驚いた────────。

 あの三大奥義の一つ『無限なる回転インフィニティ・スピン』を数十個も錬成するとは!


仙道(せんどう)!! 風神(ふうじん)大旋風連車(だいせんぷうれんしゃ)!!! ()ッ!!」


 シナリが挙げていた手を振り下ろすと、数十個の大旋風連車がダクライへ注がれていく。


「面白い!! だが、一発でも即死ゆえ全力で迎撃させてもらう!!」


 喜々とダクライは周囲に光刃を放射状に連ねた輪を幾重も様々な角度で生み出し、それを超高速で回転させていく。

 全方位を切り刻む勢いで輪は拡大化されていく。

 一つ目の大旋風連車と触れるや否や、空に広がるほどの大爆発が広がった。地響きと大気の衝撃が一気に周囲へ広がっていった。

 一つ一つ激突するたびに大爆発が連鎖し、戦場は大きく震え、暴風と共に破片が超高速で流れていく。


 ドオオオオオン!!!


 遠く離れているにも関わらずオレも腕で顔をかばい、通り過ぎてくる烈風をこらえた。

 リョーコもアクトも治療班も懸命に踏みとどまっていた。ビリビリ……!



 ショタっぽくなった銀髪ロングの陽快(ようかい)コハクは「いくなのです!」と精霊具をかざす。

 すると一気に数千もの槍がヴィンと複製され、コハクの周囲を広く周回していた。


万紅蓮(まんぐれん)千越閃槍(せんえつせんそう)爆嵐(ばくらん)”!!」


 一斉にダクライへ矛先を向け、数千もの槍が発砲音を鳴り響かせ超高速で射出されていった。

 ダクライは嬉しそうに笑い、数千もの光刃で弾幕を張って射出。

 けたたましく轟音が爆ぜ、衝突の連鎖が数千も重なり、大地の飛沫を天高く巻き上げていく。


 コハクはカッと見開き、一気に掌を突き出す。


万紅蓮(まんぐれん)一閃槍(いっせんそう)天翔穿(てんしょうせん)”ッ!!」


 巻き起こっている爆風を突き抜ける一条の閃光が、ダクライへ一直線と疾走(はし)り抜ける。

 激突の嵐に隠れて撃ち放つ電光石火の一撃必殺。その速度は正に電速に近しい。ダクライは視界の片隅でそれが一瞬入った時に、既に動いていた。

 回避も防御も不可なほどに、研ぎ澄まされていると一瞬で見抜き!


「その一撃見事なり!!」


 背中の光刃が総動員で並び、その一条の軌道をずらすように打ち払った。

 光刃が全て砕け散っても、少しでもずらされれば充分。それはダクライの側を通り過ぎ、遥か向こうで山脈を木っ端微塵に貫いていった。


 バガアァァァン!!



「な、なんで外させるなのですーっ!!」

 ムキーと両拳を振り上げるコハクに、ダクライは陽気に笑う。


「ほっほ! 他の相手ならばまず間違いなく倒せたでしょうな」



 挟み撃ちと、モリッカとシナリが瞬速で飛びかかる。今ので丸腰になったダクライへ襲いかかったのだ。

 だが、受け流すようにダクライは両手で二人の挟撃を通り過ぎらせる形で逸らした。

 すれ違った二人の一撃は地面を穿ち、飛沫を高々と噴き上げた。


「今なのですっ!!」ゴオッ!

 その隙を突くべき、コハクが精霊具の槍で斬りかかかるが、ダクライは槍の横をトンと叩いて軌道をずらす。外れた矛先は大地を穿ち、噴火のように土砂を大規模に噴き上げた。


「くっそー!!」「まだまだじゃぞ!」「ドンドンいくなのですッ!!」


 モリッカ、シナリ、コハクが三人でラッシュを繰り返すも、ダクライは体術だけでも捌ききって打撃の連鎖が轟音を鳴らし続けていった。

 再び光刃が錬成され、ダクライを守るかのように並び始めると、三人は間合いを離れそれぞれ遠距離攻撃を撃つ。幾重の輪状の光刃がそれを迎え撃つ。


 ドォン! ドドン! ドゴォン!! ドドドド!!



