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161話「ついに『七皇刃』出撃!!」

 殺到してくる刻印獣の射撃ビームが第二結界の装置を爆破する。ドガァッ!

「シュパパー!!」「シュパーッ!」

 側にいたミニシュパたちがバタバタ慌てる。


 スウッと障壁が一段と薄くなってきた。

 結界装置は周囲に等間隔で設置されていて、その全部が破壊されると消える仕組みらしい。

 第一結界が消えたのは、敵の主砲で全部吹き飛んだからによるものだった。



「戦況は思わしくないか……?」


 銀狼が着地、曇った顔のクスモさん。その背後で数十体の刻印獣がバラバラになって弾け散った。

 コマエモンは抜刀を繰り返して、電撃の剣閃を飛ばして刻印獣を斬り散らしていく。

 ミコトも上級モンスターを並べて「攻撃!!」と吠え、魔法攻撃でドカンドカン刻印獣を駆逐していく。


「むう!」

(トラップ)カードを設置できる範囲が広くないのが悔しいZE!」




 巨大浮遊艦で依然と高みの見物でヤミザキは操縦席で笑みを浮かべる。


「第二結界を破るのも時間の問題か……」


 後方で待機しているコクアもダグナも浮かない顔をしている。

 更にブラクロらも戦況は優勢のはずなのに、淡白な表情だ。するとダグナが前に出る。


「総統様。一つ聞いてよろしいですか?」

「うむ。申せ」


 許可をもらい、ダグナはペコリと会釈。


「このように我々が手を汚さず、刻印獣による物量で敵勢力を攻め立てるのは(いささ)か卑怯なのでは、と思っています。その理由を伺えないかと……」

「言いたい事は分かる。だが、むしろ奴らの為にお膳立てしているのだ」

「と言いますと?」


 ヤミザキはフッと笑う。


「まさか洗脳した日本人を兵隊にする方が正々堂々と言うまい?」


 ダグナたちは騒然とした。

 言われてみれば、その気になれば日本人全員を動かして攻める事も可能だ。むしろこの方が戦略的に効果がある。


「ナッセたちにしてみれば、洗脳されているとは言え同じ日本人相手に剣を向けるなどできないだろう。アメリカのヒーロー側としても人を守る立場として強い葛藤を禁じえないだろう……」

「た……確かに……」

「そんな戦略で勝っても喜べん!」


 ヤミザキは首を振った。


「戦争で勝つ為に手段を選ぶのは愚かかもしれん。だが、手段を選ばず卑怯な手で勝てば後味の悪さが一生ついてまわる! 永遠に……ずっとだ! それが我慢ならん!!」

「さすがはヤミザキ様です!」


 コクアは感激と賞賛。しかしヤミザキは半顔で首を振る。


「どのような事であれ、殲滅戦を行っている時点で残忍な行為に変わりがない。だからせめてと刻印獣で戦略を展開している。ドンパチし合うのもやりやすかろう……」

「それならば、我々王子たちで総力戦をやるべきではないですか?」

「そういう考えもあったのだがな……」


 ダグナの提案を、ヤミザキは既に考えていたと示唆した。


「この要塞を制圧した後に、次元扉(ジゲート)で異世界へ攻め入る。今回の戦争以上に熾烈を極めるであろう……。そう、これはその先を見据えた上での戦争。刻印獣でどの程度の成果を出せるか見極めたい」

「そ、そうだったのか……」

「ヒカリは決して喜ばんがな」


 ダグナは察した。ヤミザキが大切に想うヒカリを取り戻すために、戦争を起こそうとしている。その行為が褒められたものではないと自覚している。

 自らの長年保ち続けた目的と信念。そしてその為に侵略行為を行った。


 恐らくこの戦争で勝って、その先の異世界侵略でヒカリを取り戻したとしても、ヤミザキは一生(とが)を背負い続けるだろう。

 だがそれでもヒカリをこの世に再び取り戻せるのなら、と強い執念を感じる。

 ……果たしてそれでいいものか?


