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162話「性癖爆裂! 七皇刃は変態ぞろい!?」

 操縦席のヘインは不敵に笑い、老執事に視線を向ける。


「完璧なる執事ツィリーフよ……。今回も奉仕(ほうし)してくれるか?」

「お安い御用です……」

「へははっ! 頼もしい男じゃ」


 ツィリーフと呼ばれた老執事は丁重に頭を下げ、後退して(きびす)を返していった。


 黒い執事服の優男。だがすでに六〇を越える老体の身。白髪に加え、顎鬚も白い。片目に丸眼鏡。

 それでも動きは若き時代の全盛期と変わらぬ挙動(きょどう)だ。

 全てはヴィランの頂点に立つ魔皇帝の組織に奉仕する身……。そして彼は『執事たるもの奉仕は完璧であれ』と信条を据えて、これまで仕え続けてきたのだ。


 カチッと手元の忍ばせたスイッチを押し、丸眼鏡がピカーと灯った。

 まるで鋭い眼光によって、メガネが輝くが如く……。


「え……? なに?」

「……眼光演出の仕込みでございます」


 他の人が驚いてたので、丁重に答えた。



 そして彼は他の七皇刃と共に、第二陣として戦前へ(おもむ)いたのだった。


 破損した遺跡になだれ込んで、眼前に広がる刻印獣の大群。

 ツィリーフは「九節鞭(ゲル・ウィンナー)」と呼ばれる、九節のウィンナーのような得物で構え、手元でプルプルと震わせている。


「執事とは主人様の身の世話をするというイメージでございますが、私の見解としては『あらゆる任務』を確実に遂行できる、それが『執事の完成形』と思っております。ふふほっ」


 刻印獣が襲いかかる瞬間、ツィリーフは九節鞭(ゲル・ウィンナー)で俊敏に胴体を絡め取って、グシャッと締め砕く。

 すかさず次々と刻印獣を絡め取って、あっという間に締め砕いていく。

 なんとも戦い慣れた執事だ……。他の創作士(クリエイター)たちはポカンとする。


 それでも数にモノを言わせて複数の刻印獣が襲いかかる。


「ふほっほ。九節鞭(ゲル・ウィンナー)が対集団戦に向かないと思っておられるようでしたら大間違いですぞ」


 ツィリーフがギューッと握ると九節鞭(ゲル・ウィンナー)はそれぞれ九つにブボバッと飛び散った。それぞれ刻印獣にぶつかる。

 その一つ一つが生きたミミズのように、ニョローンと長く変形して刻印獣の全身に巻き付く。そして締め砕く。


「ふほっほっほっほ。今日は九節鞭(ゲル・ウィンナー)のバーゲンセールです。さぁさぁ大出血サービスですぞ」


 なんと更に複製した九節鞭(ゲル・ウィンナー)をブボボボバッとばら撒いていく。


 ニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロ!


「うえ……なんだありゃあ!?」「変なミミズの群れが!」「うっわ! 気持ち悪ッ!」


 ツィリーフの周囲で、妙なミミズの群れが手当たり次第に刻印獣を締め砕いていくシュールな絵図となった。

 しかし刻印獣らの射撃が飛んでくる。ガガガガ!

 反応が遅れたツィリーフは無防備にも喰らい、全身に風穴をあけて数々の致命傷を負ってしまった。

 驚いた顔のまま硬直してたはずが、不気味にニヤリと笑みに変わる。


「人は歳を重ねるほど、身体機能が衰えていく。丈夫に恵まれた肉体とて、負傷する、病気にかかる、故障して思うように動かなくなる……」


「な、なんだっ!? あんな穴が空いても生きている??」

「なんか似たようなヤツが他にもいたけど、同じ能力かッ!?」

「いや……あれはッ!?」


 なんと破れた服の中からウニョウニョとスライムみたいに流動的な体が露わになる。

 無数あった風穴は埋まって元に戻ってしまう。だが服は破れたまま。心なしかツィリーフの肌に光沢が入っている。

 人の手をしていたそれは触手になっていてウニウニ揺れる。

 いつの間にか、両足は複数の触手となって地面を這いずる。


「あ……あいつッ……! 人間じゃねぇッ……!」

「触手人間だと!?」「触手プレイ特化!?」「スライム触手執事ッ!!」


 言いたい放題の創作士(クリエイター)に、ツィリーフは未だ穏やかに笑む。


「故にツィリーフめは、既に人間を止めております……。完璧なる奉仕を求めるがためにッ!」


 下半身から数百もの触手をドババババッと四方八方に伸ばしていって、広範囲の刻印獣を絡めとりグシャッと締め砕いた。そう九節鞭(ゲル・ウィンナー)も実は彼の一部だったのだ……。


