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164話「召喚士スエック、調子に乗りすぎ!」

 無表情のスエックが前線へ着くと、既に第二陣のヒーローや創作士(クリエイター)たちが奮戦していた。


「ダルいなぁ。さっさと終わらせよ……」


 ボサボサの銀髪に双葉のようなアホ毛。ジト目っぽく冷めた表情。低身長で、民族衣装のような模様のポンチョ着込んでいる。

 バサッとポンチョを広げるように舞わせると、高らかに右手が挙げられた。

 ──足元に輝く魔法陣が展開されていく。


「七色の尾を持つ神鳥よ舞い降りろ! ラーニックス召喚!」


 大地を揺るがし、魔法陣から巨大なフェニックスが抜け出る。

 神々しい黄金の巨大な火鳥。プロミネンスのような赤く燃える鶏冠(トサカ)。バサッと広げられた両翼が雄大だ。七色に燃える孔雀のような尾羽を揺らめかす。

 誰もがその眩い姿に驚き、その威圧感におののく。


「……幻獣憑依!」


 声に従い、スエックへ巨大なフェニックスは勢いよく吸い込まれていった。

 小さな体に膨大な召還獣が込められ、溢れ出る灼熱が眩い閃光と共に周囲へ吹き荒れる。なおも揺れ続ける大地と吹き荒れる熱風に創作士(クリエイター)たちは腕で顔をかばって堪えていた。


 なんとスエックは頭上にフェニックスの頭を象った帽子、ポンチョが拡大化して両翼を象り、後ろからは七色に燃える尾羽が揺らめく風貌へと身を変えた。目付きがやけに好戦的っぽくギラギラ吊り目。ペロリと上唇を舐める。

 まるで幻獣のような神秘的な容姿だ。


「この戦争は僕が終わらしてあげるよっ! ハイヤアアアアッ!」


 フェニックスの両翼が羽ばたくようにポンチョがブワッと舞い、スエックは空へ上昇。

 そして伸ばす片手には、フェニックスを象る斧が具現化される。


「ラーニックス・バーニングレイドォー!!」


 斧を振り下ろすと、遥か天空より火炎柱が大地を穿つ。

 周囲に灼熱の津波が吹き荒れ、一斉に刻印獣を大勢蒸発させるかのように消し飛ばす。

 その豪快な破壊力に、創作士(クリエイター)たちは目を丸くした。


 今度はフェニックスを象った槍を手に、スエックは一直線に突き出す。


「ラーニックス・インパルスラストッ!!」


 今度はレールガンのように大地を一直線に切り裂く電撃光線が、周囲に稲光を撒き散らしていく。

 遥か地平線の彼方にまで届き、軌道上の刻印獣を大量に屠っていった。


 更に武器は変化し、フェニックスを象った扇が!


「ラーニックス・テンペストール!!」


 ひと振りで、天と地を繋ぐ巨大な竜巻がうねりながら刻印獣を巻き込んでいく。

 その強烈な竜巻に飲み込まれた全ては無慈悲に引き裂かれていく。


 扇は形を変え、フェニックスの両翼を象った先端の杖!


