表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/201

169話「激戦必至! 七激突の戦局!」

 ヘインとアメリカジェネラルはいくつものモニターを眺める。

 それぞれの戦場で夕夏(ユウカ)家の王子たちが、こちら側の猛者(もさ)と相対する事になった。


「ようやくお出ましかの。焦らさせおってからに……」

「ふむ、見たところ……」



 第一子コクア対ナッセ、アクト、リョーコ……。


 第二子ブラクロ対ヤマミ、エレナ、スミレ。


 第三子ダグナ対フクダリウス、オカマサ、ドラゴリラ。


 第四子ライク、第五子カゲロの双子王子対マイシ、ナガレ、ケン治。


 歴戦の黒執事ダクライ対コハク、シナリ、モリッカ。


 第六子ウユニーギ、第七子ホエイ、第九子カンラク、第十子ギュラー、第十一子ムイリら夕夏(ユウカ)家五戦隊対クスモさん、ミコト、コマエモン。


「……七激突の戦局といったところか!」


 ここでの戦いが今後の展開を左右するかもしれない。頼むぞ。とアメリカジェネラルは願掛けした。

 しかしヘインはニイッと怪しく笑い、不穏な気配を見せる。



 黒いスーツにマントだが、引き締まった顔の美青年。

 するとビュンビュン空を飛び交う剣が最後滑らかに急降下し、コクアの伸ばした手に収まっていく。ガシッ!


「これが僕の聖剣ホノレーヴァ! では参ろう……」


 スラッと美しく煌く白銀の剣。コクアは軽やかに円を描くように剣舞を披露してみせる。

 緩やかに肩に乗せる感じで止め、その切っ先から炎の息吹がボウッと漏れる。

 流れるような剣舞に、洗練された剣士(セイバー)だと察した。


「一人で俺たちァ……三人を相手するってのかァ……?」


 ずい、とアクトが肩に刀を載せて不敵な笑みで一歩前に出る。

 それもそうだ。見た所、オレとタイマン張れるだけの力量はありそうだ。だが三人を相手するのは無謀だ。

 歴戦のアクトもいるし九分九厘(くぶくりん)コクアに勝ち目はない。



「一人……? そのように見えるか?」


 皮肉めいたように笑む。


「確かに先程は僕一人で総統様に、と驕っていた。だけど今は違う! 僕たち夕夏(ユウカ)家は運命共同体、そして共に支え合う()()です!!」


 手の甲の赤い刻印(エンチャント)が輝くと、大地を揺るがす凄まじい鳴動と共に赤い稲光が迸り、コクアの全身から尋常じゃないエネルギー流が吹き荒れてくる。

 絆で固く繋がったと感じ取れるほど、重々しいエネルギー量が彼を取り巻いた。


妖精王(アレ)になれば互角以上に戦えるんだがぞ……」

「あー止めとけ。メガネに言われただろ? 本番まで置いとけ」

「うん! そーだよ!」


 案の定アクトとリョーコに止められた。ちぇ……。



「行きますよッ!! 猛りなさい、ホノレーヴァッ!!」


 気合一喝。火炎の余波を散らし、凄まじい勢いで跳躍。鋭く振り下ろされる灼熱纏う聖剣。その挙動だけでも、天空の暗雲が割れ地響きと烈風が広がる。

 気を引き締め、アクトと共にカッと眼光を煌めかす。


「ライズ────ッ!!」

「紅蓮斬ッ!!」


 コクアの振り下ろす聖剣に、オレとアクトは地面を爆発させるほど跳躍しつつ必殺剣を振り上げる。三つの刀身が重なり、天へ向かって衝撃波を高々と噴き上げた。

 ビリビリ響いてきた衝撃がオレとアクトとコクアの全身を貫く。


 ガン!!


 甲高い音と共に衝撃波が四方八方に爆ぜ、三つの剣が弾かれると共にオレたちも飛ばされる。

 すかさずリョーコが空から斧を振り下ろしてくる。それに反応したコクアは滞空中のまま剣を引いてかざす。


「クラッシュバスターッ!!」


 リョーコの振り下ろした渾身の斧が、コクアの聖剣に食い込む。ミシ!

 ビリビリと予想以上の威力の重さにコクアの顔は歪む。弾けた衝撃で轟音を鳴り響かせて吹っ飛ばされ、ガンガンガンと遺跡の壁をぶち抜いて果てに煙幕を巻き上げた。ズズゥン!