「いつも毎日欠かさずゼリーやマシュマロなどプニプニしたものを摂取し、更に酢を一〇本も飲み干し、柔軟体操を繰り返し、挙げ句の果てに『融合体(ゆうごったい)』でスライム系モンスターと融合して完成させた、これこそ『粘液流動体(ゲルボディ)』でございますぞ……」


「前半関係なくないっ!?」

「根拠ないだろぉ!! 『融合体(ゆうごったい)』以外ッ!!」


 ツィリーフは狂気の笑みを浮かべ、触手プレイを刻印獣たちに敢行してゆく……。

 心なしか、感情がないはずの刻印獣が背中を見せて逃げ出そうとしてる。結局捕まって「ぎゃああ」と締め殺されていく。


「ふほぉーっほっほっほ!! いかがですかな? 我が完璧なる奉仕の触手プレイはッッ!!」



 操縦席にてヘインはジト目で呆れる。


「さすがに余もアレはやりすぎと思うんじゃが……」

「なぜ止めなかった?」

「気付いたらこうなっておったわ! 止めようがないじゃんアレ!!」


 汗を垂らすアメリカジェネラルへ、何故か逆ギレ気味に返す。




 同じくしてサタネクスが沈黙を保ちながら、大きな葉っぱを宙に浮かせたままその上に座していた。瞑想しているかのようにピクリとも動かない。

 刻印獣の群れを前に、スゥーッと地面に降り立つ。


「……全てはいずれ空に帰す…………」


 サングラスをかけたハゲ坊主で、袈裟を羽織った僧。練達された『堂』に入った表情。

 流れる動きで合掌。

 突然、周囲の刻印獣が一斉に弾き飛ばされた。ババババンッ!


「ふむ。これも御仏のお導きとも言えようか。ご紹介が遅れた……。愚僧の名はサタネクスと申す。

 見ての通り、宗派の道を行ずる者なりけり……」


 ザワザワと創作士(クリエイター)たちは戸惑う。

 その者からは覇気や怒気、闘争本能や快楽快感のような、身体から滲み出る雰囲気が皆無なのだ。本当にそこに存在するのかさえ気配が感じられない……。


「人、物、この世のあらゆる万物は『空に通ずる』……。全てはいずれ『空』へ還るもの。色即是空(しきそくぜくう)……世の(ことわり)よ……」


 なにやら悟った風にブツブツ呟く僧に、他の創作士(クリエイター)は「何を言っているんだ?」と怪訝そうだ。


「むう……まさか! あれは!」

「知っているのか?」

「……ウム! この世の全ては物質と実体である『色』と目に見えぬ全ての起因の『空』によって出来ておる。仏教の基礎であり曼荼羅(マンダラ)が示す根底だと教えられている……」


 なんか濃い顔をした漢がそんなやり取りをしていた。いたかな? こいつら?


「ってゆーか、戦争中に仏の教えとか説かれてもな~」

「うんうん、普通に僧侶は回復魔法してればいいしね~」


 するとピクッとサタネクスが反応。ギギギと怒りを漲らせた形相を向けてくる。


「うわあっ!」「ハゲおこったー!」


 矛先を向けられたのは、なんと双子の少女ヒーローだ。

 片方は紫のレオタード、アホ毛を生やし薄紫のボサボサロングで右目を隠した少女。もう一人は緑のレオタード、アホ毛を生やし黄緑の丸くフワッとしたショートで左目を隠した少女。

 とても可愛らしくて若々しい癒し系ヒーローだ。


「さて、そこな(わらし)よ。名を申すがよい」


 こうまで聞かれてはヒーローとして黙ってはいない! キッ!