 ────遥か向こうで何度も噴き上げる衝撃波の嵐に呆然とした。


「……あ、あいつスゲー強いなぞ」

「なななな!? なんなのっ!? ヤミザキ並に強すぎないっ!?」


 リョーコも慌てふためいていた。

 そりゃ聖剣だけじゃなく、体術もハンパないからな。まさか本当に四首領(ヨンドン)クラスの強さじゃないかぞ。

 野心も持たず、ヤミザキの下でひっそり隠れているとは……。


「あァ……、俺ァ行くしかないかァ?」


 アクトが一歩踏み出そうとすると、治療班(ヒーラー)の一人が「待ちなさい!」と呼び止める。

 ふと振り向く。

 彼らのおかげで完全に傷は癒えた。また戦えるぞって時に、神妙な顔をされると不穏な気配に感じてしまう。


「……アクトさん。前の戦いで使ったの『万覇羅(マハーラ)』でしたよね?」

「あァ? そうだが?」

「使ったらダメですよ……。治療する際に分かった事ですが、微細な傷が膨大な量で積み重なっていて既に身体はボロボロです。これ以上酷使すれば、最悪死にますよ……?」


 え……??


「例え恵まれた体格でさえ『万覇羅(マハーラ)』は負担が重すぎます。このまま無理をすれば、運良く死なぬにしても一年以内に身体が満足に動けなくなるでしょう」


 その言葉に衝撃を受けたぞ……。

 そういえば、前世からもずっと無理して戦い続けてきたんだよな。

 いつもピンピンしてて、なんともなかったから超人みたいに見ていたけど……。


「アクト!!」

「おっと! 言うなよ? ナッセェ」


 心配するなって感じで首を振る。そして遠い目で、最後の戦いの嵐を眺めながらフッと笑う。


「…………心配ァすんなって、今ァ……死ぬ気ァねェよ!」




 血塗れながら喜々と不敵な笑みのダクライと、全身全霊と切羽詰まったコハク、モリッカ、シナリは縦横無尽と戦地を駆け抜けながら格闘を続けていた。

 ダクライの光刃が無数と屈折しながら空を駆け抜け、電撃走るモリッカが拳の嵐を浴びせ、シナリの旋風車がビュンビュン通り過ぎて全てを細切れにし、コハクの操る無数の槍が雨のように怒涛と降り注ぐ。

 一つ一つ激突するたびに大爆発が次々巻き起こる。



「はははっ!! 良いぞ良いぞォ! 血が滾る激戦や良し……ッ!

 だがしかし! 自分一人で背負いがちなヤミザキ様を()()支えねばならぬのでなッ!! 早々に終わらせてもらうぞ!!」


 吹っ飛んでいたダクライは両足で大地をドンと踏みしめ、後ろに滑りながらガガガガッと破片を巻き上げていく。


「主らの実力に敬意を評して、儂も最高の奥義を見せてしんぜよう!」


 ダクライは両腕を緩やかに踊らせ、ビシッと左右に伸ばして構えた。

 背中の並ぶ光刃も、竜が威嚇するかのような感じで象っている翼を広げた。そして完全不動の構え。


「三大奥義が一つ、刮目せよ!!」


 それだけでも未だ大地を揺るがすほど巨大な威圧が立ち込めているのは、コハクたちにも感じ取れていた。恐怖か戦慄か、冷や汗が全身に濡れる。


 だが後には引けない!


 彼さえ倒せば、残すはヤミザキのみ!!



 モリッカは暴れまわる電撃を散らしながら全開の大爆裂魔法を放ち、シナリは数十個の巨大な風神・大旋風連車を投げ、コハクは万及ぶ大量の精霊具を合体させて巨大化した後に手元で回転させながら奥義を放つ。


「超・まじかる大爆裂────ッ!!」

仙道(せんどう)!! 風神(ふうじん)特大(とくだい)旋風連車(せんぷうれんしゃ)!!」

万紅蓮(まんぐれん)万閃重槍(まんせんじゅうそう)無双弧月華(むそうこげつか)”!!」


 ダクライは見開き、爆発するように吠えた!!