 オレとアクトは着地し、ふうと息をつく。遅れてリョーコが着地。


 しかし遺跡の破片を破裂させるように吹き飛ばし、浮き上がる無傷のコクア。


「ナッセ以外も相当に強い……! それが貴様の絆か!」

「ああ! これが『スター新撰組』だぞ!」




 遠くで起きた激突で地響きに、ブラクロは「始まったわね」と妖しく笑む。


 一方でヤマミは黒マフラーで口元を隠し、その端が左右に浮いたまま風に揺れる。相手がオカマだとゲンナリするエレナと、相変わらずにこにこなスミレ。

 ブラクロは手に持った水晶玉を浮かす。それは妙に輝き始めた。


「三人いらっしゃいな」


 艶かしくブラクロは微笑み、左右に腕を広げ右手の『刻印(エンチャント)』が赤く輝く。

 大地を震わせるほど凄まじい鳴動が響き、凄まじいエーテルが暴風のようにブラクロの周囲を吹き荒れていく。


「……愚かね。自惚れるなんて」


 ヤマミの周囲に黒い小人が数人周回しながら踊る。三人くらいが地面にダイブして、走る黒い筋となって屈折しながらブラクロへ目指す。

 見開き慌てて横へ飛ぶと、黒い筋も軌道を変えてそれを追う。──そして着火。


 燃え盛る黒炎を浴びたブラクロは後ずさりし「ぐああ!」と苦悶に呻いた。

 轟々勢いを増す黒炎にもがき苦しみ「ぎゃあああああ!!!」と堪らず転げまわる。それでも黒炎は執拗で消えない。次第に痙攣したまま動かなくなっても、黒炎は容赦なく貪り尽くす。


「ひええ……」

「あらあら~? もう終わり~?」


 ドン引きのエレナ。ポカンとするスミレ。しかしヤマミは冷淡に見据える。




 茶髪でボサボサ風のツーブロックヘアー。厳つい顔。筋肉隆々とした大柄な体格。手の甲の赤い『刻印(エンチャント)』が鳴動を唸らせ、ダグナの全身から凄まじいエーテルが赤い稲光を伴って荒れ狂っていた。


「聖剣『轟雷斧』よ! 叫び轟けッ!!」


 斧をかざすと、天空に暗雲が渦を巻いて立ち込めていく。天候さえ操るのか、とフクダリウスたちは汗を垂らす。

 そして閃光を発し、轟音と共に凄まじい落雷が複数ダグナへ直撃。

 周囲に衝撃波を広げ、烈風が吹き荒ぶ。破片が飛びオカマサとドラゴリラは腕で顔を庇う。


「主は総統様の必殺剣を二度も受け、耐えた男と聞く……。故に手加減は無用!」


 雷のエーテルを纏い、重苦しい威圧を伴うダグナ。

 しかしオカマサはフッと笑い飛ばす。鋭い眼光を見せ、見た事もない武装を両手で身構える。ドラゴリラは腕を交差して「ゴリラクローや!」と手の甲から鋭く尖った鉤爪(かぎづめ)を長く伸ばす。


 ……それゴリラッ!?




 静かな怒りを表現する顔のマイシ。おどおどするナガレ。そして後方でニヤニヤするケン治。

 相対するは不敵に笑む粗暴なライク。そして不気味に沈黙するカゲロ。

 ────そしてライクとカゲロの『刻印(エンチャント)』が赤く稲光を発し、凄まじい量のエーテルを吹き上げ、それはズズズズと竜に変質していく。


「光竜王ライク! 出し惜しみはしねぇ、一気に決めるぜェ!!」

「闇竜王カゲロ! ああ瞬殺だ!」


 ゴゴゴゴゴゴゴッ……!!


 なんと白竜と黒竜が荘厳と巨躯を露わに、鋭い爪を伸ばす太い足を重々しく踏み出す。

 まるで二頭の怪獣が現れたかのような迫力だった。ズズン!


「いきなり竜王化できるのか!!?」アメリカジェネラルは驚愕。


 ライクは巨大な体にも関わらず、大地を爆発させ俊敏に間合いを一気に詰めてマイシへ鉤爪(かぎづめ)の前足を振るう。

 その瞬間、マイシは「かあっ!」と凝縮された火炎のエーテルを全身から吹き上げ、ウロコ状に描く稲光が迸る。

 そのままライクの巨大な前足を腕で防ぎ、後ろから挟み撃ちしてくるカゲロの前足も片方の腕で受け止める。


 ズン!!!!