 何故か攻め込んできた刻印獣が足を止めて、汗を垂らしながら呆然として突っ立っている。


 ビシッと左右対称にポーズを決める双子少女ヒーロー。


「マイはパープルガール・メイメ!」

「マイはグリーンガール・ミイミ!!」


 すぐさま二人は腕を交差して、背後に派手な色の爆発が巻き起こった。


「二人合わせて! ヂェミナイボンバー参上!!!」バボーン!



 ……しばしの静寂。


 誰も反応しない事にメイメとミイミは「あれ?」と首を傾げ合う。

 サタネクスはフルフル震えていく。そんな剣幕に二人は汗を垂らし「やべ! 怒った?」と後退(あとしざ)りしていく。


「…………きゃわいい~」


 なんと鼻下伸ばしてデレデレのサタネクスが、ふんふん鼻息を立てて興奮していた。

 双子ヒーローは思わず引いた。


「この愚僧!! いたいけな少女の為に全ての敵を『空』に還そうぞッッ!!!」


 興奮して凄まじいオーラを吹き荒れさせ、周囲に荒々しい振動と烈風を巻き起こす。僧のくせに煩悩まみれで遠慮なく我欲タダ漏れであった。

 だが、これまで静かだった分、溜め込まれた力は尋常なく爆発的なエネルギーとなって増幅された。

 なんとあちこちから光の巨大な手がいくつも発生して来る。ズズズズ……!


「見よ!! 愚僧の誇る『四臂観音(しびかんのん)』をッ!!」


 そしてそれは超高速の張り手となって嵐のように吹き荒れた。まるで千手観音の繰り出す無数の手のように、光の巨大な手が超高速で連打され続けた。


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!


 容赦のない無数の張り手が広範囲に渡って、ことごとく刻印獣を叩き潰していく。


「うら若き美しきロリこそ至高の『色』ッ!! その為に愚僧は例え御仏を敵に回そうとも『空』に還して見せようぞッ!! わはははははッ!!」


 ドドオオオォォォォン!! 煩悩満ちた破壊の嵐が吹き荒れる!




「なぁ、ヘイン……」

「言うな!!」


 汗を垂らして呆れるアメリカジェネラルの言葉を、必死に遮るヘイン。


「あの馬鹿、ロリが絡むと目の『色』変えて、例え余であろうとも平気で反逆しおる、一番タチわりぃ愚僧よ!! それを抱える余の身にもなってみろォ!」

「……苦労なされたのだな」

「ったく、ツィリーフにも『お前にとっての完璧とは何じゃ?』と命題を課したら、何をどう解釈したか人間やめやがったし、七皇刃どいつもこいつもメチャクチャ勝手にやってくれおるわッ!!」


 うがーと、逆ギレしまくるヘインの愚痴を、アメリカジェネラルは気の毒そうに聞いていた。

 だが、ノーヴェンは冷静にメガネを煌めかせた。


 ふざけた感じの七皇刃だが、その実力は一品級。まさに一騎当千の化物ぞろい。


「……例え、今のナッセたちでも勝つのは難しいデース!」

あとがき雑談w


 ~ツィリーフ編~


ヘイン「ツィリーフ……」

ツィリーフ「はっ! ここに……」(フッと音もなく参上)

ヘイン「毎朝、よくウィンナー出してくれたが、まさか……?」


 ツィリーフはニコリと笑む。


ツィリーフ「体内でナノサイズに分裂して、細菌など有害なモノを除去するために我が身を……」

ヘイン「やけに体調良すぎるなーって思ってたら、そういうワケかい!! ってかきしょ悪いわっ!!」


~サタネクス編~


サタネクス「……ふむ、これはいい」(自室で鑑賞中)


 バタン! ドアを乱暴に開けてヘインが苛立ちの顔を見せる。


ヘイン「我が組織の経費でロリもののエロゲーとかエロDVDとか来てるんじゃが、全部貴様のしわざかッ!」

サタネクス「これも愚僧の修行ゆえ……」

ヘイン「ティッシュの消耗がやけに多いのも、貴様かァ!!」

サタネクス「これも修行のための犠牲なのだ…………。ふう……」


ヘイン「何が修行じゃ! この大たわけぇ!!」(激怒)


 ミニシュパら一斉射撃による大爆破でドガガガーン!!!



 次話『残りはスエックとオータムとグレンか……。どんな性癖かなw』

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