 むしろナッセたちとの戦争で負けた方がいいんじゃないか、とよぎってしまい否定するように激しく首を振る。


「このダグナ! その(とが)、共に引き受けます!」

「抜け駆けは許さん! このコクアめも同じ所存であります!」

「あなたは総統様として責任を負い過ぎよ……。少しは頼ってくれると嬉しいわ」


 ヤミザキは柔らかい笑みを見せた。


「己の業は自分だけで背負おうと思っていたのだがな……。私にはもったいない息子を持った」




 アクトと一緒に得物で振るい、無数の軌跡を描いて刻印獣を何十体も斬り散らす。

 そしてリョーコの斧のひと振りで何十体もの刻印獣を上下に断する。それを長々と繰り返して、多分四桁くらいは屠っているはず……。


《第二陣出撃に備えて、撤退を! 繰り返す! 第二陣出撃に備えて、撤退せよ!》


 耳に直接響く放送に、アクトやリョーコと顔を見合わせて頷き合う。

 眼前の刻印獣を斬り伏せ、後ろへ飛ぶと三人揃って要塞へと目指して走り抜ける。道中の刻印獣を片付けながら距離を順調に縮めていく。


「お疲れさま……」


 通り過ぎる時、無表情のスエックは顔を向けずバイバイと手を振ってくる。

 ……かの魔皇帝へインが誇る『七皇刃(ロイヤル・セブンズ)』の内一人だ。


 ザッと、それぞれの位置に七人が一人ずつ前線に赴いた。


 剣士(セイバー)オータム!

 格闘僧(モンク)ガヅィン!

 槍士(ランサー)エイス!

 戦士(ファイター)ツィリーフ!

 僧侶(プリースト)サタネクス!

 狂戦士(バーサーカー)グレン!

 召喚士(サモナー)スエック!


 最高機密要塞のエントランスで陣取っていたグレンもついに前線にやってきていた。

 それぞれが自信満々と笑んでいる。

 そして、同じ第二陣の他の創作士(クリエイター)、ヒーロー、ヴィランも第一陣と入れ替わった。撤退していく連中も「後は任せた!」「気をつけろよ!」と気遣う。


 万全な第二陣揃いを前に、刻印獣は大勢で進軍してきた。



 ガヅィンは「へぇ~はっはっは!」と皮肉の笑みを浮かべ、肘を曲げ両拳を目線にまで構え、軽快なフットワークの足取り、リズムよくシュッシュッとジャブを繰り出す。

 他のヒーローは「ヤツが得意とする撲芯愚(ボクシング)スタイルだッ!」と恐れおののく。別の創作士(クリエイター)は「えぇ……、アメリカヒーローがそんな漢字の当て字を……」とジト目で突っ込む。


「へぇ~っはっはっ!! まずは様子見の運動だっ!!」


 ガヅィンは駆け出す。風のようにビュゴ────ッと地面を抉りながら疾走(はし)る。

 突き出した拳が刻印獣の頭を砕く。その後でパンと音が遅れて響く。

 更に繰り出す拳の怒涛ラッシュは数百にも錯覚させられ、凄まじい弾幕が刻印獣を次々砕いていく。


 その拳は尋常ではなく速い!

 その拳は常軌を逸して重い!

 その拳は未だ底が見えず!!


「いつも歴史はよぉ『殺戮のオンパレード』だ!