 地響きを起こし、広範囲に渡って地盤を陥没させ、亀裂から粉塵を巻き上げた。まるで巨大な竜同士がぶつかり合ったかのごとく激しき衝突だ。

 ナガレは吹き荒れる余波に「きゃあ!」と腕で交差して踏ん張る。ケン治は腕組みしたまま、全身に石飛礫を浴びる。


「なに!?」「なん……!?」


 竜王化もしていない彼女一人に受け止められ、巨大な竜のライクとカゲロは見開いた。マイシは「へっ! それがどうしたし」と余裕の笑みを浮かべる。




 モリッカの不意打ちにも平然とかわし、穏やかな笑みを絶やさぬ老いた黒執事。

 執事風に整った黒服。白髪のオールバックで目が細い。少々前屈み。静かな出で立ちにコハクはゾクッと恐ろしい雰囲気を感じ得た。


精霊具(せいれいぐ)九十九紅蓮(つくもぐれん)!!」


 眼前に精霊具の槍を具現化し、複製して左右に並べる。

 ダクライは「ほっほ。遠い異世界の(わざ)……と、この目で見るのは初めてですな」と手に持つ不気味な形状の剣を振りかざす。


「では聖剣『ラー・ブリュナ』よ! 久々に行こうかの……」

《御意! では迅速に始末致しましょう》


 ボッと異形の聖剣の周囲を浮く四本の刃が青い炎に包まれ、それはフッと消えた。


 背筋を走った恐怖にコハクは見開く。焦り「くっ!」と地を蹴ると同時に、弧を描く幾重の青い軌跡が刹那(せつな)広々と通り過ぎた。

 秒ぐらい遅れた後にダクライを中心として半径数キロ範囲の遺跡がズカッとスライスされて浮き上がった。同時に巻き込まれた刻印獣まで真っ二つだ。置いてきた複製の槍も裂かれボシュンと煙に流れる。

 未だ滞空中のコハクは「シナリッ! モリッカッ!」と慌てて見渡す。


「ひゅうー見えたかー? なんか無数の刃が飛び交ってたぞー! カオスッ!」


 シナリは大袈裟に驚いたリアクションで飛び上がっていた。

 ……しかしモリッカの姿は見えない。


「まさか……やられた……??」


 浮き上がっていた大きめの破片がガラガラ落下を始める最中、ダクライの背後を落ちる破片から姿を現したモリッカが杖を引いたまま「まじかる……」と光子を収束させていた。コハクは唖然。

 ダクライは「な!?」と驚いた顔で振り向き────!


「大爆裂────ッ!!!」


 扇状に放たれる凄まじいエネルギー奔流が、ダクライを光の彼方(かなた)へかき消す。そして天地を轟かす最大級の大爆発が巻き起こった。


 ドズォオオオオオオオッ!!!


 衝撃波の波が吹き荒れ、王子とナッセたち他の戦場をも巻き込んで烈風が通り過ぎていった。

 台風のように吹き荒ぶ暴風に、ウユニーギら夕夏(ユウカ)家五戦隊は「ひょわあああああ!!」と目を丸くして流されていく。

 クスモさん、ミコト、コマエモンは「くっ!」と腕で顔をかばって堪えきる。


 戦場を暴れまわる乱気流は数分続き、地響きも未だ収まらない。ズズズズ……!

あとがき雑談w


ホノレーヴァ「あの斧女、むっちゃいてぇ!! 何なんだよ!!」

轟雷斧「そいつは巨乳だったか!?」

ホノレーヴァ「……? だったかな? でもなんで聞くんだ?」

轟雷斧「巨乳に仕えていくのが俺の夢だったんだ!」

ホノレーヴァ「ダグナ殿が聞いたら落ち込むぞ……」

轟雷斧「だから無口キャラで通してる。抜かりはない」キリッ!


ラー・ブリュナ「……無駄口を叩かぬのも聖剣としての気品を保つものでもある。自戒せよ」

ホノレーヴァ「それは言えている。まぁそちもロリ同人を嗜んでいるようだしな」


ラー・ブリュナ「何故それを!!?」(ギクッ)


轟雷斧「あの家に同人誌置いてないからと、こっそり外で集めた中でロリ系だけ全部盗られてると思ってたら……そういう事か」

ラー・ブリュナ「轟雷斧殿、この事は内密を! 頼む! バレたら死ぬ!」

轟雷斧「……分かるよ。我々は元々人間だったしな」


ホノレーヴァ「こんな姿でも、三大欲求は普通にあるしなー」



ヤミザキ「ダクライ。そちからティッシュやスナック菓子の廃棄が多いのだが?」

ダクライ「そうなのです。妙に多くてな。心当たりないのですが……」

コクア「そういえばビール缶多いな? 僕は飲まないんですが」

ダグナ「…………図書館に見知らぬ本が入れられている。誰だ?」


ライク&カゲロ(誰が集めてるか知らねーが刺激的だぜ! ひゃっほう!)


 夕夏(ユウカ)家の屋敷には七不思議の怪があるらしい……。



 次話『ダクライの秘密……! ガヘリスの家系!』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