「ラーニックス・カタストロファング!!」


 なんと大地から大きな牙のような溶岩の岩山が突き出る。更に広範囲に渡って無数の牙が突き出たり引っ込んだり、それを繰り返していって刻印獣を砕いていく。

 最後に超巨大な溶岩の牙が天を突くほどに高く隆起し、地震と共に吹き荒れた衝撃波で大勢の刻印獣を吹き飛ばしていく。

 まるで天変地異が起きたかのように甚大な破壊が天地を蹂躙していく……。



 みんなに勇気と熱血と夢を振りまくプリキューメン剣士(セイバー)オータム。

 分身し続ける格闘僧(モンク)ガヅィン。

 塵にされても再生できる槍士(ランサー)エイス。

 スライムの触手を振るう戦士(ファイター)ツィリーフ。

 光の巨大な手で連続張り手を繰り出す僧侶(プリースト)サタネクス。

 七色の尾を持つ神鳥を身に宿す召喚士(サモナー)スエック。

 大地を操る地竜王である狂戦士(バーサーカー)グレン。



「これが四首領(ヨンドン)ヘインの誇る『七皇刃(ロイヤル・セブンズ)』か……」


 ヤミザキは不敵に笑む。

 圧倒的な実力を見せつけられながらも、それでもなお余裕の姿勢は崩さない。

 後方に控える王子たちも同じく怖気付いた様子はない。



 夜空を縦横無尽に飛び回りながらオータムは希望に溢れる精悍な瞳を見せ、自信満々と笑む。

 高速飛行したまま、巨大浮遊艦へ流れるように散弾をばら撒いていく。

 爆発の嵐がドドドドンと爆音を響かせる。が、煙幕が晴れると半透明の障壁が見えてきた。巨大浮遊艦を包む超広大な円球バリアだ。


「さぁかかってこーい! 俺たちの絆の強さを思い知らせてやるぞーっ!!」


 それでもめけずにビシッと指差してオータムは健気に吠えた。



「ハッ、ここまで言われたら黙っていられねぇぜ! 総統様、オレを出してくれよ! ドラゴン化してねじ伏せてやるぜ!!」

「落ち着けライク! 相手の思うツボだぞ」


 ウズウズしてきたライクを、冷静なカゲロが彼の肩に手を置いて抑える。


「カゲロの言う通りだ。出番はまだ早い。お前たち(ドラゴン)の力は大事な戦力。結界を一つにするまでは温存したい」

「ちぇ、わーったよ」


 ヤミザキに言われちゃ仕方ねぇとライクは引き下がった。

 ダクライはにこやかな顔で「それがいいでしょうな。なにか誘いが感じられます」と確かな罠があると助言。ヤミザキは頷く。




「ふむ」


 腕を組んでノーヴェンはメガネを煌めかす。

 個性的揃いの七皇刃を好きにやらせて、戦況を一気に覆した。もしやすると血気に逸った王子たちが出てくるかもと考慮に入れていた。

 一向にその様子が窺えない事からして、見抜かれているのか余裕でふんぞり返っているか……。


「おい挑発に乗ってこないんじゃが?」

「結界がまだ四つ残っている状況で、先走る必要は無いとみているかもしれん」

「グレン! なんとかせえ!」


「問題ねぇなァ! 俺様には大地が…………、っておいおいおい!?」

「どうした? 何が起きた?」


 音声の連絡でグレンの戸惑いにアメリカジェネラルは怪訝になる。

 モニターの方を見て、徐々に目を丸くしていく。




 なんと先走ったのはスエック! 空を駆けながら、颯爽とヤミザキたちのいる巨大浮遊艦へ目指していた。

 神々しい灼熱の火の鳥、そして七色に燃える尾を模したエーテルで全身を覆っている。

 無表情だったはずがスエックは「あーっはははははは!!」と狂ったように笑う。


 すると要塞へ帰っていたモリッカの頭上の二つのアホ毛がピクンと跳ねる。思わずコハクはビビる。


「おお! 仲間がいます……! 僕の仲間が!!」


 モリッカは目をキラキラさせて震えながら上の空のように告げ、コハクは「類は友を呼ぶ……ですか」とため息をついた。



 頭痛がしたように額に手を当てるアメリカジェネラルとヘイン。


「スエックのヤツは調子に乗ると人が変わるんじゃ……」

「気持ちは分かるぞ……。我々ヒーローも個性的揃いだからな」




 スエックは吠えた!


「天空を裂いて出でよ! 御白龍(オシロン)召喚────ッ!!」


 なんとスエックの背後に魔法陣が光り輝き、稲光を散らしながら真っ白な龍が長い身をくねらしながら出てきた。

 その家一軒ほどの巨大な頭の上にスエックが着地。


「グオオオオオオオオオ!!!」


 大気を振るわせんばかりの獰猛な咆哮。


 ワイバーン型やコウモリ型の刻印獣が襲いかかるも、巨大な龍が通るだけで弾け散らされてしまった。

 一斉に刻印獣は爆弾や射撃を見舞って、その長い身に爆発を連鎖させていく。が、全然ダメージになってない。

 龍が長い身や尻尾を揺らすだけで、周囲の刻印獣は粉々に薙ぎ倒されていった。


「ホーリーブレイズ・キャノン!!!」


 御白龍(オシロン)の大きな口から極太のレーザーが一直線と突き進み、巨大浮遊艦へ目指す。大勢の刻印獣が盾代わりと軌道上へ並ぶ。それを難なく貫き通して撃破の爆破が連鎖していく。なおも光線の勢いは依然と健在だ。