 剣で斬り、槍で振り回し、斧で断ち、弓で射る、銃で撃つ、魔法で蹂躙し、様々な暴力で我々人類は進化してきた!」


 喜びを剥き出しに、刻印獣を何十体も殴り砕きながら暴れまわる。


「だが原点は『素手』ッ!! 誰もが持ってる『凶器』ッ!!」


 なんとストレートを繰り出すと火花が散り、大爆発を巻き起こして刻印獣を百体以上まとめて塵にする。ズゴッと大地を揺らし、広々と爆炎の余波が散る。

 音速を超えた『炸裂(バースト)』によるストレートパンチだ。


「そうさ、男に生まれたからにゃ『素手喧嘩(ステゴロ)』で最強を目指さないとなぁっ!!」


 ガッツポーズで拳を振り上げる。

 そして何故か、同じガヅィンが十人くらいヴィンと分身した。それぞれ同じ笑みを浮かべている。そして一斉にボクシングの構えを取る。

 音速で拳を繰り出せる膂力(りょりょく)に加え、更に自身を分身させる能力持ちだ。

 更にヴ、ヴ、ヴンと際限なく分身は増え続ける。


「なっ!? どこまで増えていくんだ……?」「単体でも恐ろしく強いのに!?」

「これがガヅィンの『無限増殖(マルティプライズ)』か……」


 それらは四方八方に散り、刻印獣の群れを素手による暴力で蹂躙していく。




 遠い目で見るエイス。槍を肩に乗せたまま余裕綽々だ。


「調子に乗っていると痛い目に遭うってか」


 迫ってくる刻印獣は物言わず叩き潰そうと腕を振り上げる。

 エイスはギラリと眼光を煌めかす。


「シィィィ……ヤアアアアァァァァァッ!!!」


 まるで伸びてきたかのように鋭利な槍が一直線と突き抜け、その直線上の刻印獣を刺し貫いていく。そして発生した衝撃波で砕け散っていく。

 ゆらりと揺れるような動きで連続の突きを繰り出す。目の前の刻印獣の群れが弾け散るように宙を舞った。


「ちったぁ生きたヤツよこせよ……、こんなんマグロみてぇな人形……萎えるぜぇ」


 おもむろに胸元から取り出したバッジを眺める。そのバッジは『けいおと』の琴奈(コトナ)ムッギだ。チュッと軽い口づけ。

 すると刻印獣の斉射がガガガガガと、エイスを蜂の巣にして血飛沫を散らす。

 全身風穴だらけで、数々の致命傷を負ってしまった。


 しかしエイスは不機嫌そうに「今、ムッギとチュッチュと萌えている所だろぉ……萎えちまったじゃねぇか……」と口から血をこぼす。


 他の創作士(クリエイター)は「なんてこった! あのバカ! アニメグッズに見とれてる場合じゃないだろ!」「死んだっ!」「本当に七皇刃かよっ??」と言いたい放題だ。

 エイスはイラッとする。


「ったく何なんだ! 協力してやってるのに萎える事言ってくれんじゃねぇよ!」


 なんと数々の致命傷が瞬時に癒え、破けた服までもが元通りになった。

 苛立ちをそのまま槍に込めて、一周と振り回して数十体の刻印獣を真っ二つに裂く。


「な!? 元通りに回復を!?」「それ回復ってレベル?」「服まで?」


 エイスはニヤーリと笑みを歪ませる。


「オレっちは体内細胞組織の萌え(活性)と萎え(鎮圧)を促す『細胞変動(フラクチュエーション)』能力持ちよ。常時回復しながらノーガードで戦えるぜぇ……」

「すまん。さっきの再生と理屈が合わないんだが……?」

「納得しろよ! オレっちも分かんねぇんだよぉ! べぶっ」ガガガガ!


 突っ立ったまま刻印獣の射撃を浴びて蜂の巣になり、更に頭の一部がボンと弾け片目になる。しかし瞬時に服も一緒に元通りになる。

 邪魔された腹いせで、まるで獰猛な獣のように刻印獣を蹂躙していく。


「少しは空気読めよぉぉぉ!! 萎えるわぁぁぁあッ!!」


 他の創作士(クリエイター)たちは「これが……『七皇刃(ロイヤル・セブンズ)』!?」と呟く。



 更に静かに佇むオータム、ツィリーフ、サタネクス、スエックは未だ能力を明かしてはいない。

 嵐が起こる前の静けさか、誰もが戦慄していく。ザワ……!

あとがき雑談w


ナッセ「細胞変動(フラクチュエーション)で傷を治すのは分かるけどぞ……」

ヤマミ「服まで元通りになるのおかしくない?」


エイス「こまけぇこたァ……気にすんなよ!」(オレっちも正直分からんがな)


モリッカ「試しましょう! まーじーかーるー大爆裂ッ!!!」


 ズァウオオオオッ!!!


エイス「ちょ待t……ぼぼぶぁぁ!!」


 山をも消し飛ばすレベルの大爆発で、エイス跡形もなく消し飛ぶ!

 しかし瞬く間にチリが集まって元通りの体に、更に服まで再現されていく。


エイス「それでも、萌えて萌えまくってふっかーつ!」(でもマジ痛ぇ)

ヤマミ「納得いかないわ……」


 とか言いながら、地面に伝播させた小人で黒炎をぶつける。ゴウ!

 闇属性の汚染する炎でエイスは「ぎゃああああ!!」と火だるまになってドシャッと倒れて、細胞一つ残らず燃やしつくされる。

 しかし瞬く間にチリが集まって元通りの体に、更に服まで再現されていく。


エイス「無駄無駄ァ! 何度でも萌えて蘇ってくるからよぉ……」(マジ痛ぇ)


ナッセ「なぁ、いっそ能力名を『永遠の不死(エターナルライフ)』にすりゃいいんじゃ……?」

エイス「そんなありきたり……萎えるぜぇ……!」ケッ!


エイス(それにすればよかったああああああああああッ!!!!)


 作者のノリで変な再生力になったので「服も細胞」って事にしようw

 多分、エイスは元々その姿で生まれたんだよw きっとw


 そして「萎え」の使い道が見つからんので、ガン細胞や細菌やウイルスなど自分に都合の悪いモノを鎮圧させる能力という事にして、使う機会がなかった事にしようw


エイス「おいこら待て! オレっちをネタにしてくれるな!」(怒)



 次話『さぁ、残りの七皇刃(ロイヤル・セブンズ)の力も刮目せよっ!』

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