零・閃(ゼロ・セン)!!!!」



 世界を閃光が覆うかのように爆ぜ、轟音と地響きと共に四方八方と稲光が大空に迸り散った!

 気付けばモリッカ、シナリ、コハクがボロボロになったまま宙を舞っていた。

 滞空中、血飛沫や武器と衣服の破片が散らばりながら三人は揃って墜落。



 なにが……起きたぞ…………!?


 瀕死に陥ったモリッカ、シナリ、コハクは微動だにしない。煙幕が流れ、哀愁が漂う。


 一瞬の決着に誰もが絶句し、目を丸くするしかなかった。

 また『エンギ』で死んだフリしているんじゃないかって思うくらい、あっさり過ぎるぞ……。



天晴(あっぱ)れ!! この奥義を喰らってさえ死なぬのも猛者(もさ)ゆえか!」


 ダクライはニヤリと不敵に笑む。

 絶句した。恐怖さえ感じさせるほどに、この男は本当に強い。

 気付けば手が震えていた。


 ヤミザキの他にも、到底勝てそうもない巨敵がいるとは……。



「心配すんなァ……。お前なら勝てる。だが勝ち星はヤミザキからだァ!」


 なんとアクトがオレの肩に手を置き、暖かい安心感を与えてくれた。

 そして励ましも心に活力を与えてくれる。だが、同時に不安もあった。



「だから俺ァ……、ヤツから勝ち星をあげてくらァ!!」


 アクトは不敵に笑み、巨大な威圧を全身に漲らせていくにつれ、地響きが徐々に大きくなっていく。


 止める間もなく、アクトは地を蹴って姿を消した。音速(マッハ)を超えて戦地をビュゴ────ッと飛沫を上げながら駆け抜け、瞬時にダクライの前にダンッと着地し、噴火のように土砂の飛沫を噴き上げた。

 噴き上げられた土砂が降り注ぐ最中、アクトとダクライは殺意さえ漲る形相で睨み合った。ギッ!


 その瞬間、互いの巨大な威圧で大気が弾けパァンと鳴り響いた!

 次いで全身を貫くかのようにビリビリビリビリと振動が突き抜けていく。


 全てが静まり、アクトとダクライは対峙し合った。



 観念し、モニターを見上げた。

 リョーコも側に歩み寄って「大丈夫……かな?」と不安そうに、見上げた。


 鋭い眼光を放つアクトは「身体がぶっ壊れても知るか……今はてめぇを倒す……!!」と殺気孕む凄みに、ダクライはゾクゾクッと震えながら「面白い!」と不敵に笑む。



覇皇心髄(ハオーシーズ)!!!」


 ズ……!

あとがき雑談w


ヤマミ「ナッセ!」

ナッセ「なんだぞ?」


 なんと今日は7月7日、七夕の日なのだ!(執筆中の日)

 夜空を天の川が横切る美しい風景。数千数万もの星々が煌めいている。彦星、織姫星がくっきり輝いていた。

 笹に無数の短冊が飾られていたぞ。


ヤマミ「何を願ったの?」

ナッセ「え?」どきっ!


 ナッセの短冊に「大切な人と無事に異世界を楽しく旅できますように」と書かれていた。

 ヤマミの短冊も「愛しい人と楽しく異世界を旅したい」と書かれていた。


 しかしエレナの短冊は「ナッセと〇〇な事できるようになりたい!」とキスの絵まで添えて書かれていたぞ。


エレナ「うっわ~~あたしッ恥ずかしいじゃない~~ッ!!」(;>_<)

スミレ「煩悩まみれね~w」(;´∀`)


 その後、エレナはショボンと書き直しましたとさ……w



 次話『アクトとダクライの譲らぬ戦い! お互い大切な人のために!』

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