 巨大浮遊艦を包む半透明の障壁がピキンと張り巡らされた。それでもレーザーで一点集中と照射し、ジリジリ穴を開けようとする。


「まさか! これほどの威力がッ!?」

「バリアの防御力と修復速度を超えるのか!?」

「このままでは侵入されるわよ!」


 さすがにヤミザキ陣営の王子たちも焦りを滲ませた。

 コクアは「出撃の許可を!」と申し出るが、ダクライは「慌てなさんな」と制止の腕を伸ばす。



「過ぎた夜遊びは火傷(やけど)するぞ」


 依然余裕のヤミザキはフッと笑う。

 浮遊艦の砲台が一斉に火を吹き、光弾による集中砲火が御白龍(オシロン)を爆発に包んだ。たまらず龍はドガァンと爆破四散。煙に包まれながらスエックは落ちていく……。


「ちっ! 世話の焼ける……!」


 グレンの操る大地が隆起してスエックを受け止めた。




「それでも仕掛けてこませんカ……」


 未だ動きを見せない巨大浮遊艦に、ノーヴェンはメガネをクイッと押し上げる。

 ヤミザキという男は恐ろしく冷静で戦況を見極めてるか。もしくは戦略に詳しい軍師みたいなのがいるか。どちらにせよ、こちらの挑発には易々と乗らないだろう。

 早めに王子が何人か出てきて七皇刃と戦ってくれれば、ナッセたちが楽になれる……。そんな風に上手くはいかないと、改めて痛感した。


「戦争というモノはより冷静に長い目で戦況を見極めていくモノなのですネ……」



「あーっはははは! これだから戦争は止められないよーだ!」


 飛び起きたスエックが再び灼熱の余波を周囲に吹き散らし、狂気の笑みを浮かべた。

 斧、槍、杖、扇と様々な武器に変えながら、戦場を天変地異に巻き込んでドカンドカン暴れまくっていく。


 ────そして長かった夜が明けた。



「いよっしゃあ!! 俺たちの出番だぜッ!!」

「我々も負けずに奮戦しようではないか!」


 朝日を前に、バーニングガイとダークシャドーが気力充分と張り切っていた。

 ヘインはニッと笑う。


「よし! 三段撃ちならぬ三段構えの布陣じゃ! なんとしても守りきれいっ!!」


 満を持して、と言わんばかりに第三陣のヒーロー、ヴィラン、創作士(クリエイター)、軍人は「うおおおおおお」と拳を突き上げて吠え猛った。

 アメリカジェネラルは、そのヘインの統率能力に感心した。

 先程の七皇刃も個性的で勝手気ままだったが、第三陣の出陣に備えて撤退の命令を素直に聞いた。なおかつ第三陣の士気を上げた。


「さすが悪のカリスマ! さすがはスペリオルクラスの『魔皇帝(イビル・エンペラー)』だな!」


 敵の時は厄介だったが、味方ともなるとこれほど頼もしい者はいない。

 アメリカジェネラルはフッと笑んだ。

あとがき雑談w


スエック「いつもはヘインの側でヒマ持て余してたんだよね」

ヘイン「放っておくと、敵基地はおろか環境破壊しまくって迷惑被るからじゃ! この間だって山火事になってて色々面倒にしよったし!」

スエック「いーじゃん! スカッとするよ?」

ヘイン「おい開き直るな! ちっと反省しろ、この大たわけが!」


モリッカ「分かる! 皆殺しヒャッハー!」

スエック「おー! 同志よー! ヒャッハー!」


ヘイン「お前んとこも放置すんなや! 迷惑極まりないんじゃが!!」


ナッセ「そんな時は魔法少女フィギュア! ほむううう!!」

オータム「イエス!! 魔法少女は全てを幸せに!!」


モリッカ&スエック「おおおおおおお!!! 尊い!!!」目キラキラ!


ヘイン「…………なんでじゃ……」(頭痛い)



 次話『ナッセの本当のクラスが判明!?』

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